議会で、常に新焼却炉の検討がされています。140億円とも予想される建築費が、今までに我孫子市で取り組んだ予算でも最高額になるのは避けられず、かつ、この後にはリサイクルセンターも増設しなければならないからです。
リサイクルセンターはプラスチックなどの分別される不燃ごみをストックする場所になります。家庭から出るごみの約60%を容器包装廃棄物、つまりプラスチックで作られた物で占めています。レジ袋,使い捨てプラスチックのスプーン,フォーク,ペットボトルなど、便利に使われて捨てられています。地球上で作られたプラスチック製品の総量は83億トンとなり,63億トンがすでに廃棄物となっています.そのうち,たったの9%だけがリサイクルされ,12%が焼却され,大部分の79%は埋め立て処分されたか,海洋などの自然環境に投棄されました。プラスチック製品は回収されずにごみになって拡散し、海に流れ込んで海洋生物までも汚染されてきています。ペットボトルの材質であるPET(ポリエチレンテレフタレート)は海水よりも比重が大きいため、ボトルは沈んで、海底に溜まっていきます。最近の調査からマイクロプラスチックが問題として新たに浮かびあがってきました、世界中で私たちが食用とする魚類や貝類からでてきます.これまでにニシン,マイワシ,カタクチイワシ,アジ,カレイの仲間などの重要な食用魚の内臓からプラスチック片が見つかっています。
日本国内で1年間に消費するペットボトルの本数は、2016年度の清涼飲料用ペットボトル出荷本数は227億本でした(PETボトルリサイクル推進協議会)。上記は飲料用ボトルの数ですから、調味料やみりん・料理酒等のボトルも加えるともっと増えます。清涼飲料用のPETボトルが全体の98%を占めています。ペットボトルを購入しない人がいるわけですが、ボトル総数を人口で割る単純計算では、1人あたり1年間に183本使っている計算になります。
では、232億本のPETボトルが飲み干されてゴミになった時、どのくらいが回収されたのか、回収されなかったのか?
PETボトルリサイクル推進協議会によれば、2016年に販売されたPETボトル(59万6,056トン)のうち回収されたのは88.8%です(PETボトルリサイクル推進協議会)。これは、廃棄物として買い取った重量から類推された回収率です。この回収率を単純にあてはめ本数を割り出すと、2016年に回収されたのPETボトルの本数は206億本になります。一方で、回収されなかった残りは26億本にもなります。
ポイ捨てされたか、ゴミ収集からあふれて雨風に飛ばされりしたわけです。
PETボトル回収率99%のオランダでは、0.5リットル以下のベットボトルのデポジット料金は$0.16(約18円)、0.5リットル以上のボトルには$0.72(約81円)の預け金が課金されています(eunomia 2010)。ペットボトルを拾えばそれがお金になるため、デポジット制度が定着している国ではペットボトルが落ちていることがほぼありません。ごみ箱からわざわざ回収してそれを生活の糧にしている人もいるほどです。
またボトル返却機もあります。それがよくできていて、指定されていないボトルや飲み物が中に残っているボトルをいれると自動的に跳ね返してきます。こうすることで、回収されたボトルが資源として使いやすいように工夫をしています。また、店舗でのデポジットの仕組みは効果絶大です.ドイツではペットボトルを返却すると預かり金が戻ってくるデポジット制度を2003年から実施して,90パーセント以上(最高98.5%)のペットボトルが返却されています。
日本でもデポジット制度を導入すれば、回収率もさらにアップすると予想されますが、デポジットで戻り金が低いと戻さない人が多くなる可能性もあります。今後、狭い日本の陸のみならず海までも考えて、日本ではペットボトル1本あたりの戻り金を30-50円と少し高めに設定すればポイ捨て行動が改善されると考えられます。そこは小売りの金額に上乗せせざるを得ないので、購買量が減るのが目に見えるため、飲料会社がこぞって政府に圧力をかけ、広告会社も同調するはずで、結果、このままでは売り手も消費者も便利、安価がいいので実行になかなか移されないでしょう。
更に、ペットボトルの材質をヨーロッパのものと比較してみると、潰しやすい薄さにして、潰した後の体積も非常に小さくなります。ヨーロッパと比較すると日本のペットボトルというのは潰しにくいし、潰しても体積が減りにくい。例えばエビアンやボルビックなどと、恐らく何らかの基準があるのかもしれないと思わせるほど、薄い風袋になっています。日本は自動販売機の普及のせいか、ガタンと落ちても壊れないことを考えて作っている。いかに普及し手に取ってもらえるか、企業の販売しやすさが優先です。しかも、日本は小型のペットボトルは圧倒的に多いのです。小型のペットボトルが、運びやすいし、女性のバッグに入れても邪魔にならないサイズであっても、大型のペットボトルと飲量に比較して潰した後の体積が大きいのです。
ヨーロッパでは一般的に、自販機や繁華街の飲食店で売られる缶、ペットボトル飲料の値段は非常に高いです。パリではこういうところで飲料を買うと1ユーロから1.5ユーロもします。それがスーパーや雑貨店などで買うと40セント前後ぐらいなので明らかに安いです。日本では考えられない程、同じ商品の販売値段に差があります。また、日本のようにこまめにコンビニも普及していません。バッグに入れて持ち運ぶなどせず、ペットボトルは大型のものを家に持ち帰り、カップに小分けにして飲むという使い方です。日本の小型ペットボトルが普及しているのは、駅で電車を待っている際に、ちょっと一杯を誘引する仕掛けになっており、昔はなくても誰も困らなかったのに、無いと不自然なまでに駅に自販機がセットされている生活環境になってしまったといえます。
飲料メーカーは、ペットボトルに詰めたことによって、飲食店で無料で提供するものであったお茶を売り出すことにも成功したのです。しかし、売るのが専門でペットボトルの回収なんて知らんぷり、東京湾の埋め立て地がカサばかり膨らんだペットボトルで埋め尽くされようとも、自分の会社の業績を上げるだけに目をやっていましたが、最近は、ぼちぼち潰しやすいペットボトルが登場してきました。少しずつ意識が変わっているようです。もっとも石油の値上がりよって原料が高騰して、慌てて取り組みはじめたというので実態なのです。
2019年01月09日
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