B:言われてみるとそうですね。それなりヒエラルキーがあるはずで、どこかで無茶をする人が多い。それで外れちゃう人もいるけど、生き残る人は生き残りますね。おカネの話を1回もしたことがなくて、「じゃあ、これやりましょう」で終わり(笑)。まっとうじゃないほうがサラリーマン生活はエンジョイできるのかもしれません。
A:失敗したときに笑ってごまかせるタイプかどうかといった、キャラもけっこう重要ですよね。当たり外れがあって三振もするけど、たまにヒットを打つから上の人が覚えていてくれて、「任せてみるかア」という運びになる人は、キャラがいい。
B:組織が大きいと人間関係も浅くなるから、やっぱりなんとなくの風評とかで決まったりしますからね。
A:あと、「あの人どうなった?」と覚えてもらえている人って、髪の毛が紫色とか、どこか見た目が変わっています。でも、覚えてもらえる人は強いですよ。
B:今後、具体的に何かやりたいことはあるのですか?
A:行きあたりばったりですよね。思いついたら、もうやっている。長期的に考えて動くことはないです。まあ、IT系で、5年後のプランを描いてるやつって、たぶんバカですよ。絶対そのとおりになりませんから。
B:結局、好きなことじゃないとできません。ほかにないものだと自分で作ってみたいと思うのですけど、ほかにもあるものだったら別に自分が作る必要はないし、あるものを見ればいいと思ってしまいます。このモデルをパクれば儲かるという方法論は思いつくのですが、やるとしても誰かにやらせますね(笑)。
A:ご本人は努力と認識していなくても、好きなことに対しては人よりも努力できるタイプなのではないでしょうか。
B:2ちゃんねるもニコニコ動画も、ライバルがいないところを狙ったので、努力をしようがしまいが実は結果は変わらないのです。ライバルがいるときは、ライバルより努力をしないと上にいけませんが、マーケットに誰もいないときは、自分たちしかいないから大企業の参入もなくやっていける。そうやって気になること、好きなことだからやるだけです。
A:Youtubeはニコ動のライバルではないのですか。
B:Youtubeは動画を載せる場所ですが、ニコ動は動画にコメントを入れるのが楽しいという、コミュニケーションが売りの場なのです。ユーチューブのように世界中の優秀な人が作った動画である必要はまったくない。そこでコンテンツ勝負をしちゃうと、最終的にはテレビ番組より面白いものを作らなければけないので、そっち側には行かないのです。まあ、リアルイベントの「ニコニコ超会議」に関しては、当初数億円以上の赤字を出したりして、費用対効果としてどうなの?と、思ってましたけど。
A:なるほど。さまざまな動画を扱う以上、削除要請が多くて大変そうですね。
B:そうでもないですよ。昔はゲームメーカーやアニメの制作会社から動画の削除要請がよくきましたけど、実はプロモーションになるということがだんだんわかってきたみたいで、削除したら「こっそりプロモーションでやってるのに削除しないでください」と、怒られたことがあります(笑)。
A:老後のイメージなどはあるのでしょうか。
B:僕が想像していた老後が、おそらく今なんですよ。好きなことをやって、たまに「これをやりたいな」と思ったことをやる。早送りしすぎましたね(笑)。結局は何かをやるんだったら、成果に向けやります。そのほうが得だし楽ができるので。
A:でも、何かをやること自体が、一般的には“努力”に映ると思いますけど。
B:最初は「こういうものを作ったらどうなるんだろう」と、リアクション見たさで観察から入るんですよね。それで、作っているうちに「これはこの方向で伸ばしていったほうがいい」「これはこっち側にいくとライバルにぶつかるから避けよう」と、いかに面白く続けられるかといったスタンスでやっていくのです。まあ、つねに観察はしています。
A:でも、観察しているときは、人のリアクションを見るのが喜びだったり、世の中をちょっと驚かせたいといった気持ちがあるもんですよね。
B:人のリアクションを見ているのが好きですね。だから、割とみんなを観察しているだけで満足なのかもしれません。
A:自分がリーダーになって目立って進めていく感じではないのですか。
B:そうですね。想像外のことが起こると楽しいです。想像と全然違うことをやる人がいると、「ああ、こういうやり方があるんだ! へえー」と、思う。発見が面白い。
A:観察を楽しむって、完全に貴族ですよね(笑)。
B:そうですね(笑)。だから、別に自分がやらなくてもいいん。面白いものを作る人がいて、「ああ、こうなるんだ、へえー」って見てるだけでもみんなもすごく楽しいはずです。
A:まだまだお聞きしたいですが、今回はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
(構成:海津にいな)
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