成功というものには、いろいろな要素があるが、そのなかでとくに大事なもの、それは熱意だと思う」とデール・カーネギーはいっている。カーネギーは世界のベストセラー『人を動かす』の著者である。1955年、67歳で亡くなるまで、カーネギーは、全米一の社会教育家として、その名は広く知られていた。
カーネギーの文献や講座の本質は“熱意”だといわれている。
その彼が存命中、よく講演をともにした人がフランク・ベドガーである。ベドガーは、生命保険業界の人たちの愛読書『私はどうして販売外交に成功したか』の著者である。このベドガーは、1888年にフィラデルフィアに生まれた。 貧乏な家庭に育ち、ほとんど小学校さえも満足に卒業しないで、苦労した人である。うだつのあがらない保険セールスマンだった彼が、デール・カーネギーの演説講習会にたまたま出席したのが転機になった。カーネギーによって熱意の精神を植え込まれた彼は、それ以来、人が変わったように熱意の人になった。
そして、ついに全米一の保険セールスマンになっていったのである。
彼はいっている。 「世の中で熱意以上に大切な要素はないと思う。そしてこれが重要視されるのは、おそらくこういう素質をもつ者が少ないからであろう。どうすれば熱意がもてるのか。
それは唯一つ、『熱意の人になるには、熱意をこめた活動をせよ』というのがそれである。
松下幸之助翁は、「熱意」について多くの言葉を残している。
「なまじ知識があると、しゃにむに突進する気迫が、のうなります。
しかし“断じてやる”と決めて、やってみれば、案外できるものです。
鉄をも溶かす熱意があれば、何とか知恵がわくもんです」
吉田松陰は「狂愚まことに愛すべし、才良まことにおそるべし」と言った。
狂愚とは、常軌を逸して愚かなことの意だが、熱情に突き動かされて行動したり、情で動いたリ、感極まって動くような人のこと。 才良とは、行動もしないで、ただ理屈や理論を振りかざす、頭でっかちの人のこと。
狂愚の人からは熱意がほとばしり出ている。
2017年11月02日
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