親しい友人らの間では震災のずっと以前から「日本人になりたい」との思いは知られていた。「ワタシの目は青くありません。茶色なんです」。両目を見開いたキーンさんが私をじっと見つめたのは、日本国籍取得を法務省に申請していた頃だ。
「ずっと外国人と見られてきましたが、ワタシ、日本人です」。審査が遅々として進まない状況に珍しくいらだちを隠さなかった。日本文学国際化のパイオニアとしての自負がそう言わせたのかもしれない。 ついに日本国籍を取得できたのが東日本大震災の時と重なったのだという。
生涯独身を貫いたが、晩年は養子に迎えた文楽三味線奏者の誠己(せいき)さんとの幸福な日々を過ごした。既に自宅隣の弘法大師ゆかりの寺に「キーン家の墓」を建ててある。「黄犬(キーン)」という言葉遊びで、黄色い犬の“家紋”が目印。最期までユーモアを忘れない人だった
の新著が4月上旬、刊行される。多くの著作を残したキーンさんは、死の直前まで幾つかの書籍の出版計画を進めていた。多彩な研究・評論分野を物語るように、死後初めての一冊はオペラの魅力を伝える単行本だ。
タイトルは「ドナルド・キーンのオペラへようこそ!われらが人生の歓び」(文芸春秋)。若い頃から米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場に通い詰め、オペラ通としても知られたキーンさんのインタビューや作品論、観劇記録などを収めている。
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