関係者によりますと、こうした点数操作は、平成22年に合格者の女性の割合が男子を超えたことをきっかけに始まって、3割に抑えていたということですが、入試の募集要項には男女の定員に関する記載はなく受験者側には一切知らされていませんでした。
NHKの取材に対し、大学関係者の1人は「女子は結婚や出産で医師を辞めたり休職したりするケースが多く、大学病院の態勢を維持できないという危機感があった」と話しています。
ことしの医学部医学科の一般入試は、男女合わせて2614人が受験し、171人が合格しましたが、合格率は男子の8.8%に対し女子は2.9%にとどまっていました。
東京医科大学は「現時点で点数操作については把握していない。一連の不正については内部調査で事実関係を確認し、今月上旬をめどに結果を公表したい」としています。
大学関係者によりますと、東京医科大学では平成23年から女子の得点を一律に減点するようになったということです。その理由について、大学の関係者は「女性の医師は、出産で仕事を休んだり、子育てで急な出勤や長時間の勤務が難しくなることがあり、男性医師を多めに確保できないと人手が足りなくなり、病院の運営に支障を来すおそれが出るため、女子の合格者数を抑えることになった」などと話しています。
文部科学省は毎年、各大学に入試の基本方針を示した実施要項を通知し、入試が公正に行われるよう求めています。
そこでは、大学がどういう観点で選抜を行うか受験者にわかるよう明示することが必要だとしています。
今回の東京医科大学のケースについて、文部科学省は事実関係を把握していないとしたうえで、「どういう選抜を行うかは、募集要項などに明示し公にすることが重要だ。今回のように募集要項になにも示さず、男女の性差を理由に操作していたとすれば不当だ」と話しています。
東京医科大学が女子の受験者の入試の点数を一律に減点し合格者の数を抑えていたことについて、海外メディアも大きく伝えています。
このうち、フランスのAFP通信は、結婚や出産を機に医師を辞める女性が多いことを理由にこうした点数操作が正当化されていたとして「日本の女性は一般的に教育水準が高いのに、この国の悪名高い長時間労働によって、家庭を持つと女性の多くが職場を追われてしまう」と日本の現状を伝えています。そのうえで「安倍総理大臣は女性の社会進出を推進しているが、進展のスピードは遅い」と指摘しています。
また、ロイター通信も「安倍総理大臣は『女性が輝く社会』の実現に取り組んでいるが、女性は相変わらず雇用における苦しい闘いや子どもを持ったあとの仕事への復帰で、障害に直面している」と指摘しています。
そのうえで、ロイター通信はニュースが伝えられたことを受けてインターネット上でも憤りが広がっていると伝えています。
女性医師でつくる団体「日本女医会」の前田佳子会長は「受験生に対する背信行為だ」と批判するとともに、女性医師の出産や子育てを前提にした医療現場での環境整備が必要だと指摘しています。
「日本女医会」は、出産や子育てをへた女性医師が仕事を続けるための支援などの活動を行っています。
東京医科大学の入試をめぐる問題について前田会長は「性別で入学の枠を変えるというのは衝撃的なことで、受験生に対する背信行為だと感じる。『女性は男性のようには働けない』というのは大学側の思い込みで、誤っている」と述べ、大学側の対応を批判しました。
前田会長は、今回の問題の背景について、医療現場で医師の労働環境の改善が進まないため、女性医師の出産や子育てによる休職が歓迎されない現状があるとしています。
そのうえで前田会長は「医師を目指す女性が増えてきているが、働く環境が悪いと仕事を続けられないので、環境を整えることが大切だ」と述べ、女性医師の出産や子育てを前提にした医療現場での環境整備が必要だと指摘しています。
出典:NHKニュース(8/2)
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