集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案をめぐる国会審議は、参考人質疑が行われ、歴代内閣で憲法解釈を担ってきた元法制局長官らも法案に対し相次いで疑問を投げかけました。国会記者会館からの報告です。
野党側の推薦で出席した2人の元法制局長官は、集団的自衛権について、これまでの憲法解釈との整合性に加え、武力行使の幅を広げる政策判断としても問題点を指摘しました。
「集団的自衛権の行使容認は『限定的』と称するものを含めて、従来の政府見解とは相いれないものであって、これはいわば“黒”を“白”と言いくるめる類と言うしかない。『自国防衛』と称して武力攻撃を受けていないのに武力行使をするのは、違法とされる先制攻撃そのものであります」(宮崎礼壹 元内閣法制局長官)
「(集団的自衛権)これを行使するということは、進んで戦争に参加するということでありますから、敵となる相手国に我が国領土を攻撃する大義名分を与えるということでもあるわけですね。国民を守るというよりは進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」(阪田雅裕 元内閣法制局長官)
これに対し、自民推薦の参考人としては、菅官房長官が先日、「法案を憲法違反ではないと言っている憲法学者」として名前を挙げた駒澤大学の西教授が意見を述べました。
西教授は「戦争法案ではなく、戦争抑止法案だ」と強調したうえで、集団的自衛権の行使に憲法上の問題はなく、政府の政策判断によって可能との考えを示しました。
安倍政権は、安全保障環境の変化を理由に「あくまで限定的」という集団的自衛権を掲げて押し切る構えですが、政府の憲法解釈を担ってきた法制局長官経験者からも明確に問題点を指摘されたことに対しては、より分かりやすい反論が求められます。(22日11:34).
最終更新:
JNN 6月22日(月)
2015年06月23日
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