17日、韓国では日本のセンター試験にあたる「大学修学能力試験」が行われている。朴槿恵大統領の友人にからむ不正入学疑惑への批判が強まる中、受験生たちからも、怒りの声が聞かれた。
午前7時、まだ薄暗い中、試験会場の前では、大勢の生徒たちが、受験生の応援を行っていた。
「大学修学能力試験」は、学歴重視の韓国社会では、人生が決まるとも言われる現代韓国の天王山となっている。兵役拒否と教育の不正は同じ罪深い行為だとされる。
そのため、受験問題を製作する学者たちは、34日間もの缶詰め状態にされる、外と連絡が取れない。水も漏らさぬ態勢。合宿所の窓には外に紙を投げて、漏洩したりしないよう、網が張られて、ごみも捨てられない。
約1050ヶ所の受験会場に分かれて、前日に受験場所が送られてくるため、警察も動員して学生を送り届ける。
11月の第三木曜は、重要な試験で、国全体で受験生を支援する。受験の時間は車はクラクションを鳴らしてはいけない。国内、国際線は待機モードで八革新の音を立てないように厳戒態勢さながら。小学校高校休み 始業時間をずらす。分っている人はこの日は韓国に行かない。
この朝も、遅刻しそうになり、パトカーで送ってもらう受験生の姿が見られた。
ところが、朴大統領の友人・崔順実(チェ・スンシル)容疑者の娘・チョン・ユラが大学に不正入学した疑惑が持ち上がる中で実施され、受験生らも、怒りが露わになってきた。崔容疑者の20歳の娘は高校在学時期に16日しか、出席せず、名門女子大学に入学。母親の捜査が進むのを知ってなのか、ドイツからインターネットで退学届けを出していた。そこで、入学を取り消す処置にすべきだとの声までも上がっている。崔氏は大学入試情報や自分が所有している土地周辺の開発情報まで入手していたとの疑惑も出てきた。
韓国の受験戦争は厳しい。受験生は、いよいよの時期になると学校では朝6時から学校、夕方6時まで授業が続く、10時まで学校の自習となったのは過激になる塾競争を終わらせるためだった。が、それでも余裕がある家庭では塾に行かせ、家庭教師をつけて、最近では塾のそばにいざというとにのアパートを借りるなどのサービスもある。学生たちは、勉強していて、こんな社会なのか、これだけ頑張っても半数は就職が出来ない。2016年は、いつもと違い学生たちは、受験そっちのけで、デモに行く学生たちが増えて、韓国始まって以来の異常事態になっているのだ。
獄大統領のセウォル号沈没事故などへの対応の誤り、空白の時間が取りたざされ、国論の分断を招いてきた。今回は、スキャンダルに発展して、韓国社会に長きにわたる混乱をもたらしそうなのは避けられまい。
受験生は、「わたしは、数年苦労してやっと大学に行くが、あの娘は何の努力もなく入学したことが、本当に腹が立つ」「(土曜日の集会は行く?)できれば行きたい」などと話した。韓国の大学進学は7割、日本は5割弱なので、高校生の人口では日本が多いが、韓国の受験生が数を上回っている。それに対して若者が正規に就職できるのは6-7割、対して日本は97.3%であるので、最近の若者たちは七放世代が、いよいよは八放時代になったのかと落胆、自殺者も増える状況が問題になっていた。大学受験は、国民の一大事で、大統領が激励のメッセージをするが、そんな状況にはない。
不満が積もり積もって、受験日にかさなっている。
受験生は、今週末も行われる朴大統領退陣を求める抗議集会に、学生たちも参加すると話した。.
この一日は、全国の親たちは神社で受験の無事を祈って一心不乱に額づいている
参照 フジテレビニュース 11/17さて、発覚の発端を作った韓国紙・朝鮮日報系のテレビ局「TV朝鮮」李鎮東(イ・ジンドン)社会部長は崔容疑者の最側近、コ・ヨンテ氏との接触を2014年末から始め、崔順実(チェスンシル)容疑者の国政介入疑惑の「証拠」となる大量の資料を入手していたことが分かった。
取材を指揮したTV朝鮮の李部長が取材に答えた。
疑惑の端緒について「コ・ヨンテ氏から崔容疑者に関連するさまざまな話を聞いたが、当初は信じることができなかった」と振り返る。15年初めに入手した文書は政府の文化振興事業に関する計画書や政府人事の関連資料だった。崔容疑者らが作成したとみられ、「A4用紙に事業名と必要な予算などが簡単に書かれており、その時点ではまだ実行されていない事業だった」と明かした。当初は半信半疑だったが、計画書に書かれた内容がその後、次々と政府によって実行に移されたことに「これは大統領の責任問題になる」と、大きな衝撃を受けたという。
どんな機密情報だったか、例に挙げられているのが2013年1月、安倍総理大臣が大統領選に勝利した朴槿恵大統領に特使団を送った際、接見用文書という機密情報が事前に崔順実氏の手に渡っていた。この事実を10月24日にJTBCが報じたことがきっかけとなり、翌日、朴槿恵大統領は事実関係を認めたうえで『(崔順実氏は)かつて私が困難な時期に助けてくれた縁で、先の大統領選当時、演説や広報分野で個人的に指摘してくれた』と説明し、国民に謝罪した。それを受けて10月29日、韓国検察が大統領府を捜査するという異例の事態にまで発展している。
崔順実氏の元夫の名前は鄭允会(チョンユンフェ)氏は、2014年セウォル号沈没事故や大統領府文書波動で話題となった。特に、セウォル号沈没事故で空白の7時間という問題があり、この件については朝鮮日報が報じた。その時に朴大統領と密会していた相手が鄭氏と噂されていた。
この朝鮮日報の記事を産経新聞がそのまま引用したとして、朴大統領の名誉毀損とされ、逮捕された。
その結果、産経新聞の当時のソウル支局長・加藤達也氏んが韓国検察に起訴されるという事態に。刑事裁判になり長いこと拘束されたが、後に無罪判決が確定した。
鄭允会氏は朴大統領と密会した事実はなく、自宅にいたと証言したが、後に通話記録から嘘であることが判明。もともと実業家で、国会議員をしていた朴槿恵の個人秘書室長を7年務めた経歴。2004年に秘書官を辞任。妻との離婚は2014年。裏口入学疑惑に対して娘・ユンは2014年12月3日に「無能なら両親を恨め。カネも実力。他人の悪口ばかり言っているから、何も成功しない」とフェイスブックに書き込んで火に油を注ぐことに展開。その以前にも、韓国馬事会杯で代表資格を争ったキム・ヒョクが優勝すると、父・鄭氏は文化体育観光部を通じて、娘を優勝させるよう依頼したが、優勝は覆らなかった等、物議を醸していた。
崔容疑者の周辺取材から、16年に入って財団への巨額の寄付を大企業に強要した疑惑が浮上。4月に取材チームを結成し、7月17日には崔容疑者に直接取材している。さらに財団周辺への徹底取材を経て世論に火を付けた。李部長は「事実を積み上げることで事件の構図が見えてくることが多いが、今回は逆に構図は見えていたが確証を得る作業に大変な時間と労力がかかった」と語った。
この韓国の大騒動の発端は、崔氏の側近とも事業関係者とも言われるコヨンテ氏の離反によりリークされた。崔夫妻の実態を知り、2014年の事件もあって告発したのか、コヨンテ氏が崔氏の元専属ホストであったことまでも取り沙汰されて、寒い季節に激しく燃える国民の大規模なデモの怒りの理由が少しずつ判明してくると、収拾までに時間を要しそうだ。
2016年11月18日
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