我孫子市(千葉県)では、人口減少と転出が増えるなかで、増える空家対策H25年に「空き家の適正管理に関する条例」を施行していた。このたび、国が空家対策に対する特別措置法が制定されたことから、代執行の際の上限なども明確になってきた。これは、日本社会の縮減を表す現象で過疎地の空家ではなく、都内においては空き部屋での問題が多発しているというが、この法律では今回カバーしていないということが、先日開催の、総務企画常任委員会で明らかにされた。
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マンションなどの空き部屋を悪用した詐欺が、ネット通販で急増している。他人のクレジットカード情報を使って商品を注文し、空き部屋に配送させて受け取る手口だ。大手ネット通販は警戒を強めるが、なんでそんなに増えているのか。
東京都内の入居者募集中のアパートの一室。お客さんを案内した不動産管理会社の社員が、ドアのすき間に挟まった宅配便の不在票を見つけたのは昨年1月のことだ。見覚えのない宛名で、商品はネット通販で買った家電。宅配業者に連絡すると、その日の夕方に再配達すると教えてくれた。
そこで、再びアパートに行き、業者の後ろで様子をうかがった。すると、薄暗い玄関の中から、男2人が出てきた。
「あんた、誰だ!」
「ヘヤ、ミタダケ!」
もみ合いの末、片言の日本語の男らは商品も取らずに逃げ出した。だが、数日後に「また再配達の依頼があった」と宅配業者から連絡が。今度は刑事も連れて張り込むと、別の中国人の男が現れ、商品を受け取ったとして御用となった。
ログイン前の続きこの会社が管理しているほかの物件も調べると、伝票や空き箱など「痕跡」が続々と出てきた。パソコンやデジカメに加え、数十万円分のブランド服を買った明細書も見つけた。ドアにかけておいたダイヤル式の錠前の暗証番号が盗み取られたようで、錠を変えて対抗すると、錠ごと壊されることもあった。
日本賃貸住宅管理協会が昨年11月に調べたところ、都内の会員企業が管理する空室のうち、少なくとも63戸がネット通販などの受け渡しに悪用されていた。錠前の暗証番号を何らかの方法で盗まれるケースが多く、末永照雄会長は「巧みに悪用されると気づくのが難しい。被害は氷山の一角だ」とみる。
流通総額で国内トップの楽天は昨年1年間で約72億円相当、9万2千件分の注文を他人名義などによる不正と判断、取引を中断した。その額は前年比2割増で過去最高だった。大きく押し上げたのが、空き部屋宛ての注文だ。
楽天は、同じ商品が大量注文される場合など不審点を見つけると、出店業者に知らせて相手を確認させたり決済方法を変えさせたりする。不正が明らかな場合は取引を中止させる。昨年6月の調査では、集合住宅宛ての不正注文で判別できた分の85%が空き部屋だった。
ヤフーが提供する通販サイトでも、昨年の不正注文の4割を空き部屋宛てが占めた。そのうち9割以上は発送を止めたが、完璧に防ぐのは難しい。悪用された空き部屋は首都圏中心で、商品は家電が多いという。
怪しい注文を検知する事業を展開するIT企業かっこ(東京)では、だまし取られた商品がオークションサイトで転売される例も見つかっている。同社の稲数裕之さんは「大手が対策を強めれば、次は必ず中小が狙われる」と警戒する。
空き部屋が悪用される理由は、従来の短期賃貸マンションや私書箱に比べ、身元が割れにくくお金もかからないからだ。振り込め詐欺で現金の送付先にも使われるが、だます相手が通販サイトなら会話しなくても済むので、日本語が苦手な外国人でもたやすい。盗まれたカード情報が、闇サイトで盛んに売買されている影響も大きい。
実際、福岡県では昨年、他人のカード情報で注文した家電などを空き部屋で受け取ったとして中国人グループが逮捕・起訴される事件があった。不動産業者向けの空室サイトで鍵の置き場所などの情報を盗み見て悪用。被害総額は5千万円以上にのぼるとみられる。
日本クレジット協会によれば、カード情報をネット上で悪用される被害は2012年から増加傾向にある。協会は「請求書に見覚えのない取引がないか注意して」と呼びかけている。 (藤田知也)
出典:
朝日新聞デジタル(藤田知也)
2月19日
2016年02月19日
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