昨年のNHK紅白歌合戦の視聴率が年初に発表された。歌手別の瞬間視聴率ランキングまで出る時代なのには驚く。ゲスト審査員には、新年の大河ドラマの主役・中村勘九郎(金栗四三役)と阿部サダヲ(田畑政治役)も、冬季オリンピック・アスリートの脇に並んでいた。
昨年の大河ドラマも視聴率は低調のまま終わった。「西郷どん」は鈴木亮平や瑛太、青木崇高ら実力派キャストの熱演にもむなしく、維新の英傑たちの人間関係、時代背景が複雑で、善悪の評価が分かれる幕末を舞台にしたこと、さらには後半にかけての性急な展開などが要因とも言われている。
この7年ほどは14%代の視聴率に落ち込み、もはや大河は“国民的なドラマ”ではなくなってきたと危惧されている。大河ドラマの裏でオンエアされている、日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』や、10月にレギュラー番組に昇格したばかりの『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)が、大河を超える視聴率を常にマークしている。テレビ離れというより、視聴料を強固に請求するようになったNHK離れなのか、この後も、かつてのような高い数字は望み薄い。今年はさらに心配なことになりそうだと言われるのは、日本が初参加した1912年のストックホルム五輪から64年の東京五輪までの52年間にわたる時代を取り上げるためだ。
過度な期待はしない方がよさそうだとささやかれている「いだてん」のため、NHKはこの所、番組の前宣伝に頑張り出した。なにぶん33年前に近現代を取り上げた際にも、視聴率がガタベリし、大河と現代のマッチングがよろしくないとの分析がされて近現代を取り上げるのは避けてきた。それが2020年の東京五輪を控えた今、改めて1964年東京五輪を中心に描くことになり、捨て身の戦法となっている。人気脚本家・宮藤官九郎の斬新な脚本で、今までにない複数の主人公がリレー形式でつないでいくことになっている。特にビートたけしが、五代目古今亭志生役で出演し、小噺ふうにナレーションをする。新年から話題の新刊『さみしさの研究』も出版、テレビじゃ言えない“ウラ噺”も明かすなどして、脇を固めている。
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1月6日から、ついにオイラも出演するNHKの大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』が始まる。出来上がった序盤の映像は見せてもらったけど、ひいき目じゃなく、今回の大河は面白いぞ。なんたって、しょ端のシーンから、オイラの出番だからね。
オイラが演じるのは「落語の神様」と呼ばれた古今亭志ん生。主役の金栗四三ってマラソン選手を演じる中村勘九郎が、志ん生の乗ったタクシーの横を走り去る──そっから物語が始まるんだよ。いつも『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)の冒頭にオイラが出てくるけど、アレを大河でもやっちまうってことだよな。
しかもドラマなのに、「高座で自由に笑わせて」なんてカンペも出るからね。スタッフやエキストラは毎回同じだから、それなりにお笑いをやってきたオイラが“常連”相手にいつも同じネタをやるワケにもいかないだろ? 前説をやる若手芸人みたいに、毎回、面白いネタを考えてるんだよ。
出典:週刊ポスト2019年1月号
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今夜、8時からは大河ドラマにチャンネルを合わせて、当時に我孫子にも暮らした嘉納治五郎先生がどういう方だったのか、改めて時代を考えながら、かつ視聴率の動きにも注視して頂きたいです。
2019年01月06日
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