集中豪雨で鬼怒川が決壊した際の当ブログを読んだ方がコメントをくださいました。災害時要援護者という言葉が使用されるようになったのは平成16年ごろからです。それ以前は災害時要援護者ではなく、「災害弱者」という言葉が使われていました。災害弱者から災害時要援護者という呼び方に変わった経緯は次のように考えられると思います。
災害弱者という言葉をそのまま捉えると、災害に対して弱い者という意味になり、災害弱者という特定の人が存在するように思われます。しかし、災害は時期や場所によって状況は異なり、支援が必要な時もあれば、そうでない時もあります。実際の例として、避難時に支援が必要だった障害者が、避難後には帰宅困難者に道案内を行うボランティアを担った場合もあるのですから、先入観は持ってほしくないということです。「災害弱者」との表現は上から目線の表現で、差別標語に該当するのではないかと、平成25年6月の災害対策基本法の改正で「災害弱者」を「要配慮者」と表記することとなりました。
つまり、災害時要援護者という概念は、ある特定の人々を指すのではなく、災害時のある場面で支援が必要になると考えられる人(状況における人)を意味しています。適切なサポートがあればいつまでたっても支援を受ける弱者としての存在ではなく、被災者を支援する側になる可能性もあるのです。
中には「災害時要援護者」は「災害弱者」の別名と書いてあったりするものもありますが、呼び方が変わった背景には、要援護者に対する社会的な見方の変化が必ずあります。こうした点も踏まえた施策や防災対策が考えられていくと良いですね。
なお、国のガイドラインでは「災害時要援護者とは、必要な情報を迅速かつ的確に把握し、災害から自らを守るために安全な場所に避難するなどの災害時の一連の行動をとるのに支援を要する人々をいい、一般的に高齢者、障害者、外国人、乳幼児、妊婦等があげられている」としています。
2015年11月25日
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