菫さんが赤ん坊だった頃、父の仲邑信也九段(45)が自宅で囲碁の勉強をしていると、近寄って碁石を触るので、抱っこしながら勉強を続けたという。3歳のとき、囲碁教室講師の経験があるアマ六段の母、幸(みゆき)さんがルールを教え、仲邑九段主宰の教室で、入門の子供たちと一緒に勉強を始めた。両親は菫さんについて「気が強く、負けず嫌い」と口をそろえる。菫さんも囲碁の楽しさについて「勝ったときがうれしい」と言い切る。
小学2年生の時、囲碁の勉強のため初めて韓国ソウルに渡り、2017年4月からは韓国のプロの道場で研さんを積んだ。幸さんとゲストハウスに長期滞在して道場に通い、囲碁漬けの毎日。韓国の学生全国大会の小学生低学年の部で優勝し、対局姿勢や才能が高く評価された。幸さんは「日本の9歳でこれだけ勉強時間を積み重ねた子はあまりいないと思う」と成長を見守っている。現在は毎日6〜9時間、囲碁の勉強に打ち込む。昨年末、菫さんと試験碁を打った張栩(ちょう・う)名人(38)は小学生時代の井山裕太5冠(29)と対戦した経験もある。「9歳でこれほど力を持つ子供は見たことがなく、井山さんより上をいく衝撃」と語った。一応、日本での義務教育履修のため日韓の往復生活が続いているが、菫さんはすぐに韓国語を覚え、両親の通訳にもなっている。
4月1日付で、10歳0カ月でのプロ入りは藤沢里菜女流本因坊(20)の11歳6カ月を超える史上最年少となる。
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