鉄道の事故には踏切横断での車両停止、自殺ではないものの子供や老人が踏切事故にあうケースがあり、賠償請求に対して裁判に発展し、最近の事例でも鉄道会社からの高額請求が問われ、実態が明らかになってきたが、これまでは死者に鞭打つような事情になるので知られないことだった。
平成19年12月に愛知県大府市で、徘徊していた認知症の男性=当時(91)=がJR東海の電車にはねられ死亡した際は夕方のラッシュ時で、上下線20本が最大2時間遅れ、34本が運休するなどした。このため約2万7000人に影響、同社は遺族に振り替え輸送代などとして、約720万円の損害賠償を求めて提訴し、事件の行方が注目された。
訴訟の結果は名古屋地裁が「見守りを怠った」などとして男性の妻と長男に請求通りの賠償を認めたが、昨年4月に名古屋高裁判決はJR側にも不備があったとして、賠償額は約360万円に減額され、その後最高裁で棄却された。
自殺などで電車を止めると、どれくらいの代償を支払う必要があるのか。この疑問が話題に上ることは多いが、鉄道各社は一様に回答を拒んでおり、詳細は謎のままだ。それはなぜなのか。損害賠償に詳しい甲本晃啓弁護士は「日本人は『遺族』に対して特別な感情を持っている」と指摘する。受験シーズンに事故死なのか、思い余ってなのか人身事故がおきることが過去にも少なからず起きて、そんな場合も悲嘆に暮れている遺族に対し、さらに損害賠償を求めることになる。「幼い家族が踏切事故で亡くなったが、遺族に負担を強いるな」と嘆願が鉄道会社に上がるったことが我孫子でもあった。しかし、デリケートな問題となっていることがあり、口を閉ざす要因となっている。
2015年6月に東海道新幹線内で火が放たれたケースは、多くの新幹線に運休や遅れが出るなどし、自殺を図った男の遺族にすべての被害を考慮し損害賠償を求めれば「5億円を超える」と指摘する専門家もいる。一方、ある主要都市の在来線ではラッシュ時の場合の平均請求額が「800万円」(鉄道会社関係者)に上るともされ、遺族は払えきれないほど負担は大きい。
■人身事故は10年間で100件以上増
国土交通省によると、平成26年度の自殺以外の要因も含む人身事故件数は前年度より28件多い449件で、死者数も10人多い193人。この10年間で事故件数は100件以上増えている。自殺とはいえ、列車に引かれた故人に対して鉄道会社が遺族に、損害賠償を求めるとは一般市民は考え及ばないのではないか。車に引かれるケースは、人身事故として運転していた側が保険金を支払うことから、類推すれば線路、踏切での前方不注意とみなして鉄道側が払っているのかと考えるが、そうではないのだ。
賠償請求額の決定や請求をするかどうかは「ケース・バイ・ケース」(JR東海)で、一律に決まっているものではないとするが、ある鉄道会社関係者によると、国内某主要都市の在来線でラッシュ時に飛び込んだ場合、損害額は「平均700万円〜800万円」と話しており、オフピーク時でも「400万円台」。請求額については、基本的に損害額をそのまま求めるという。また、車両が使用不可になった場合は損害額が著しく増えるという。
関係者は「個別の案件に回答できない」とするのみで、損害賠償請求をしたかどうかについてすら、口を閉ざす鉄道各社。
そうした中、さらに今回の東海道新幹線での放火事件や、絶えないラッシュ時の飛び込みなど、“悪質”なケースが相次げば、利用者だけでなく鉄道会社にとって大損害となる。
甲本弁護士は「損害賠償請求が(自殺の)抑止になる」とも語り、実際にある鉄道会社幹部は「自殺の抑止効果になるのだろうから、損害賠償請求について内容を明らかにしてもいいと個人的には思う」という声も聞こえてくる。
ただ、故人の遺産総額が賠償請求額と比べてマイナスとなった場合などでは、遺族が負債を含めた全遺産の相続を取りやめる「相続放棄」をして事実上の支払い拒否をすることが可能である。 交通事故の損害賠償に詳しい好川久治弁護士によると、相続放棄によって損害賠償請求ができなくなることがある。このため、鉄道会社側は示談で解決することも多いという。会社側が遺族の支払い能力に応じた請求額を設定するかが、多少とも損害額を支払わせるかということになる。
ただ、相続放棄をしたとしても、損害賠償の支払いを回避できるだけで、遺族が受け取るべきだった遺産が失われることに変わりはない。
鉄道会社関係者は電車を巻き込んだ自殺について、「遺体は凄惨なものになるし、鉄道会社の職員が遺体処理に当たるが辛いものである。利用客はもとより、遺族にも相当な迷惑がかかることになる。言われ続けていることだが、鉄道による人身事故の現実感を持って理解するべきだ」と話している。
すくなくとも、踏切事故で子供や認知症徘徊者が犠牲になることがないように、地域はもとより、敷設した鉄道会社は、今後に事故がないように憂慮し、早期に踏切の改善をすべきだと私は考えてきた。そこで、JRの株主総会に他市の議員と出向いて意見に立ったこともあるが、鉄道会社は利益に見合わない路線の踏切などは目に入らないように感じられて虚しかった。しかし、危険であることは声にしておかないと再発したら、それほどに住民は負担を負うのであるから、鉄道会社の利益ばかりでなく事故を回避すべきは最低条件に整備しておくべきだ! 言い続け、住民にも獣医喚起しておきたいと、当選後初の12月議会で質疑項目に取り上げる事にした。市民の皆様にも一緒に考えて頂きたいのです。
参照:産経新聞 2015.8.3
2015年12月11日
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