義務教育初の民間人校長であった藤原和博氏が高校生に向けて、『10年後、君に仕事はあるのか?』(2017年、ダイヤモンド社)を出しています。10年後、多くの仕事が消滅していくかもしれない中で、どんな勉強をしたらいいのか、何を身につけたらいいのか。働き方改革が言われ、テレビ視聴、新聞購読が減り、SNSによるつながりが増大している時代です。人生100年時代の生き方には、時代の変化に対して、変化対応能力を磨きたい。それは大人も考えなくてはなりません。このように、世界観、自分観、人生観が、親の世代とは決定的に異なることになるのです。だから、出る杭は打たれるとか気にしたり、理解されなかったとしても安心していい。
2020年代の半ばには、多くの親が体験した「標準的な人生モデル」は追求できないといわれる。そして、2020年に開催される東京五輪。アテネ五輪のあとのギリシャや北京五輪のあとの中国など、世界の歴史を振り返れば、オリンピックを大々的に開催するために競技場や道路整備などに投資しすぎた国は、閉幕後、景気が大幅に落ち込むんでいる、日本も同様なことが予想されます。2020年代にはおそらく求人が半減することになるでしょう。
いい大学に入って、佳い会社に入って、 結婚してマイホームを持てるか、子どもが授かるか、どうかもわかりません。だから、親の人生モデルを前提として説教しても通じなくなっているでしょう。会社で正社員にはなれないかもしれないし、大手企業に入社したとしても一生そこで働くのは珍しくなるでしょう。 新卒の一括採用が残っているかどうかさえ怪しい。
これまではなかったスマホと、それにつながったネット世界の広がりも大違いです。
グーグルは1998年生まれです。グーグル以前とグーグル以降は人種が違うと思ったほうがいいでしょう。
これからの世代は、人生の半分をネット上で暮らすことになるでしょう。
たとえば、SNSで仲間を募るというのもこれまでになかったことです。
親世代には、学校の枠を超えて仲間を集めようとすれば、伝言板にチラシを貼るくらいしかなかったんです。
今や自分の存在の半分は、ネットのなかで広がりながら他人とつながりを持つことになります。
そして、その存在を評価されることで、自分の居場所が保障される感覚がある。ネットで個人がクレジット(信用と共感)を与えられることになるのが当然になるのです。
リアルかバーチャルかは関係ありません。リアルな場はますます複雑怪奇になり、居場所がなかったり、存在を脅かされることも増えるでしょう。だから、仮にフェイスブックやツイッターが衰退することがあっても、新しいSNS的なサービスは次々と現れてきているはずです。
これまでとの違いは、人口減少の時代に、人生の長さ(ライフスパン)が変わってきます。 明治・大正を生きた世代と比較すると、これからの世代は平均寿命が2倍に延びることになります。
親世代が生きている昭和・平成の時代で、1997年までは高度成長期でした。切符を買って改札で駅員さんにハサミを入れてもらっていた時代から、スイカやスマホで自動改札を素通りできる時代へ変わってしまうなど、想像もできませんでした。子ども時代に、母親が洗濯板でごしごし洗い、竿に干す。それが今はマイコンの洗濯機、掃除ロボットがやってくれます。朝起きてご飯を炊くのも、タイマーセットなんてできなかった時代でした。面倒なことや手間のかかる仕事を人がやるというのが多かった。子供は、家の掃除や雑巾がけを手伝ったりした。つまり、不便な社会、手仕事の必要性を知っていた世代です。
世間話や値段交渉をしながら肉屋さんや八百屋さんでいちいち買い物をしていた社会から、冷凍の加工食品を黙ってレジへもっていきレンジでチンしてもらえば、すぐ温めて食べられる。そんな、なにかと便利な「コンビニ社会」に生まれてきた。これからの世代は面倒な手間を人工知能(AI)やロボットがやってしまう時代を生きていくのです。むしろ、好きなことでもして時間をつぶさなければ暇で困ってしまう。 「人生とはいかに時間をつぶすか」という感覚が強くなるはずです。そこで、新世代が成熟社会を進化させ、日本のスポーツ・文化・芸術を花開かせる可能性が高まる思われます。
夏休みの終わり、そろそろ秋風も吹いてきます。時代は変わっていき、大人たちも学び続けなくてはなりません。
2017年08月20日
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