そのセブンのコンビニで、壮大なる実験が始まろうとしている。今後は、ネットが苦手な客や通販を使ったことがない人にも、カタログ感覚で商品を薦め、店員が注文を代行しようとの考えだ。コンビニは単なる商品の受け渡し拠点ではなく、「営業拠点」の機能も持たせ、売り上げを伸ばそうとする。すでに、店舗でチラシを作ってレジで声をかけることや、高齢者用食事の宅配で家を訪ねた際にも便利に使えると説明し、ネット通販の利用を増やしているという。多くの客が来店し店員も入れ替わる中で簡単なことではないが、客の生活スタイルや好みを把握し、商品を提案するのが理想型だろう。
とはいえ、コンビニが便利になればなるほど、実は店舗側の負担は増える。ネット通販の本格展開で、コンビニは商品の保管や配送、返品手続きなど、数多くの作業を強いられる。 これに対して、「正直、何がメリットになるのかわからない」と、関東地方のあるオーナーは戸惑う。「客が増えるかもしれないし、(通販関連の)手数料収入もある。けれど今でも人手が足りず大変なのに、とても対応できない」という事情だという。
商品を取りに来た人がついで買いするメリットを強調するなど、セブン本社はさまざまな説明を重ねている。現在は手数料しか入らない加盟店に、ネット通販の利益をさらに分配することも重要だろう。楽天やアマゾンが台頭する中、セブンの通販サイトを利用してもらうには、魅力的な商品をそろえることもやっていくという事なのだろう。
「週刊東洋経済」2015年4月18日号
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