台湾当局が東京電力福島第1原発事故後に導入した日本の食品に対する輸入規制を強化する問題で、日台双方の窓口機関による協議が13日、台北市内で行われた。関係者によると協議は物別れに終わり、15日から日本からの食品輸入が全て停止することが確実になった。
協議には、日本側から農林水産省や経済産業省の課長級も出席した。台湾は震災以降、福島など5県の食品の輸入を禁じており、(1)日本から出荷される全ての食品に都道府県別の産地証明(2)東京都や静岡県など特定地域の水産品、茶類、乳幼児食品など3分類800品目超の「高リスク産品」に放射線検査証明−の添付をそれぞれ求めている。
台湾側は今年4月16日、規制強化を一方的に発表。日本側は「科学的根拠に欠ける」として撤回を求めていた。
13日の協議でも、台湾は日本側にこうした対応を改めて要求。日本側は実施の延期を求めたが、台湾側は応じなかった。輸入停止は15日以降、日本の港湾や空港から台湾向けに出荷される食品が対象になる。
食品衛生当局は24日、台湾の輸入会社10社が輸入した食品283種類が、輸入を禁じている福島、茨城、群馬、栃木、千葉の5県産だったとして回収を命じた。大半がカップ麺や飲料、菓子など大手食品会社の加工食品で、製造工場が5県内にあった。他県産とする中国語のシールが貼られており、産地偽装の疑いで検察が捜査を始めた。
25日付の新聞各紙は大きく報じ、一部は全商品のリストを掲載。26日までに放射線は検出されていないが、「発癌リスク」に警鐘を鳴らす専門家の声も報じられた。
また、情報を得てから1カ月以上発表しなかったとして、当局の「隠蔽」(蘋果日報)を批判。「台湾人を放射能食品の残飯入れにするな」(聯合報)といった感情的な表現もあった。
食品衛生当局は、日本の食品に新たに産地証明や放射線検査報告を科す規制強化を検討、日本側と協議が続いている。今回の事態を受けて高官は25日、立法院(国会に相当)で「早ければ6月にも(規制強化を)施行する」と答弁した。
一方、日台双方は、輸入停止期間が長引かないよう何らかの対応が必要だとの認識で一致した。日本側は台湾側の要求の一部について、対応が可能か検討する姿勢を示したもようだ。
参照:
産経新聞 3/27 5/14
2015年05月18日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック