日刊建設新聞の少し古い記事に 県総務部市町村課が、「各市町村の総合的な財政情報」の開示について明らかにしたというのがあった。http://www.jcpress.co.jp/wp01/?p=4344
それによると地方公共団体の財政情報の開示を一層推進するため、普通会計に加え企業会計などの特別会計の状況や第3セクター等の経営状況および財政援助の状況も含めて、総合的な財政情報を公表したもので、県のホームページから県下54市町村の情報を入手できる。このうち36市について、財源余裕を示す財政力指数をみると、1.0を超えたのは12市で、浦安市が1.63と最大になっている。
財政力指数は、地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。財政力指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕があるといえる。
財政力指数が1.0を超えたのは、浦安市のほか、千葉市(1.019)、市川市(1.17)、船橋市(1.04)、成田市(1.50)、佐倉市(1.00)、柏市(1.01)、市原市(1.22)、八千代市(1.02)、君津市(1.31)、富津市(1.04)、袖ケ浦市(1.33──の11市だった(20年度:11市)。
一方、経常収支比率は、地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標。人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税や普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減税補てん債および臨時財政対策債の合計額に占める割合となる。同指数は、経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見る指標であり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表すもの。
経常収支比率について、比率が95%を超えた市は、千葉市(99.2%)、東金市(98.6%)、館山市(96.8%)、我孫子市(96.8%)、柏市(96.6%)、習志野市(95.7%)、八千代市(95.7%)、佐倉市(95.6%)──の8市となった。
また、実質赤字比率は、地方公共団体の一般会計等を対象とした実質赤字額の標準財政規模に対する比率のこと。福祉、教育、まちづくり等を実施する地方公共団体の一般会計等の赤字の程度を指標化し、財政運営の悪化の度合いを示す指標ともいえる。別表では、実質黒字額の標準財政規模に対する比率を正数で表示している。この比率が高いほど財政状況は「黒字」となり、県内36市の21年度決算においては、実質赤字は生じていない。
実質赤字比率の比率が高い市(上位10市)は、印西市(13.91%)、木更津市9.04%)、旭市(8.68%)、いすみ市(8.12%)、鎌ケ谷市(7.92%)、南房総市(7.85%)、香取市(7.77%)、君津市(7.52%)、鴨川市(7.30%)、白井市(7.13%)──となった。
一方、実質公債費比率については、地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金および準元利償還金の標準財政規模を基本とした額に対する比率。借入金(地方債)の返済額および返済額に準じる額の大きさを指標化し、資金繰りの程度を示す指標ともいえる。財政健全化法の実質公債費比率は、起債に協議を要する団体と許可を要する団体の判定に用いられる地方財政法の実質公債費比率と同じになる。
現在、地方分権の進展に伴い、地方公共団体の行財政運営については、住民に対する説明責任を果たすことが更に重要になっている。また、地方財政の状況が極めて厳しい中、21年4月1日に地方公共団体の財政の健全化に関する法律(以下、財政健全化法という)が全面的に施行され、自らの財政状況についてより積極的に情報を開示していくことも求められている。
各地方公共団体においては、地方自治法に基づく決算や財政状況の公表などに努めており、県・総務省においても、地方財政状況調査等に基づく「決算カード」をはじめ各種調査・統計を公表してきた。そのほかの公表では、17年度決算から、県内市町村の「財政状況等一覧表」を一覧の形で提示し、19年度決算分からは、財政健全化法に基づき健全化判断比率および資金不足比率も見せている。夕張市の財政悪化が露呈、平成19 年3月に財政再建団体に指定された現実もある。算定基礎になった「一般会計等」「公営企業会計などの特別会計」「関係する一部事務組合等の財政状況」に加え、「第3セクター等の経営状況および財政支援の状況」を含めた総合的な財政情報として公表するようになっている。
別表の実質収支比率は、実質収支の標準財政規模に対する割合。実質公債費比率は、18年度からの地方債協議制移行に伴い導入された指標で、公債費等の財政負担の程度を客観的に示す指標として、公営企業会計や一部事務組合等の公債費等を考慮した、実質的な公債費に費やした一般財源の額が標準財政規模に占める割合になっている。
2017年06月30日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック