女性議員の草分け、閣僚としても何度も活躍の小池百合子氏は、12年に党の特命委員会委員長として、女性候補が少ない政党への政党助成金を減らす改正法案を提案したことがあった。当時の委員会の最高顧問には安倍晋三氏もいた。その後、安倍氏は首相に就いたが、提案はたなざらし。女性候補者を求めるポスター制作の検討も進んでいたが、結局は立ち消えになったという。
小池氏は「党に意思と覚悟が必要。新人候補者は脅威だから、新しい候補者を擁立することを、現職は嫌がる。経済界などに女性の登用を2020年に3割と言って、一番の足元でやっていないのはちょっと違うのではないか。政党なら、党のトップが決めればよいことだと思う」。
女性議員を増やすために制度を改革した国は多い。100カ国超が、女性の候補者や議員の割合を定めるクオータ制度を導入済みだ。日本でも2月に「クオータ制」の導入を目指す議員連盟が発足、幹事長は野田聖子氏が就き、全政党から約50人の議員が参加する。野田聖子氏は、夫が家事や育児を担う。重い障害がある長男(4)がいるが「夫が私を支えてくれて、政治活動が成り立つ」。
女性議員の中にも慎重論はある。自民の牧島かれん氏(38)は「無理やり数字設定をして増やすことは望ましい姿ではない。本人のためにもならない」と話す。議員報酬をもらっても、日本の場合は選挙にも多額の費用がかかる。党に所属しなくては、活動もままならないが、それでも出ていくものが多い。
男性議員の場合、本人に代わり妻が地元などで活動するのは自他ともに当然視される。女性議員の事情はどうだろう。「妻の代理出席は重みがある」という声の一方、「男性が妻のために頭を下げてもプラスにならない」「自分の夫にやって欲しいとは思わない」と抵抗がある女性議員も少なくない。
夫が女性を支える例は多数派ではない。「パートナーが自身の政治活動をサポートしているか」の問いには、既婚議員で「している」が12人、「していない」が12人で同数だった。 「妻が選挙や地元の活動を支えている男性をうらやましいと思うか」には、「思う」が19人、「思わない」が21人でほぼ同じ。
中北浩爾・一橋大教授(政治学)は、中選挙区制から小選挙区制に変わったことで、風やブームの影響を受けやすくなり、男性に比べて目新しさのある女性は勝ちやすい状況が生まれてきている。しかし、当選をつつけるためには、珍しさは失せるためハードルは男性よりもはるかに高い。逆風が吹いても勝ち残れるように、飲み会や催しへの参加など地元での活動が必要不可欠だが、内助の功を得にくい女性は不利だからだ。
政界は男性が戦う場所との意識が内面化し、家族、親戚の反対も受けやすい。家事や育児、もちろん介護の問題も妨げ要因になっているが、政党などのバックアップもないケースも多い。
まずは、諸外国のようなクオータ制を導入するなどして、女性議員の人数を増やすことが重要だ。そうすれば、女性議員が直面する構造的な問題を解消する機運が必然的に高まるはずだ。また、政治を忌避しがちだった専門性のある女性や若い女性も、政治への取り組みに興味を示し、議員の能力も高まり、女性自身が互いに切磋琢磨、地域からの女性への信頼が高まっていくことに繋がるに違いない。
母の日まぢか、女性の力も結束して日本の国力を内から外から正しく導く原動力になれば、2020年に向けても確実な国際社会へのアピールになろう。
2015年05月07日
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