2017年07月11日

観光は学びの場、国際理解に繋がる

  2016年の中国人訪日観光客は637万人で過去最多となり、「爆買い」と騒がれた15年よりも27%も増加した。中国人観光客は増え続けている。しかし、アメリカ同様に中国は多民族国家であり、社会階層が幾重にも分かれ、分断されている中国人の生活や考え方は、日本人には理解しにくい。富裕層は画一的に見られ、扱われることに不満を抱いている。富裕層が感じている不満を解消すれば、それは新たなビジネスチャンスになるだろう。ちなみに、訪日外国人1人当たりの買い物にかける費用のランクは、1位が中国(14.3万円)、2位が香港(8.5万円)、3位が台湾(5.7万円)である(観光庁「訪日外国人消費動向調査 2015年7〜9月期の調査結果(速報)」から)。

 多くの訪日客が見込めるのは、中華圏の旧正月「春節」の休暇(27日〜2月2日)は、観光や小売業の関係者にとって書き入れ時が、中国の大みそかは1月27日で、新年は28日からが春節だ。中国人の“民族大移動”となる。この時期の中国では、国内線の飛行機や鉄道はもちろん、海外旅行に行く人で国際空港もごった返す。どこもかしこもいつも以上に混雑して、殺気立っている。10月には、国慶節の連休があるので、こちらが次なるシーズンだ。

 最近は、リピーターがまだ行ったことのない場所を選択。ネットなどを見ながら綿密に旅行計画を立てた。その際、春節は会社が休みになるが、「その時期だけは避けよう」と時期をずらして来日する人たちも現れてきた。航空券が高くなり、混雑するという以上に、中国人の団体観光客と海外で鉢合わせすることに強い嫌悪感を持っていたからだ。

 「春節に日本に行けば、団体客と一緒になることは避けられません。観光地に行かなくても、駅などでどうしても遭遇してしまいます。いちばん嫌なのは、そういう時期、日本人の対応がちょっと冷たくなること。中国人の対応に疲れ切ってしまうからでしょうか。見下したような態度で、あまりよい対応はしてもらえません」 夫婦は大の日本好き、留学した経験もあり、日本人のホスピタリティーにいつも感心している。夫婦そろって英語も上手だし、服装も洗練されている。そんな中国人カップルは、日本人の中国人に対する十把一からげな対応にさみしい思いをすることがあるわけだ。

 ドラッグストアで大騒ぎで買い物をする中国人観光客の一団に「団体だと気が大きくなるのも理解できるのですが、恥ずかしさに耐え切れず、店を飛び出してしまいました。これまでは有馬温泉とか天橋立とか、静かで中国人客が少ないところに出かけていたので気がつきませんでしたが、あれでは、変なとばっちりを受けないとも限りません」という中国人もいる。

 思い返せば、日本にもアルアル「おのぼりさん観光客と一緒にされたくない」という海外旅行での心理、そういう中国人個人旅行客への“スペシャルなおもてなし”をするツアーが次なるブームだ。

 たとえばマイクロバスなどを用い、貸し切って周遊するという、タクシー会社が提供しているプランだ。都内から目的地まで往復8時間がセットになっていて、英語や中国語で観光案内もしてくれる。家族や友人だけでゆったろ過ごせるし、好きな場所で車を止めてもらったり、行ってみたいレストランに案内してくれたりする、お抱え運転手のような使い方だ。

 数年前から始まっている医療ツアーも人気だ。こちらも夫婦だけ、友だち同士だけで、特定の病院で全身の健康診断やがん検診などを受けながら、露天風呂つきの豪華な施設に宿泊するというもの。中年以上の中国人は健康診断の経験がほとんどなく、健康に不安をもっているので、団体観光ではできない「スペシャル感」を求める人にはきっと満足のいくだろう。

 東京・銀座の個室サロンでの高級エステや、高野山の宿坊に泊って高名な僧侶の説法に接し写経をするような体験も、静かな場所でリラックス、精神修養になると大人気だ。いずれにしても、富裕層相手にプラスアルファの付加価値をつけ、その際に、他の中国人客と一緒にならない配慮をする点がポイントだ。団体の観光ではできない街にも、ビジネスチャンスがある。他国から来る人に、自慢できる何か特別なモノ・事・心がある街であれば、富裕層や学習意欲旺盛な人々をターゲットとして、これまでは「数を売る」ことが重視されてきたかも知れないが、「量よりも質」の提供の出来る観光が街を活性することにもなろう。



 外国人観光客に対して、ゴールデンルートという東京、大阪を5泊くらいで周遊するグループツアーがポピュラーだが、そのほかでは愛知、静岡、山梨は、中国人の観光客に人気はの他の国と比べても際立っているところだ。
 
