2017年07月18日

2025年問題、団塊世代が皆後期高齢社会

厚生労働省の調べによると、在宅介護で要介護者と介護者が共に75歳以上の世帯が29%、共に65歳以上の世帯が51.2%で、在宅介護の半数は老老介護だとの実態が明らかになっています。介護者は配偶者の場合もあれば、独身の息子、娘の場合もあるでしょう。今は様々な介護サービスがあるとはいえ、子どもの場合でも90歳の親を65歳の子どもが介護するわけです。収入の如何によっては、サービスがあっても利用できないという事情もおきています。

同じことは、相続の現場でも起きています。財務省がまとめたデータによると、相続発生のとき「年齢80歳以上」の被相続人は、平成元年では38.9%でしたが、平成25年には68.3%になっています。しかもそのうち90歳以上が23.7%です。超高齢化の進展を考えると、被相続人の高齢化は、さらに進むかもしれません。

相続する子どもの年齢を想定すると、被相続人が80歳以上で50代、90歳以上で60代です。これでは、資産を受け継いだ子世代の多くが子育ても終わり、老後の人生を考え始めるころです。そうなると、せっかく受け継いだ資産が消費されず社会に出回らないという社会的問題が考えられます。

社会に還元される相続の在り方を考えれば、住宅購入や子どもの教育費にお金のかかる、30代、40代のうちに資産の移転があれば、資産は積極的に消費され、経済が活性化します。日本経済の成長のためには、とても重要なファクターなのです。そこで政府は、若い世代に早めに資産が移転されるよう、相続税対策にもなる生前贈与の特例を次々に施行しています。

まず以前からあるものとして、住宅取得資金の贈与に関するものがあります。住宅購入は金額も大きいため、その増減は、日本経済を占う上でも重要なバロメーターになります。住宅取得資金贈与の非課税枠を活用すれば、一度に大きな資産が移転できるでしょう。住宅取得資金贈与については、相続時精算課税制度の中にも非課税枠がありますので、併用すればかなりの金額を非課税で贈与することができます。そして、平成25年度から創設されたのが「教育資金の一括贈与制度」です。教育資金に関しては、その都度、贈与しても非課税なのですが、一度に1,500万円まで非課税で贈与できるとあって、孫への贈与に活用が進んでいます。利用するには信託銀行等に預け、利用する度に領収書等が必要になるなど、いささか煩雑なのですが、さらになる活用促進に手続きの簡素化が進むかもしれません。


また、平成27年度から創設されたのが「結婚・子育て資金の一括贈与制度」です。受贈者一人あたり1,000万円まで(結婚資金は300万円まで)が非課税になります。そして、平成28年11月からは「ジュニアNISA」制度が創設されました。対象年齢は0歳〜19歳です。年間80万円まで株や投資信託で得た売却益や配当金が非課税になる制度です。ポイントは、投資口座は親権者が管理し、投資資金は原則18歳になるまで引き出すことができないことです。暦年贈与として、ジュニアNISAを活用することも考えられます。これらの優遇制度は、孫への生前贈与として活用が期待されるものです。相続税対策としても、資産の移転を一世代飛ばすことになる生前贈与は有効でしょう。これらの特例は、期限が決まっており、活用には注意が必要ですが、恒久化されるのではないかとの見方もあります。

相続税対策としては、国が経済活性化のために行っているこれらの制度をいかにうまく活用し、有効な資産の移転を考えるかがポイントとなってきます。


老老介護の最悪のケースが、認知症患者が認知症患者を介護するという「認認介護」です。認認介護の実態把握は難しいのですが、認知症の人と家族の会では、80歳頃の老老介護世帯の11組に1組が認認介護ではないかと試算しているようです。この事は、相続にもあてはまります。

長寿・高齢社会での相続対策は、相続発生時の対策だけでなく、被相続人の意思能力が衰える前に対策を講じておくことが重要なのです。今「2025年問題」が懸念されています。団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達することにより、介護・医療費等社会保障費の急増が懸念される問題です。

厚生労働省の推計によれば、2025年には認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。認知症は、とても身近な病気なのです。老老相続の推計で見たように、被相続人、そして相続人が配偶者、子どものどちらでも、認認相続の可能性が十分にあるということです。

被相続人の意思能力がなくなると、資産は事実上凍結され、遺言も残せません。相続発生時に、遺言の作成時の意思能力の有無が問題になることもあります。もちろんその時に認知症だったことが判明すれば、その遺言は無効になります。つまり、相続対策は、被相続人の意思能力がなくなってからでは手遅れなのです。そして、それは、予兆もなく急にやってくることを覚悟しなければなりません。

老老相続の本格化が近づく中、注目されているのが「家族信託」です。
家族信託は、依頼する「委託者」、資産の利益を受ける「受益者」、資産の管理・運用を託す「受託者」から成ります。家族や親族など信頼できる人を「受託者」として選任することができます。また、委託者が死亡した後でも効力を持続させることが可能ですので、受益者である相続人が財産管理できない場合でも、資産の管理は引き続き受託者が行うことができます。

老老相続の場合、被相続人だけではなく、相続人の配偶者も認知症の場合があります。その場合は、「家族信託」で資産の管理・運用を託す「受託者」に子どもを決めておくことで、配偶者の生計維持や二次相続まで含めた対策が可能になります。もっとも家族信託はまだ始まったばかりで、設計が自由なだけに、今後様々なケースで問題や課題が発生することも考えられます。信託契約の内容は、ケースバイケースで設計をすることになります。遺言や成年後見制度との組み合わせも考慮しつつ、司法書士、税理士、弁護士などの第三者としての専門家にも相談することが必要です。

実は相続の対策や計画の検討・実施には、気力や体力があるうちにしてこそ気遣いも出来て、成就できるものです。そういう意味においても、心身共に元気なうちに着手して、前述の生前贈与や土地活用などの相続対策を早めに計画することが必要です。


参照HP:
http://www.asahi-kasei.co.jp/maison/chiebukuro/report/souzoku/2016/11/post_1.html


posted by Nina at 00:00| 千葉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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