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このブログでは、地球サイズの行動派」をモットーにしてきた通り、市議・海津にいなの日々考えている事、見たこと、聞いた事、考えたこと、日々の活動を日誌としていきます。グローバルな視点で我孫子の今昔を紡ぎ合わせてABIKOと「観光」(まちの輝きを観せる意)、SDGsを率先してきたことを伝えます。
我孫子は、嘉納別荘と白樺派の関わりは深く、『リーチ先生』の新聞連載(2018)では我孫子の話がふんだんに登場していました。陶芸家として決意するリーチには、白樺派の一員として我孫子での暮らしが人生で最もハッピーな思い出だと記していた。実は、平将門の活躍の拠点だった時期もあったと調査がされてきました。NHK大河ドラマでロケ地観光のブームとなった『平将門、風と雲と虹と』(1976)の際は、まだ知られてずの郷でした。2019年では、同ドラマ『いだてん』によって嘉納治五郎の艱難辛苦がつまびらかにされ、東洋初のオリンピックが東京に決まるまでには、手賀沼もオリンピック競技施設の候補にと考えていた事が知られ、市民の浄財で嘉納銅像が建立(2020年)されました。五輪開催に奮闘した嘉納は晩年は我孫子別荘とご自宅とに半々でくらし、急逝された後にはご家族が移り住まわれていたことが近年の調査で分かってきました。さあ!智慧をもたらず巳年こそ、ねじり鉢巻きで、巻き返す年に!!

海津にいな 「あっちこち@ABIKO」活動日誌

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2018年08月30日

新渡戸稲造という国際人

第一次世界大戦が終結直後、新渡戸が東京女子大学の学長についてまだ1年もたっていない頃であった。そのころパリでは、第一次世界大戦終結の平和条約の調印とともに国際連盟が誕生した。途中から参戦した日本は棚ぼた式に戦勝国になったので、その事務次長の割り当てがきていた。

日本は中国に21ヵ条の要求を突きつけていたので「日本人は(ドイツ人に似て)好戦的で野蛮な国民ではないのか」という風評がたっていた。そのような時期に、後藤新平(当時、拓殖大学学長)の誘いに乗って新渡戸稲造が一緒に欧米の旅に出っていたのが、大正8年(1919)3月であった。事務次長についたばかりの新渡戸は、早くも日本人に対する風当たりの強さを敏感に察知していたが、「損してもよい、馬鹿を見てもかまわぬ、と覚悟を決めて、何をやるにも日本人らしく立派に振舞いさえすれば、だんだんと了解しますよ」と杉村陽太郎(新渡戸の後任の事務次長)に言い含めている。

それから数年後のある年のクリスマスでのこと、連盟職員が数百名集まった折、「このジュネーブ(つまり国際連盟)で最も人気のある人物の名を順に3人あげよ」と、人気投票をしたことがあった。その集計した結果、大変なことが起こった。全員が新渡戸の名(InazoNitobe)をナンバーワンとして書いたのである。2位と3位はばらばらだったのに、新渡戸の1位だけは全員一致していた。人気投票といっても、もちろん人格識見なども入ってのナンバーワンだったと思われる。新渡戸という人の評判は、もうこのくらい国際連盟で確固たるものになっていたのである。

4月、新渡戸はアメリカに旅立った。大正13年(1924)7月に排日移民法が施行されたのに憤慨してから、二度とその地を踏むまいと誓っていた新渡戸がアメリカに赴く決意をしたのは、一説には昭和天皇に後押しされたからと言われている。新渡戸にとってそれは「暗黒の中に入っていく(ような)気持ち」だった。

その心持ちを新渡戸は渡米直前の大阪英文毎日(3月19日)の「編集余録」に、次のように書いて自らを納得させている。

「上司の不興を買い、群集の怒りを招くのは、私の家の伝統なのだ。私の曾祖父(維民)は封建領主と意見をあえて異にしたかどで、(下北半島へ)追放に処せられた。私の祖父(傳)は、維新戦争の際は負けた賊軍側だったが、幾度脅迫を受けたか知れぬ。私自身の父(十次郎)は、いわゆる蟄居閉門中に死んだ」

しかし新渡戸は、これら3代の父祖はすべて「政治的な罪で罰せられ」た「名誉ある禁固の形」であるとして一種の誇りさえもっていた。それを考えれば、自分がアメリカに交渉に行くことなど何でもないことだと自ら納得できたのである。

