現萩市は2005年(平成17年)に、6町村と広域合併。その年の3月までは萩広域市町村圏組合を構成する町となっていたが、萩市と阿武郡6町村(川上村、田万川町、むつみ村、須佐町、旭村、福栄村)が合併し、合併基金の分配方法などをめぐり他の市町村と対立。議会も合併反対派が多かったため合併協議会から離脱し、単独町政を行うことを表明。離脱した阿武町は萩市の丁度北より中央部分位置して萩市に囲まれるような地形になっている。萩広域市町村圏組合が解散したため、消防などは萩市に委託して行うことになった。阿武町全域が萩警察署の管轄となっている。消滅可能性都市の評価では72.2%、人口3,184人(115.95ku)となっている。
阿武町には、1991年(平成3年)10月に岐阜県付知町(現中津川市)の「花街道付知」らと共に旧建設省(現国土交通省)による道の駅阿武町がある。道の駅の実験施設としてオープンし、1993年(平成5年)4月22日に道の駅第1回登録の103箇所に選ばれ、 ここを「道の駅発祥の地」とぶのはそうした理由からである。夕刻には日本海に沈む美しい夕日を眺めることができ、自慢の一つとなっている。2000年に、萩しーまーとが萩市にオープン、全国有数の売り上げを誇る道の駅である。漁港に隣接していることから、新鮮な魚介類の品揃えが豊富であり、萩市における観光市場としての位置づけもあり、6次産業化も積極的に展開。
2016年には合併離脱以来3期12年町政をになった前町長の4選を阻む形で、花田憲彦氏(前総務課長。当時61才)が立候補表明した。2017年無投票で町長となった。打てば響く町民の一人ひとりに寄り添うまちづくりを推進するとフェイスブックに謳い、住民の満足度を高め、若者に住んでみたい、帰りたい町になるよう定住対策に力を注いで行いる街だとする。
今年9月には萩市の陸上自衛隊むつみ演習場に迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を配備する計画に20日の町議会で花田町長が反対理由を力説すると、傍聴席を埋めた配備反対派の住民約20人はうなずいた。反対を表明したことを巡り、町役場に21日、全国から電話やメールで約30件の意見が寄せられ、このうち6割が阿武町の表明に賛成だった。 町によると「よくやってくれた」「住民の安全安心を守ろうとする姿勢に感動した」など、賛同する意見が18件。一方で「国防に一自治体の意見は関係ない」「山口は安倍晋三首相の地元なのだから、国の政策を受け入れるのが当然だ」という声も寄せられた。発信者は東京、神奈川、石川、鹿児島などさまざま。同じ配備候補地の秋田県からはなかった。花田町長は「意見に一喜一憂はしない」と話している。
花田町長は20日の町議会で「町民の安全安心を脅かすものを排除することが自分の責務だ」と述べ、計画反対を表明。計画撤回を求める請願を採択した町議会の末若憲二議長も「採択は全会一致で、議会としての意思だ」と語り、執行部や住民側と足並みをそろえている。
防衛省は6〜8月、両市町で住民説明会を複数回開き、配備計画の概要や安全性について説明してきた。地元政財界では自衛隊員常駐や、周辺道路整備の経済効果への期待が強い。しかし、住民の間では高性能レーダーが出す電磁波による人体などへの影響や、ミサイルを発射した際の落下物に対する懸念は根強く残ったままだ。町は2016年、演習場への進入路として町有地約1300平方メートルを貸す契約を中国四国防衛局(広島市)と結んでいるが、花田町長は議会後の会見で、配備に反対する具体策として「使用目的が変わるので破棄することもある」と示唆した。
配備計画に賛成する自民関係者は、スケジュール優先で反発を買った適地調査の入札公告を念頭に「地元を刺激しないよう、慎重に進めてほしい」と同省に注文した。 「国益にかなうなら、反対する立場はとらない」としてきた萩市の藤道健二市長は、20日に記者会見を開き「まちづくりの邪魔になるだけで反対することはない」と述べ、阿武町と一定の距離を置いた。小野寺五典防衛相は21日の閣議後会見で「配備に当たり住民に影響が出ないように設計・運用することが大前提だ。地元の懸念を払拭できるよう各種調査の結果も踏まえ、指摘に対して一つ一つ丁寧に説明したい」と改めて配備への理解を求めた。
参照:毎日新聞(9月24日)
2018年11月25日
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