田村耕太郎 『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版社)に次のようなことが書いてあった。
私がこの本で送りたいメッセージは経営戦略に似ている。「限られた資源を無駄使いするな」ということだ。
時間もエネルギーもタイミングも、たった一度の人生を思い切り謳歌するための、限られた財産である。
それを「アホと戦う」というマイナスにしかならない使い方で浪費するなと言いたいのだ。
ナイーブで純粋でまっすぐであるがゆえに、アホな連中と無駄に戦ってしまい、心がすり切れてしまった人たちに、前向きな成果を何も生み出さない行為に時間やエネルギーを費やすことをやめてほしいのだ。
そして、その限られた時間とエネルギーを一度しかない大切な人生を輝かせることに使ってほしいのだ。
そういう意味で、この本は「非戦の書」である。
私が世界最高の非戦の書だと思う『孫子の兵法』で一番有名な一節として、「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり(百戦は百勝といっても最高の戦い方ではない。敵兵と戦わないで屈服させることこそ最高の戦い方である)」というのがある。
『孫子の兵法』が世界中の経営者に今でも愛読されているのは、「限られた資源を無駄使いするな」というメッセージが経営戦略そのものであるからだ。 「アホ」というと、ある程度心当たりがあるだろう。 要は、むやみやたらとあなたの足を引っ張る人だ。 会議でなぜかあなたの発言だけにいちゃもんをつけたり、チームメイトなのに明らかに敵意を見せつけて協力的な態度をとらなかったり、明らかにこちらの意見のほうが正しいのに、権力を振りかざしてそれをつぶそうとしたり…。
しかし、間違っても「やり返してやろう」などと思っていないことを祈る。悔しい過去にこだわり、未来を犠牲にするか、それとも、成功するための真理に集中するのか。日本社会では冷静にやるべき議論が成立せず、議論は個人の人格攻撃と捉えられがちなので、失うものが時間やエネルギーですまなくなることもある。成功者は無駄に戦わない。戦うべき時と相手を選ぶ。アホと戦う無駄を知り尽くしているから成功するのだともいえる。神経をすり減らさないための第一のポイントは、自分にもっと関心を持つことだ。そもそも、日本人は他人に関心がありすぎる。お互いが他人に関心を持っていて相互監視社会のように感じるときさえある。他人ばかり気にしていたら自分と向き合う時間がなくなってしまう。
これからは、自分が本当に何がしたいのか?
そのために何が必要なのか?
そっちに専念したほうがいい。
それがわかれば、他者のことを気にする暇なんてないことがわかる。
「良将は戦わずして勝つ」という言葉がある。
相手を力で屈服させようとすれば、こちらにも損害が出る。
策略や謀略を使っても、戦わないで勝つほうが得策だ。 それは、決してただじっと我慢して耐えるということではない。しかしながら、良将の域にいかない善人は策略や謀略に弱い。だからこそ、善人こそ策略や謀略を知らなければならない。そして、戦わないということは、清濁併せて飲むようなタフなメンタリティーも必要だ。裏も表も熟知して自分を疲弊させず、戦わずして勝つのがこれからの市民(善良なる人々)の道かもしらない。何を捨て、場合によっては諦めるか、その上で長寿、健康に、楽しく日々を送る、そういう暮らしをどう実現するか、高齢者、後期高齢者が行使できるのは1票の重みなのかもしれません。
2018年03月05日
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