現在は75歳以上の5人に1人は要介護だと言われる。要支援を含めると4人に1人になり、単純な計算では父母と義父母のうちの1人はそれに該当することになる。認知症の人が当事者として死亡した鉄道事故が、少なくとも22件にのぼることが報道機関の取材でわかった。愛知県で07年に列車にはねられて死亡した認知症の男性(当時91)の遺族が、JR東海に訴えられ、高額な賠償金が言い渡され、高裁にまでいき、半額になったとは言え、300万円を超える金額を鉄道会社に支払えとの判断となって関心を集めていた。
その後、国交省は全国の約200の鉄道会社から、事故や輸送トラブルが起きた場合に死傷者の数、運休本数などの報告を受けて、14年度からは当事者が認知症と把握できた場合、備考欄に記載するよう求めていた。これをまとめたところ、14年度に認知症の人が起こした事故・輸送トラブルは28件。このうち22件は死亡事故で22人が亡くなり、ほかに3件の事故で3人がけがをしていた。海津にいなは、12月議会において、当市の鉄道踏切が多いことから、市役所当局に踏み切り個所の注意徹底を促した。介護事業者への報酬も改定が行われて、特に小規模事業者が廃業に追い込まれるケースが出ているという。我孫子議会にも、そうした事件を防ぐように国に意見書をとの請願が出されたが、議会では継続審査である。
介護施設での虐待、死傷事件も目を覆うが、このところは自宅での「介護疲れ」を理由にした家庭内の殺人事件のニュースも目立つようになっている。警察庁によると、介護や看病の疲れが原因とされる殺人事件は昨年42件。うち12件の加害者は65歳以上の男性だった。他に、同居の独身息子による自宅介護に疲れての殺人も少なくない。
自宅で介護中の妻(77)を殺害したとして今月8日に殺人容疑で逮捕されていた容疑者(83)が、その後約2週間にわたり食事をほとんどとろうとせず、搬送先の病院で病死したことが、同県警の23日の発表で分かった。逮捕時に容疑者は今月5日夜、自ら「妻を殺した」と110番通報、首には切り傷があり、県警は無理心中を図ったとみている。「認知症の妻の介護に疲れた」と話して以降、取り調べにも答えなくなったという。
県警によると、逮捕後、留置場でおかゆを少し食べるほかは、水やお茶しか口にしようとしなかったという。衰弱したことから、14、16日に病院で診察を受け、17日に入院したが、ここでも食事を拒み、23日午前9時50分ごろ、死亡が確認された。
近所の話では、妻が認知症になったのは2〜3年前らしく、容疑者が一人で介護していたが、「5、6分前のことも忘れてしまう」と困った様子だったという。殺害前日は疲れた様子で「数日間入院して点滴を打ってもらった」と話したという。近くの女性は「買い物にも2人で連れ添って歩くような夫婦だった。自分の具合も悪いし、妻の世話も大変だと漏らしていた」と話した。
介護にかかるお金はどのくらいなのかと事前に調べる人はあまりいない。公的支援を受けられる介護保険は、認定を受けるまでに1,2か月かかる。医療保険とは違って市区町村に申請をしてそれから認定を受けないと使うことができないからだ。自己負担額の目安となる介護保険は自治体が主体となって取り扱っている。
サービスを受ける際に、かかる費用の1割(一定以上の所得がある場合には2割)が自己負担で利用できることになっている。その人がどのように認定されるのか程度により、一ヶ月に利用できる保険の限度額が決まり、それを超えた分は自己負担となっている。
この申請の一次判定を受けるためには主治医の意見書、家族の日記などによる。要介護1の人が、利用限度額の165,800円のサービスを利用したいと思った場合には、自己負担が1割となり、その自己負担額は16,580円。それによって165,800円分の希望するサービスを受けることができる。介護保険は在宅ですることを重視しているので、家庭に手助けをしてくれる人がいることが前提だが、それを一時的にデイサービス、ショートステイなどの利用で家族の負担軽減することができる。
サービスを受けたいと希望する人には、保険の上限を超えてヘルパーの派遣を依頼したり、保険外のタクシーや家事代行サービスなどを利用した場合には自己負担額は100%になる。
多くのサービスを希望しながら、どのサービスを優先して受けていくかという相談などは担当のケアマネージャーとの間で行って、必要不可欠なサービスから順番に選んで受けていくことになる。さらに、自宅ではなくて、施設サービスを利用した場合の一ヶ月の自己負担額の目安になるが、個室を利用した場合や、その住環境にもより異なる。
老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の一ヶ月の自己負担額の目安
【要介護5の方が多床室を利用した場合】
施設サービス費の1割約28,000円・居住費約10,000円(320円/日)・食費約42,000円(1,380円/日)・日常生活費約10,000円(施設により設定)合計約90,000円
【要介護5の方がユニット型個室を利用した場合】
施設サービス費の1割約28,000円・居住費約60,000円(1970円/日)・食費約42,000円(1,380円/日)・日常生活費約10,000円(施設により設定されます)合計約140,000円
※厚生労働省 解説 サービスにかかる利用料より抜粋
保険施設利用の場合には費用の1割(一定以上の所得がある場合は2割)の他に上記のように居住費、食費、日常生活費の負担が必要です。月の利用料は施設のタイプなどにより月約10万円から数十万円超と大きく幅がある。希望する人の全員が公的な施設に入所できないこともあり、ある程度のものは自分たちで準備が必要です。介護にかかる平均の期間は4年7ヶ月と言われています。きちんとした情報を持ち利用していけることを考えていくことが必要だ。
出典HP
https://go-kaigo.com/money/shoulder/
栃木県那須町高久甲では、71歳の男性が、介護が必要な妻(69)を殺害したとして殺人容疑で逮捕された。妻は認知症を患っており、県警は長年の介護によるストレスで、妻の言葉をきっかけに殺害に及んだ可能性があるとみて調べている。2004年ごろ、妻は脳の病気で倒れ、寝たきりの状態になった。容疑者は退職後、通院先を東京都内から栃木県内に移すため、那須町の別荘地近くに引っ越したという。
その後の11年間、容疑者は食事や排泄、入浴など介護をしてきた。数年前から認知症となり、容疑者にきつい言葉を浴びせることが増えていたという。容疑者は周囲から「献身的」と評されていた。近所の女性は「きちょうめんで温厚な人。奥さんを一生懸命に介護していた。庭の手入れも丁寧にしていた。一人では大変そうだった」と話す。
04年以降、妻は要介護5か4の状態だった。7月にも最も重い要介護5の認定を受けた。最近は週2回の訪問入浴介護やデイサービスを受け、車いすや介護用ベッドも借りていた。市役所の担当者は「声をかけてくれれば対応できたかもしれないのに」と悔やむ。
2016年04月26日
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