平成の時代に、地域社会、家族、人々の暮らしのありようは大きく変わりました。いま地方自治体で、課題を抱えていないところはない。全国の市区町村議会のうち13%の議会が、前回の議員選挙で無投票だったことがわかりました。自治体の規模によって、待遇や取り巻く環境も異なりますが、「ごみ収集」「水道料金」「学校運営」「介護」「学童の費用」などなど、暮らしに直結するサービスを左右する議論などを、いつも行っているのが地方議員です。都道府県議、市町村議、東京23区の区議がそれにあたり、場合によっては首長選の候補になる、国政を目指す議員もいますが、それは少数です。
地方議員の数、3万2000人余り。NHKは、今年1月から3月にかけて、そのすべての地方議員を対象に郵送によるアンケート調査を行いました。そこでの回答はおよそ2万人。正直、想像をはるかに超える内容でした。
それだけ、地方議会、地方議員の現状を知ってほしいと願う気持ちがこもっているのだと思います。
しかし、変化の中で、本来役割を果たすべき地方議会は、かえって存在感を失い、住民との距離が広がっている、そんな印象を受けます。
なぜ、このような調査をしたのか?それは、地方議会の危機が抜き差しならない事態を迎えて、生活が成り立たないという点で、若い人がいないという、なり手不足の問題。最近では、都市部にも広がりつつあります。足りない分の数が定数の6分の1を超えると、再選挙を行うことになっている。小谷村の場合、定数が10なので、候補者が8人だと再選挙が求められるというわけだ。
議員報酬は、自治体によって違います。人口規模の小さな町や村の議員の平均月額は、20万円余り。市議平均40万円〜都議、県議クラスで100万円以上ですが、平成の合併で議員数が半減したことから、8年前から議員年金は廃止され、そもそも退職金はありません。これでは、若い世代が議員を目指すことは難しい訳ですが、今まで何もしないでも地盤でやれる名誉職的な見方もされてきて、有権者の認識と実態の乖離が大きくなっています。
「世間では議員に対する風当たりも強くなっています。コツコツ頑張っている議員が多い中で、議員の不祥事もマスコミに大きく取り上げられ、議員はとんでもないというイメージが作り上げられ残念でなりません」(60代男性市議)
「有権者の関心が低すぎると考えます。関心を高めるため、議会の傍聴案内を頻繁に出していますが、傍聴に来ていただける方は限定的です」(60代男性市議)
「今、議員の成り手がいない、若者の参加がない!といわれるが、当たり前である。努力する人ほど努力の割に評価と対価の無いのが地方議員だと思う。有権者のみなさんも、もう一度地方が生き残るには?そのために優秀な議員を育てるにはどうすればいいのか?と自身にも問いかけ頂けたらと思います」(男性市議)
「この数年間、議会改革として様々な取り組みを行ってきた。『議会』としての機能を強化する必要性を認識している議員は増えてきた」
「ほとんどがいわゆる町長派と呼ばれる議員で、町長には無条件で100%賛成します。一方、町長は完全に議会を掌握しているので、やりたい放題です」(40代男性町議)「4年任期で1度も議会で質問しない議員がかなり存在することが、市民に知られていないのは残念に感じる」(50代男性政令市議)
NHKはことし1月から今月上旬にかけて、全国に1788あるすべての地方自治体の議会事務局に、郵送などでアンケート調査を行いました。
このうち、前回の議員選挙で無投票となったかどうかを尋ねたところ、都道府県と政令指定都市を除く、合わせて1721の市区町村議会のうち、13%にあたる228の議会が「無投票となった」と回答しました。
無投票となった市区町村議会は、長崎県を除く各都道府県に少なくとも1つはあり、都道府県別にみると、最も多いのは北海道の51、次いで長野県が26、などとなっています。
さらに、無投票となった議会のうち、山形県庄内町や北海道浦幌町など11の議会は、立候補者数が議会の定員に満たない「定員割れ」で、ほとんどが人口1万人未満の自治体でした。
また、47の都道府県議会と20の政令市議会でも、東京・大阪・山口の3都府県を除く44の道府県議会と、さいたま市と熊本市の2つの政令市議会で、それぞれ無投票となった選挙区がありました。
こうしたなり手不足に加えて、議員の高齢化も深刻な課題となっていて、議員の年齢でみると最年少が「60歳以上」となっている議会は、合わせて91あり、最年少の議員が65歳以上の「高齢者」となっている議会は11ありました。
また、世界各国の議会で女性議員の占める割合が増え続けるなか、日本は10.2%で、前の年より順位を7つ下げ、165位となりました。先進国の中でも最低水準にとどまっていることがわかり、女性の政治参加が進まない実態が浮き彫りになっています。G7=先進7か国ではフランスが39.7%で16位、イタリアが35.7%で30位、アメリカが23.5%で78位などとなっていて、100位台は日本だけでした。
世界全体では1995年に11.3%だった女性議員の割合が、ことし1月時点で24.3%と倍増していて、日本では女性の政治参加が進まない実態が浮き彫りになっています。
平等だ、と思っていたのは、大学まで。社会に出てみると、男女って差がある。
子どもができると、働き方を変えなければならない、キャリアの形成がいったんストップする、それを負うのは、いまだに多くは女性。制度も、社会の環境も対応しきれていない。
2019年09月21日
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