畳の部屋は、夏涼しく、冬暖かなのが特長。イ草の香りには心を癒やす森林浴効果もあり、都市部の高級ホテルなどでも和室を売りにする施設が増えている。「ホテルグランドアーク半蔵門」は、窓から皇居が見渡せる和室が人気で「外国人からの指名が増えている」(営業企画課)という。
「畳の上を素足で歩き、風呂でゆったりお湯につかる。そして、活力を取り戻す」(畳生活提案協同組合元代表理事の穴水美樹氏)といった、非日常の体験も外国人には魅力になっている。
国内では住環境の欧米化で、一般住宅向けの畳需要が低迷している。農林水産省によると、国産畳表の生産量は2015〜16年度が254万枚で、10年前(688万枚)に比べ6割減となっている。
その一方で、外国人の間では畳の人気が高まっている。東京・大手町の「星のや東京」はオフィス街にありながら、館内に一歩入ると別世界。玄関から部屋まで畳が続き、老舗旅館のような趣だ。宿泊者の約6割は外国人で、リピーターも多いという。京都市下京区の「リーガロイヤルホテル京都」は、従来の和室に加え、「畳文化に触れたいが、寝る時はベッドがいい」との外国人の要望をくみ、9月に和洋室を導入した。
20年の東京五輪に向け、海外からのお客さまを「畳でおもてなし」しようとの企画が官民双方から挙がっており「畳市場は熱気を帯びていく」(全国畳産業振興会の神辺※一会長)(※金ヘンに榮)様相だ。こうした外国人の畳への関心の高まりは、畳の魅力を日本人が再発見するきっかけにもなるはずで、穴水氏は「畳の良さを広く発信し、畳文化を未来へつないでいきたい」と話している。
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