9日、米国と北朝鮮の首脳会談が5月開催で合意したと発表された。トランプ大統領は、金正恩朝鮮労働党委員長との会談を歓迎し、非核化に向けた「大いなる進歩」だとの見解を示しているが、専門家らは、北朝鮮側には核兵器を手放す意思はないと指摘している。つまり、経済制裁の早い段階で対話開始に合意したことにより、対価として意味のある譲歩を引き出さないまま、北朝鮮側が切望する状況が生まれると警告している。オバマ前米政権で国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めたエバン・メデイロス氏は「トランプがいくら交渉術に自信を持っていても、政権には、あれほど狡猾な相手と複雑なやり取りをこなした経験の持ち主がほとんどいない」と語った。ソウル駐在大使の空席が1年余り続くなど、現在のホワイトハウスは地域をめぐる専門的知見を欠いており、ごく初歩的な外交基盤すらないままに首脳会談に臨むことになると予測する。
米ミドルバリー国際学研究所(Middlebury Institute of International Studies)の軍縮専門家、ジェフリー・ルイス氏は、「北朝鮮は20年以上にわたり米国大統領との首脳会談を目指してきた」と指摘。北朝鮮にとって米朝首脳会談は「まさに対外政策における最大の目標」だと述べた。ルイス氏はツイッターに、米朝対話は必要だが、金委員長は「北朝鮮の兵器を差し出すために」会談を求めているわけではないと投稿。さらに「金がトランプを招いているのは、自身の核・ミサイル能力への投資により、米国が彼を対等に扱わざるを得なくなったことを示すためだ」とした。
歴代の米大統領が在任中に平壌を訪れたことはなく、北朝鮮側指導者との会談も前例はない。トランプ政権では突然の方針転換も珍しくないが、韓国・延世大学(Yonsei University)のジョン・ドルーリー氏は、首脳会談が実現すれば歴史的な出来事となることは間違いないが、むしろ十分に注意すべきと語る。ドルーリー氏は「(北朝鮮と)相対するのはとても大変なこと」だとした上で、「これは始まりであり、全面的な解決ではない。しかし、非常に良いスタートだ」と述べた。
安倍首相は、米朝階段の段取りが発表される前にトランプ大統領から連絡を受けており、日米の協力体制があっての成果だと受け止め、拉致被害者の救出のためにも会談の席は重視されると話したとされる。
参照:時事コム、【翻訳編集】 AFPBB News
2018年03月11日
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