 この地を訪問するのは、日本一の山「富士山」が目的である。中国では3千メートルを超える山らしい山、富士山のような美しい独立峰が珍しいからだ。 他にも意外な理由がある。富士山周辺が、中国の人気小説でドラマ化もされた『杜拉拉昇職記』(杜拉拉(ドゥ・ララ)は主人公の名前。主人公の昇進を描いた物語)の恋の舞台として取り上げられたことだ。富士山周辺は物語のファンにとっては“聖地”というわけである。この地を訪れた中国人は、富士山を眺めながら杜拉拉の恋物語に思いをはせているに違いない。

 旅行目的のアンケートで答えが多かったのは、1位が「日本食を食べること」、2位「ショッピング(を楽しむ)」で、9割前後の人がこの2つの項目を選択した。以下、「自然・景勝地観光」「繁華街の街歩き」「旅館に宿泊」「温泉入浴」なども上位に入っている。

 これらの結果から、「ゴールデンルート」の旅では、富士山や伊豆・箱根に立ち寄って自然を満喫し、旅館でゆっくり温泉につかり疲れをいやす。一か所一か所の訪問地は短い滞在となるが複数の名所・景勝地を楽しんで、最後の訪問地・東京や大阪ではたっぷりショッピングをして帰るという旅のパターンが透けて見える。

 また、「日本の酒を飲むこと」「テーマパークで遊ぶ」「映画・アニメ縁ゆかりの地を訪問」なども挙がっている。このことから、日本の食文化、中国に未いまだ少ないテーマパークに加え、アニメや映画・音楽などソフトの魅力なども、日本への旅で楽しんだことがわかる。

 それでは、「次回したいこと」何か。この中で興味深いのは、「温泉入浴」である。「今回したこと」が6位で、「次回したいこと」では4位に上昇している。中国人は温泉への興味が高いらしい。というか、世界中が、箸と醤油、サシミを受け入れるようになり、和食をヘルシーだと健康文化として認めた次に来るのは、温泉のはずだ。これこそ、日本人の長寿の理由の一つだろう。

 日本の温泉を体験した外国人は、日本の温泉の入り方に“ハマって”しまう人も多い、ヌーディストビーチではないので、男女別だが、たっぷりのお湯につかる裸の解放感を初めて味わうからだ。ニセコではスキー客が、ゲレンデ以外に温泉場も占拠してきている。富士山を見ながら露天風呂に入ったり、ヒノキのぬくもりを感じたりなど……。“温泉の魅力”は日本の新発見かもしれない。

 「温泉入浴」のほかでは、「四季の体感」「スキー・スノーボード」「自然体験ツアー・農漁村体験」「日本の歴史・伝統文化体験」「舞台鑑賞」なども上位に挙がっている。2回目以降の訪日で、免税での爆売ではなく、暮らしぶりへの興味へと広がり、日本での体験型の旅をしたいと考えるのである。

 体験型で人気といえば、着物の着付け体験やレンタルは中国の女性に人気が高い(もちろん、世界中の女性に人気だ)。そして寺や神社、癒し効果の知られてきた「お抹茶」に甘いのに洋菓子より数段ヘルシーだと知られてきた「和菓子」もある。歴史と伝統、和食の文化を堪能できるところにチャンスだ。

 最近では北陸新幹線が開通した石川も人気が急上昇している。金沢をはじめとした和の文化を体験できる取り組みが増えている。たとえば、加賀友禅や金箔きんぱく工芸、陶芸など、伝統工芸が体験できるツアーである。

 自然体験や四季折々の趣が体感できるツアーも人気が高くなってきている。中国では大気汚染などの環境問題が他の国に比べて深刻だ。自然体験への意識が高い、保養になるなら子供連れで多少お金がかかってもいとわない。中国資本によるホテルの買収等も顕在化しつつある。こうした動きに対応する適切な法の整備も課題となろう。

 今後の課題としては、2回目、3回目の訪日という人たちも見据え、大都市に偏りがちなツアー客をいかに地方へ誘導するか、旺盛な購買力をいかに地方の産品へと波及させるか、ということである。そのためには、地方にある魅力的な観光地、大自然や歴史・文化などの名所をさらにPRし、興味と関心を掻かき立てることが大事である。また、中国語、英語を話せるスタッフの充実、受け入れ態勢の整備も求められる。大型バスの駐車場の確保や宿泊施設の増強、民泊活用のルール作りも急務である。

 現在、旅行業界では、中国人観光客の地方への誘導を促進するため、新しい旅の開発や提案によりいっそう力を入れている。ネット上に旅情報サイトを立ち上げ、予約受け付けサービスや観光情報の提供などにも力を入れている。日本を訪れた旅行者が、心に残る楽しい思い出をたくさん作れるよう、受け入れる側も素晴らしい出会いが生まれる“おもてなし”ができるよう、質の高い観光地づくりに取り組んでいくことが大切だ。


参考HP
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151225-OYT8T50107.html?page_no=4&from=yartcl_page#csidx78be151ec1dae288e32fa740b69ab8e




posted by Nina at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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