初戦コロンビア戦で2―1の大金星。アジア勢として南米勢からW杯初勝利となる「サランスクの奇跡」を起こすと勢いに乗り、運を味方に付けたようにポーランド戦で負けていながら、フェアプレイポイントの差でセネガルを押さえ、決勝トーナメント1回戦に進んだ。
決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では後半開始早々に原口、乾の連続得点で2―0としながらも、本気を出したベルギーにその後3点を取られ、逆転負けを喫した。特に、決勝点となった3点目について…かつてレアル・マドリード(スペイン)やイングランド代表などを指揮した名将ファビオ・カペッロ氏(72)は、本田圭祐のCKがG.K.クルトワにキャッチされカウンターからの決勝弾につながっていた事について、「あれは無責任。ボールをキープして後半終了のホイッスルを待つべきだった。私が監督だったら、首根っこをつかんで怒っていた」と指摘した。
流石にこれは厳しすぎる批判で、優勝候補の一つベルギーに対し真っ向勝負を挑んで、相手を追い詰めたのだから、多くの国民が西野JAPANに拍手を送ったのは当然だろう。いずれにせよ、山あり、谷ありの2週間大いに期待を膨らませ楽しませてくれたのは間違いない。
GK川島永嗣の師であるフルゴーニは、彼が18歳の時に初めて指導して以来、何度もオフシーズンのトレーニングを手伝い、今でも連絡を取り合っている愛弟子だという。2014年にFC東京のGKアドバイザーを務めたエルメス・フルゴーニは、イタリアでパルマ、ベローナ、カリアリなどのGKコーチを歴任した。パリ・サンジェルマンで現役続行を決めたサッカー史上有数の名GKジャンルイジ・ブッフォンの育ての親でもある。フルゴーニが贔屓目を抜きにしても、川島がW杯ロシア大会で見せたいくつかのセーブは際立って重要なものだったと指摘する。
「特にポーランド戦は、エイジのセーブがなかったら日本は間違いなく敗退していました。前半(32分)にカミル・グロシツキのヘディングシュートを弾き出したセービングは、一歩では届かない距離だったにもかかわらず、細かいステップでファーサイドに移動してダイブしています。あれはこのW杯で私が見たベストセーブの1つです。また、セットプレーから1点奪われた後(後半36分)にも、右からのクロスに槙野が足を出してニアポストの内側に蹴り込んだボールを素早い反応でセーブし、オウンゴールを防ぎました。あれも素晴らしいセーブでした。あれを防いでいなければ、日本はグループステージで敗退していたわけですからね。
「ベルギーに敗れはしたが、『いいW杯だった、胸を張って日本に帰りなさい』というメッセージを送りました。彼が初めてパルマにやって来た時、学習能力の高さと成長の速さを見て、『お前なら近い将来、日本代表としてW杯に出られる』と励ましたのですが、その時には3回も出ることになるとまでは思いませんでした。
キャリアを通して、たゆまぬ努力を積み重ねてきた結果だと思います。ブッフォンが40歳になっても現役を続けているように、エイジにもまだまだピッチの上で活躍してほしいですね。GKは何歳になっても成長できるポジションです。もう一度、4度目のW杯を目指してもいいんじゃないでしょうか」。川島の身長は185センチだが、W杯クラスのGKとしては小柄なのだそうだ。オッサンJAPANと言われたが、磨きがかかって強くなっていたことを示した2018サッカーワールドカップだった。
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