法務省の2017年3月17日付発表によると、2016年末時点の在留外国人数は計238万2,822人(前年比6.7%増)に上った。政府は「外国人技能実習制度」を拡充し、外国人労働者の受け入れを増やしているため、日本で働く外国人労働者は2016年時点で100万人を突破。日本人としても、国が外国人観光客の増加を進める一方で、労働市場でも外国人の力をあてにする現状があることは知るべきだ。
在留資格の中でも、期間が定められて働く「技能実習」の資格で日本に滞在する外国人は前年比18.7%増の計22万8,588人となっている。さらに全体に占める割合は9.6%となった。すでに日本全国で働く技能実習生は20万人を超え、在留外国人に占める割合は約1割にもなっている。 安倍政権が進める「留学生30万人計画」によって、留学ビザの発給基準を緩和したことも増加の要因だ。
外国人技能実習制度のもとで来日した技能実習生は日本全国で働いており、その就労先企業の業種も製造業、農業、水産業、建設業など多様だ。アジア諸国の労働者を期限付きで受け入れる日本の「外国人技能実習制度」。日本政府はこの制度の拡大に向け動いている。厚生労働省はホームページで、技能実習制度の目的について「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること」と説明している。
ただし、こうした「国際協力」を建て前に掲げつつも、現実的には、人手が足りない企業が「労働力」として技能実習生を受け入れる例が多く、制度の“建前”と“現実”のかい離が指摘されてきた。技能実習生の受け入れ企業はさまざまだ。前述したように受け入れ企業の業種は多様な上、企業の中には実習生に仕事を丁寧に教えたり、交流の機会を設けたりするなど大事にするところもある。だが、受け入れ企業による不正行為もこれまでに多数存在してきた。賃金の未払いや最低賃金規定の違反、就労時間の規定違反、人権侵害やハラスメントなど、数々の課題が起きており、中には劣悪な労働状況に置かれている技能実習生もいる。
渡航前費用は時に100万円を超える高額になることもあり、技能実習生はこの費用を支払うために借金をして来日する。来日後は就労しつつ、この借金を返すことになる。これほど高額の渡航前費用を支払ってでも来日するのは、ベトナム政府が「国策」として自国民の出稼ぎを推奨していることに加え、ベトナムでは送り出し機関が「出稼ぎビジネス」を積極的に展開し、「日本にいけば稼げる」と盛んに喧伝していることがあるだろう。さらに、日本がいまもベトナムの人にとって「経済的に発展した憧れの国」ととらえられている中で、多くくの人が日本行きに大きな期待を抱いてしまうのだ。
2016年に実施した「外国人労働者のためのなんでも電話相談」では、ベトナム出身者からの相談が多かった。劣悪な住環境に押し込まれているケースもある。都内のある日本語学校ではアパートの1室を「寮」として使っていた。4畳半程度の一室に狭いユニット式の風呂とトイレ、1人で暮らすにしても狭いのにベトナム人留学生が3人で暮らしていた。1室9万円1人月3万円なのでアパートとして借りた場合の2倍ほどになる。日本語学校がボッタクっているのだ。これに学費を加えれば、留学生の負担は年100万円を超える。平均賃金が月1万〜2万円というベトナム人にとっては多額だ。
こうした実習生の“奴隷労働”が指摘されるようになっているが、留学生の置かれた状況は実習生より更にひどい状況もおきている。アルバイトの時間規制がないため仕事は実習生もやらない夜勤の単純労働が中心で、時給も最低賃金レベルに過ぎない。日本人が嫌がる仕事の担い手として、都合よく利用されている。本来は親日の若者を育てるべき留学制度が、逆に反日の外国人を増やす結果になっている。
ここ数年では年金や社会保険に関する相談が増えているようだ。「外国人労働者のためのなんでも電話相談」では弁護士に直接相談できるため、交通事故や金銭トラブルなど弁護士の対応が必要な相談が寄せられており、そうした相談の割合が他の相談案件に比べて増えている。
こうした技能実習生を送り出す団体が学生たちを搾取していないか、送り出すの側の問題も監督し、技能実習生の権利を保護する取り組みが求められる。日本政府は労働者不足に悩む業界の要請を受けて、『単純労働』分野での外国人受け入れを拡大する。そのため、今後、こうした要請で受け入れを拡大する場合、外国人の労働力を利用するだけの受け入れではなく、平等の原則のもと外国人労働者の処遇を改善する必要がある。外国人技能実習制度の現状を日本社会もきちんと認識し、彼らを支える体制を整えることも急務となっている。
労働基準部監督課では、こうした外国人のため、労働相談窓口を開設するようになった。千葉労働局では、賃金・労働時間・安全衛生・労災補償のトラブルなど何でもご相談できるよう、ベテラン相談員を置いている。
場 所・・・千葉労働局労働基準部監督課(千葉市中央区中央4-11-1千葉第2地方合同庁舎)
受付日時・・・火曜日・木曜日 午前9時から午後5時まで(但し、第1火曜、第5火曜・木曜を除く)
まずは事前に問い合わせ。043-221-2304
参照:https://news.yahoo.co.jp/byline/sunainaoko/20170329-00069273/
日本政府は2008年、「留学生30万人計画」を発表しました。これは、日本への留学生 を、2020年までに、当時の14万人から30万人に増やそうという計画である。グローバルな時代の中で、日本が、高度人材の大きな供給源となる留学生を高等教育機関に積極的に受け入れていくということは、日本の国際的な人材強化につながるのみならず、日本と諸外国との間に人的なネットワークが形成され、相互理解と友好関係が深まり、世界の安定と平和への貢献にもつながる。
すでにドイツでは高等教育機関に学ぶ学生のうち海外からの留学生の割合は12.3パーセント、同じくフランスでは11.9パーセントとなっています。(これが英語圏になると、例えばイギリスは25.1%、オーストラリアは26.2%が海外から受け入れた留学生。)我が国の高等教育機関が、他の先進国と同様に、海外からの留学生の受け入れ数の水準を確保していこうとする際、現在の3%強からドイツ、フランスに届くような10%程度(つまり300万人のうちの1割≒30万人)の受入れが必要となる。
また、世界の留学生市場は今後急拡大をするというレポートもあり、そのレポートでは留学生数は、2015年には500万人とされるのが、2025年には700万人規模と試算されている。現在、世界の留学生数における日本の受入れシェアは約5%程度なので、仮に中間の2020年を600万人とすれば、現在の受入れシェアを確保しようとした場合、約30万人程度の留学生を受け入れとの試算になる。
また別の背景には、日本の少子化による大学の学生数の減少によって、2015年では定員割れした私立大学は44.5%にも及んでいる。こうした私立大学では外国人の受け入れを増やして、結果的に出稼ぎ目的で来日したい外国人の受け皿になり、彼らは人手不足の労働現場に吸い込まれていくのだ。 国際観光振興機構によると、2015年来日したベトナム人は18万5395人で、2005 年と比べ約8倍に増加し、経済的にも裕福になったようにみえるが、まだまだ貧しい家庭が多いのも本当だ。
現在、日本は人口1億2686万人、その4分の1が65歳以上。 (正確には、内閣府の「高齢社会白書」
平成28年版で65歳以上の比率は26.7%)
日本とベトナムの生産年齢人口 (15歳〜64歳の人口)だけを比べると、
2015年現在で、
・日本の生産年齢人口は、7696万人
・ベトナムの生産年齢人口は、6557万人
となっている。そのベトナム人が留学生という資格で来日数が増加。2010年に5000人程度だったのが、6年間で10倍以上に増えている。他方、国内人口における在日外国人の7%弱に過ぎないベトナム人が、2015年において、残念なことに刑法犯の検挙数の4分の1強を占めてトップになっていた。
「ルポ ニッポン絶望工場」の著書があるジャーナリストの出井康博さんは、日本への送り出しブローカーと、一部の悪徳日本語学校に食い物にされ「奴隷労働」を強いられているベトナム人留学生の実態を取材してきた。「福岡県に本部を持つある大学は、東京都心に持つキャンパスの学生の9割以上が留学生です。少し前までは大半が中国人でしたが、この2-3年はベトナム人が急増しています。高い学費を稼ぐために、日本人がやらなくなったコンビニ弁当の製造、宅配便の仕分け、新聞配達といった夜勤の肉体労働現場に入ることになる。悪質な日本語学校や大学、それに人手不足の企業の食い物にされ、まるで『奴隷労働』のような状態です」と説明する。 発展途上国の若者たちが多額の留学費用を借金して来日してきている。アルバイトは日本人が敬遠する最底辺の仕事ばかりだ。賃金も最低レベルで、想像していたほどには稼げない。嫌になって逃げ出そうにも、借金を背負ったままでは国には戻れない。思わぬ誘いで、犯罪に手を染める実態が出来上がっているのだ。悪質なブローカーや日本語学校があるのであれば、摘発しなければならないし、少子化で経営難の大学の現状を見直し、勉学目的を第一にできるよう是正すべきだ。
2017年06月21日
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