我孫子の周産期医療はどうなのか、今議会でも質した。あってはならないが、他市では妊産婦の緊急受入れがされずに、揚句にたらいまわしとなって死亡した。当市の場合の緊急受け入れ先は、松戸にも及ぶということであった。少子化と言われるが、産み月にある女性が安心していられるようになっていなくてはいけない。
最近は、ネウボラを参考に、進んだ子育て・女性施策を進めようと話題になる。neuvoは助言やアドバイス、laは場・場所を意味するフィンランド語。フィンランドにおいて、妊娠期から出産、子供の就学前までの間、母子とその家族を支援する目的で、地方自治体が設置、運営する拠点のことをネウボラという。また、出産・子育て支援制度のこともいう。フィンランド国内に約800のネウボラが設けられており、保健師1人当りで年間約50人の妊婦を担当し、出産後は400人あまりの子供とその家族の相談に応じている。
フィンランドでは、通常、妊娠の兆候のあったとき、無料の検診を受けるためにネウボラに行き、以降は母子の健康診断や保健指導、母親の心理面のサポートなどで、妊娠期間中に10回前後通う。出産後は、子供が小学校に入るまでの間、定期的に訪れる人が多い。ネウボラでは、一人の保健師が子供やその家族と対話を重ねながら継続的に担当することになっており、医療や健康に関することだけでなく、子供の成長や子育て、家庭の問題など、その時々の悩みを相談できる場所でもある。必要に応じて看護師、ソーシャルワーカー、心理士など専門職によるサポートが受けられるほか、医療や社会福祉などの関係機関との接点にもなっている。利用者のデータは通常50年間保存され、医療や子育て支援のためだけに利用される。すべての自治体に設置されており、国民はだれでも無料で利用できる。
ネウボラの原点は、フィンランドのロシアからの独立まもない1920年代初頭にある。当時、周産期の妊婦や乳児の死亡率が高く、母子の安全を守るため、小児科医や助産師、看護師の有志らが自主的に行った妊婦検診に端を発している。その後、育児に必要な物品などを支給する育児パッケージの給付が民間の手で始められ、助産師の自宅などを利用した母子支援の活動とともに徐々に広がっていった。1944年、このような支援活動が国によって制度化され、自治体には出産・子供支援の地域拠点のネウボラを設置することが義務づけられた。
フィンランドは、女性のほとんどがフルタイムで働く男女共同参画の先進国であるが、合計特殊出生率は約1.8(2012)の水準を保っている。2014年(平成26)の合計特殊出生率が約1.42へと低下している日本では、2014年度から厚生労働省が、ネウボラを参考に千葉県浦安市、東京都世田谷区、埼玉県和光市、愛知県高浜市、三重県名張市などの市区町村で、妊娠・出産包括的支援モデル事業を行っている。厚生労働省は妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援を行う包括的な窓口を、2015年度中に全国150か所に設置する方針である
2017年03月15日
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