2012年の『3月8日の雲』は最高56位、2013年の『Pray』は最高59位、2014年の『三年想いよ』は最高46位、2015年の『こっちの水苦いぞ』は最高34位、2016年03月11日『undemocratic love』は最高44位、2017年03月11日『ISONOMIA』は最高40位という具合に、オリコン週間ランキングで上昇を重ねている。
また毎年欠かさずおこなわれているコンサートツアーの動員力も衰えを知らない。独立事務所で、個人レーベルであるのにもかかわらず、『日経エンタテインメント』の調べによると50歳を超える(2013年当時)アーティストで、コンサート動員はさだまさしさんの23.1万人、矢沢永吉さんの15.7万人、松田聖子さんの13.2万人、山下達郎さんの11.2万人に次いで沢田研二さんは5位の8.2万人だ。
2017年7月から翌1月にかけて開催予定のツアーはホール級の会場をなんと66か所。簡単に見積もっても、毎年約10万人前後の観客を動員できるというわけだ。
沢田さんは、グループサウンドで出発して、人気アイドル的なアーティストだと思われがちだが、その音楽的な軸は1960年代〜1980年代のロック、精神的な軸は団塊の世代特有のフラワー・ムーブメントが盛んだったジョン・レノンの主張しだした平和主義にある。ロックがなにかしらの政治的思想を包括したものと定義するなら、その点で沢田研二は矢沢永吉よりはるかにロック的存在なのである。万事につけ、商業的な成功よりも精神的なこだわりを優先する傾向があり、けっして世間に迎合するばかりでない、主張を歌詞に込めてきた。