折悪しく、新渡戸の渡米直前には満州国建国が、渡米直後には犬養毅首相の暗殺などが相次いだため、アメリカの世論は日本を軍国主義化の一途をたどりつつある国と決めつけていた。しかし、新渡戸には、自分にとってまったく不利なことでも、それが日米の平和の構築、戦争の回避という大きな目的のためなら甘んじて受ける寛厚な度量があった。むしろこの役目は自分にしかできない、こういうときにこそ自分が引き受けるべきだと、彼は次のような憂国の歌を詠んでアメリカへ向かった。

「国を思ひ世を憂うればこそ何事も 忍ぶ心は神ぞ知るらん」

新渡戸の主たる目的は、日本の満州政策についてアメリカの誤解を解き、対日感情を和らげることだった。新渡戸には「中国大陸は無政府状態にあるので、満州国を建国した日本こそが防波堤となってソ連の進出を食い止めている。なにもそれ以上に中国の土地を欲しいというのではない」という確固たる認識があった。それをアメリカは分かっておらず、まして日本人は口べたなので、あえて自分が代弁しにアメリカへ赴くのだという強い思いがあった。

そのため彼はアメリカで100回以上もの講演をこなし、各地で日本の立場を切々と説いた。しかし同年6月にフーバー大統領と会見したとき、彼から「最近起こった暗殺(犬養首相のこと)は、われわれみんなにショックを与え狼狽させた。日本は国際的政治に通暁した公僕を1人失った。私は日本の指導的立場の人たちが将来日本をどうしようとしているのか不安である」と言われるなど、新渡戸は非常に厳しい立場に立たせられている。このようなフーバー大統領の言からも分かるように、アメリカの世論はすでに日本にはまったく厳しく(反対に中国には好意的だった)、新渡戸の講演などでくつがえるという期待は薄かった。新渡戸はなおも全米各地で講演し、翌8年(1933)3月24日に帰国している。彼の傷心はいかばかりだったろうか。

しかし、その彼に、またもや追い討ちをかけるような出来事が発生した。彼が評判を上げて帰ってきた国際連盟を、日本がいとも簡単に脱退してしまったのである。帰国して3日後のことであった。

それでも、新渡戸は最後まで諦めなかった。同年8月、体調不良をおして、カナダで開催された第5回太平洋会議に日本の団長として出席し、改めて国際平和を訴えたのである。しかし、ビクトリア市で病床に臥し、10月15日、ついに帰らぬ人となった。我孫子のゆかりの人、嘉納治五郎といい、岩手生まれの新渡戸稲造といい、国際感覚に優れた人がいて、国際社会に敬意をもって認められていた。戦意高揚の社会風潮の中で正しく先を見ていた人の考えが無視されてしまった時代であったが、後々に気づかされることがある。


出典HP:https://shuchi.php.co.jp/article/1126?p=1



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PROFILE
ブログ製作者:海津にいな                 (KAIZU Nina、新菜)。
経歴:(株)発明工房役員、我孫子市議会議員(5期)を続行中。児童英会話インストラクター、野村総研(政策研究部所属など)勤務した。放送大卒、立教大学(観光学研究科 )修了。筑波大学大学院(博士課程後期 単位取得退学)
コミュニティ−活動:めばえ幼稚園・四小PTAの役員/青山台自治会副会長・三小・我中PTAの役員/久寺家学習指導(書道)、生涯学習推進基本計画策定委員(’99) 
NGO活動、他:NGO・ACT(我孫子カルチャー&トーク)の会、開かれた県政を進める会世話人(〜‘09)、女性のための政治スクール(10期)、千葉県ボランティアコーディネーター、千葉県観光人材育成セミナー。日本観光研究学会、eシフト、自殺対策議員有志の会、自治体ウオッチ(世話人)。
市民活動:我孫子市国際交流協会(初代理事・広報部長)、我孫子の文化を守る会、我孫子フィル後援会、我孫子地産地消協推進協議会、我孫子市消費者の会(`90〜)、エコライフ、谷津を守る会、かっぱ祭り実行委員(第1〜3回)、AYA(フィンランド劇団招聘)、きもの愛好会、湖北山の会、市史研究センター会員、まちづくり編集会議:将門プロジェクト企画。
生涯学習:オープンスクール(武蔵野美大、川村学園女子大学、中央学院大学、麗澤大学、上智大学、放送大学)にてリカレント他、国際理解活動の必要からギリシャ語、スペイン語、仏語、韓国語、英語を学ぶ。CCC(異文化コミュニケーション=英会話クラス)
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