天皇の代替わりに伴う大嘗祭の儀は現代では国事行為となる即位の礼の各儀式が終了後、11月の13〜16日にかけて行われた。東御苑(千代田区)に設置、関係者列席のもと、大嘗宮地鎮祭が執り行われ、その後、大嘗宮の儀が執り行われた。即位ののち初めて新穀を天照大神をはじめ天神地祇(てんじんちぎ)に奉り、自らも食す祭りのことで、天皇一世一度の最大の祭り。「
大嘗宮は、即位の年だけに祭祀が行われる。秋篠宮さまが昨年11月の誕生日を前にした記者会見で、「宗教色が強いもので、国費で賄うことが適当かどうか」などと述べられ、天皇の私的生活費にあたる「内廷費」から支出されるべきだという考えを示した。秋篠宮さまの発言は憲法に定められた政教分離の原則との関係を指摘したもので、「身の丈に合った儀式にすれば、皇室の行事として本来の姿ではないか」とも述べており、大嘗祭をより簡素なものにすべきだという趣旨もこめられていた。即位儀式に関連する支出が全体で約123億円にのぼったとされる。
皇居内に設けられる宮殿で、小約40棟の建屋から構成される建物。設置に国家予算が投入されていたので、無料で公開されるが、11月21日〜12月8日の間だけである。坂下門から、入るとボランティアの通訳までいて、皇居に仮置きされた大嘗宮が見学できる。今回、92,911人が見学した。(大嘗宮一般参観782,081人,令和元年秋季皇居乾通り一般公開381,173人)
皇室の行事とするが、一方で国にとって重要な儀式であり公的な性格があるとして、内閣の助言と承認に基づいて行われる国事行為ではないが、費用は公費(宮廷費)から支出。 平成の大嘗祭の費用は総額約22億5000万円。今回、祭場の敷地面積を減らすなど削減に努めたが、27億1900万円と前回より約2割と増えていたのは公には議論されなかった。最終的に総額24億4300万円に。
工事概要は、約90メートル四方の敷地に、悠紀殿(ゆきでん)、主基殿(すきでん)と呼ばれる二つの神殿が東西に並ぶ。
いずれも平屋で、最高高さ約9m、総延床面積約2,600u。柱は唐松の黒木、悠紀殿と主基殿の2棟は屋根上に千木と勝男木を備えた建物だ。古代の工法そのままの簡素な造りになっている。大嘗宮の当初の予定建築費は19.7億円であったが、実際には2019年(令和元年)5月10日に宮内庁で行われた一般競争入札で、明治から平成の大嘗宮に携わってきた清水建設(株)が、茅葺きであった大嘗宮の屋根を平成時のかやぶきから板ぶきに、「祭祀の本質にかかわらない限りで」という前提のもと、膳屋など一部施設を鉄筋コンクリート造りとして削減し、9億5700万円の経費を一般競争入札し、大嘗宮の造営にあたった。
「出雲大社平成の大遷宮」(60年に1度の解体改修)を納めた熟練の工事長を責任者に据え、大嘗宮の造営は、わずか3ヶ月余りの間に約30棟もの木造殿舎を建設する。神社仏閣の経験者を集めた全社横断のプロジェクトチームを結成、さらに全国の名だたる宮大工の棟梁を訪ね、北陸、関東、東北地方から腕利きの宮大工を確保。工事が最盛期を迎える8月下旬からは、日々、約120名もの宮大工が腕によりをかけた。一方、殿舎を形どる木材は国内で調達のため、長野県産の唐松皮付丸太、静岡県産の杉皮付丸太、北海道産のヤチダモ皮付丸太で、その他、奈良県、京都府等からも木材を集めた。調達した木材は、宮大工の工場で加工を施し、都度、現場に搬入していた。解体後に資材を再利用することにした。
参照:https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c06107/