経済政策について自論を展開するのが主旨ではなくして、日本文化論です。江戸文化研究を趣味とすることは大蔵省時代からの公表プロフィールであり、エコノミストなどというものは著者のごく一部分でしかない属性で、実はプロテスタントの基督教徒であり、ご実父は牧師さんだということですから、日本の宗教に対してもきちんとしたスタンスをもっておられます。
日本文化の成熟期である江戸時代の良さに軸足を置く態度は地に足が付いた視点で日本という国を眺めることができます。江戸時代の特徴は国民の広い層に渉って文化が行き渡った平和な時代でした。むしろ、広い層の若い人々に日本人としての教養を身につけるための出発点にして欲しいという願いから書かれおり、1990年以降に成熟期に入ってきた日本は、「成熟国家」という観点から見れば、世界のトップランナーだと言っています。
成熟国家の主な要素は、環境、安全、健康などでしょう。
日本の環境のすばらしさは世界有数です。
国土の7割近くが森という世界でも珍しい豊かな森の国。
ヨーロッパの3倍雨が降り清流に恵まれた水の国。
しかも世界三大漁場の一つという極めて豊かな海に囲まれた国。
とても温暖で美しい四季がめぐってくる国。
こんなすばらしい自然に囲まれた国はないのです。
平和で安全という意味でも、日本は世界有数です。
大陸と荒波で隔てられて外敵の侵略がほとんどなく、国内も政治・宗教の見事なバランスを保った天皇制システムや、豊かな分権システムによって、内乱のない安定した時代が長く続きました。だからこそ、文化や伝統が連続し、世界に誇るユニークな文化が生まれました。
日本人が世界でもっとも健康な国民であることも、すでに強調しました。
平均寿命が世界でもっとも長いだけではなく、平均寿命から自立した生活ができない介護年月を引いた健康寿命も世界のナンバー1です。
豊かな自然のなかで伝統的な生活を維持しているところほど寿命が長いようで、いにしえの都、京都と奈良は国内ナンバー6、7と高い平均寿命を誇っています。
成熟国家の基本的な要素である環境・安全・健康のいずれも世界のトップですから、日本は成熟国家として世界のトップランナーなのです。
成熟国家というと、私たちはヨーロッパの国ぐにを思い浮かべます。
石造りの街並みが、いかにも成熟した感じですし、私たちが使っている文物(文化の所産としての学問・芸術・宗教・法律・制度)の多くがヨーロッパ起源だからでしょう。
しかし、日本は経済的にもヨーロッパに匹敵する豊かな国で、環境・安全・健康面でもヨーロッパを圧倒するパフォーマンスを示しています。
つまり、成熟国家としての日本はヨーロッパ凌ぐものがあるのです。
成長シンドロームから抜け出て「成熟」という観点から日本を見れば、私たちは悲観する必要などまったくありません。
それどころか、大いに楽観的になって日本を世界に誇ってよいのではないでしょうか。
事実、多くの日本人にとって、日本はさまざまな意味でとても住みやすい国です。
気候も温暖で、国土も豊かで安全、食べものもおいしい…。
こんなすばらしい国は、世界広しといえども日本以外にはほとんどないといってよいのです。
そんなすばらしさを最大限、戦略的に生かしていく生き方こそが、いま日本人に求められているのではないでしょうか。
出典:
榊原英資『仕事に活きる教養としての「日本論」』アスコム(2014年)
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