マレーシア連邦下院(定数222)の総選挙は、先月9日投開票され、マハティール元首相(92)が率いる野党連合・希望連盟が過半数の113議席を獲得した。
それまで与党であったナジブ首相による汚職疑惑などで人気が低下し、票田の多数派マレー系住民の支持離れを招いたことが主因だとされる。マハティール氏は2003年に引退するまで22年間務め引退したが、5月の選挙で15年ぶりに首相に復帰した。1957年の独立以来60年以上、政権を担ってきた与党連合・国民戦線に勝利し、初の政権交代となった。マハティール氏は親日家として知られ、復帰後初となる外遊先に日本を選んだ。
6月11日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、12日の米朝首脳会談について「地域の緊張関係が改善され、東アジアのより良い関係に貢献するだろう」と期待感を示した。 マレーシアはもともと北朝鮮の友好国だったが、昨年2月にマレーシアで起きた金正男(キムジョンナム)氏殺害事件を機に関係が悪化した。ただ、マハティール氏は「北朝鮮の指導者の態度を疑う見方もあるが、接触の機会を持つことは非常に良い」として米朝首脳会談を巡る動きを評価した。また、北朝鮮情勢の緊張緩和は「貿易拡大につながり、日韓、日中、日朝の関係も良くすると思う」と述べた。
「上手にできなかったときに自分のことを恥ずかしいと思う日本人の価値観が成長の原動力となった」と分析。中国と緊密だったとされるナジブ前首相については「大型事業のために中国から返済可能であるかを配慮せず巨額の借金をした」と批判したが、対中関係に関しては「中国は大国であり、好きか嫌いかを問わず対応し、友好関係を保ちたい」と語った。
我孫子市議会の最高齢は、82才だが、地域、人々を思う意欲と健康、見識が高ければ、大局を見る目はけして若者にも劣らないと思える。
2002年11月にマレーシアを訪れた東京都立国際高校の修学旅行生に対して、マハティール氏は、 『あなたたちには日本人の勤勉な血が流れているのだから、誇りに思いなさい』と、次のようなスピーチをした。
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発展途上国であるマレーシアは、日本から多くのことを学びました。
首相に就任した1981年、私は「ルック・イースト政策(東方政策)」を国策として採用しました。
これは第二次世界大戦で焼け野原となった日本が、たちまちのうちに復興する様から学ぼうとした政策です。
かつて読んだソニーの盛田昭夫元会長の本に描かれた、日本国民の強い愛国心と犠牲を払っても復興にかける献身的な姿は、私に深い感銘を与えました。
労働者は支給される米と醤油だけで一生懸命働き、近代的な産業を育てるため寝る暇を惜しんで技術を磨いていったのです。
日本人の中でも私がとりわけ尊敬するのは、戦後の日本を築いた盛田昭夫氏と松下幸之助氏です。
いずれも先見性を持ち、パイオニア精神と失敗を恐れずに挑むチャレンジ精神、そして独自の考えとやり方で技術革新を生みました。
さらには日の経済成長を助けるマネージメント能力を兼ね備えていたのが、彼らのすばらしいところです。
日本が明治維新後に近代化の道をたどりはじめたころ、西側諸国は単にアジア諸国の産品ほしさのために植民地を企て、次々と成功を収めていったのです。19世紀半ばにアジアで独立国として残ったのは日本とタイだけというありさまでした。そんななかで日本は欧米の覇権主義をかわし、新たな行政システムを導入し、経済を近代化していきました。
江戸から明治へ。
歴史的にみて、明治維新は日本にとって大きな転換点でした。 明治天皇の時代に下された決断の数々は、多くのことを教えてくれました。
ですから、その決断を実行した明治の先人を、私は心から尊敬しています。 多くの日本人が当時、産業技術を習得するため欧州に送り込まれました。
日本は瞬く間に欧州と同じレベルの産業の技術と、商いの方法を身につけました。さらには日本を統治しようとする欧州人の試みすら、1905年、近代化された海軍によってロシア軍を決定的に打ち負かすことで見事に粉砕してしまったのです。
その時、日本は東アジアで尊敬される存在となりました。マレーシアは、日本が成功した要因をひとつひとつ発見していきました。
それは愛国心、規律正しさ、勤勉さであり、能力管理のシステムでした。
政府と民間企業の密接な協力も見逃せません。
私たちはこれらのやり方をまね、文化をも吸収しようとしたのです。
そして自他共に求めるように、マレーシアは他のどの発展途上国より大きく発展しました。
2300万人余りの人口しか持たない小国が世界第18位の貿易国に成長したことは、マレーシア人にとって大変な誇りです。
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茶髪の高校生たちは、マハティール氏の言葉に「感動した。こんなことを言ってくれる日本の政治家はいない」と感激し、握手をして泣く子どもたちもいたという。 今、マハティール氏が思ってくれているような、勤勉でよき習慣を持つ日本人がどれだけいるか、はなはだ心もとないが、現代に生きる我々の目を覚まさせてくれる言葉の数々だ。
2018年06月20日
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