巷で「将来、公的年金という制度自体が破綻するかもしれない」という話も聞きますが、少子化が予想以上に進んだりしても、受け取り額が今より減ることはあっても、ゼロになることはありません。早合点して保険料を支払わずに放置する、ということは考え違いです。そもそも、国民年金から支給される年金は半分を国が負担しています。つまり、保険料を納めた額からもらえる額と同額を国からもらえるということです。
では「心配なく老後を送るには3000万円必要だ」などと言われますが、一概には言えないというのが本当のところです。夫婦2人で都会に住み、ときどきは外食や旅行も楽しみたいという「ゆとりコース」なら、月40万円程度の生活費が必要になるでしょう。これに対して、地価や物価の安い地方都市に住み、自宅でゆったりと過ごすような落ち着いた生活を送りたいという「質素コース」なら、月20万円程度でも十分かと思います。生活費も年金受給額も人によって違います。家族構成や年齢はどうなっているか、持ち家か賃貸なのか、お金が出ていく今後のイベントに何があるか、リフォームがいるのかどうか等々、必要な金額にも差が出てくるのは当然です。
今回の年金平均月額から計算した、家族構成別の1月当たりの支給額をざっくりした目安として、次のまとめにしました。
厚生年金については個人差が大きいと言う点を、考えに入れてください。
国民年金のみの単身者 55,615円
国民年金のみ夫婦2人分 111,230円
厚生年金のみの男性 166,668円
厚生年金のみの女性 103,026円
厚生年金(夫)+国民年金(妻) 222,283円
厚生年金 夫婦共稼ぎ 269,694円
出典HP;https://seniorguide.jp/article/1001439.html
厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」という報告書によると、「年金支給額は、国民年金が平均月額で5万5千円、厚生年金は14万7千円」という実績が公開されています。老齢基礎年金(国民年金)の額は、20歳から60歳になるまでの40年間での保険料を納めた状況により決まります。2017年(平成29)年度の老齢基礎年金の満額は77万9300円ですので、20年間分だけ保険料を納めた場合は半分ということになります。2017(平成29)年8月からは、10年納付があれば老後の年金をもらえることになりました。しかし、4分の1の年金額で暮らしていくのはとても難しいです。
一方、会社勤めの場合は厚生年金は加入期間や報酬によって、中途退職される場合もあって男女差が大きく、男性が「166,668円」、女性が「103,026円」となっています。加入期間及び給料やボーナスの額によって年金額が決定しますが、とても複雑です。そのため、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を見ることをオススメします。「ねんきん定期便」で、年金額のおおよその目安がわかり、老齢基礎年金の額もわかります。
女性のほうが男性よりも平均寿命が長いことを皆さまご承知です。そして、かなりのご夫婦で奥様のほうが年下です。奥様が遺族年金に関心を持つのは当然でしょう。
遺族年金は残された妻や子が困らないようにする目的の年金でしたが、最近は女性の社会進出が目覚ましく専業主夫になる人も増えてきているので、ケースによっては夫も遺族基礎年金をもらえるように変わりました。
厚生年金に加入していれば、遺族に遺族厚生年金が支給されます。高校を卒業するまでのお子さんがいないと支給されない遺族基礎年金とは違い、遺族厚生年金は子がいなくても支給されます。さらに遺族基礎年金は、高校を卒業するまでのお子さんがいる配偶者に支給されます。お子さんが高校を卒業すると、遺族基礎年金は支給されなくなります。
ご主人がサラリーマンの場合つまり厚生年金に加入していた場合、遺族厚生年金の額はご主人がもらっていた老齢厚生年金の額の4分の3です。そして、奥様ご自身も働いていて老齢厚生年金をもらえる場合は、その額が夫の遺族厚生年金からマイナスされますが、引かれた後の遺族厚生年金と奥様ご自身の老齢厚生年金の合計額は、もともとの夫からの遺族厚生年金の額と同じ額ということになります。なお、奥様ご自身の老齢厚生年金の額が、夫の遺族厚生年金の額よりも多い場合は、遺族厚生年金は全額停止され、奥様の老齢厚生年金のみが支給されることになります。
夫(または妻)が定年まで勤続した場合、退職金は、一時金でもらう場合と企業年金でもらう場合があります。企業年金の多くは、年金受け取りだけでなく一時金で受け取れるようになっています。なお、一般的に退職金というと、退職一時金のことを指します。
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