里芋づくりを遡ると400年以上になる山形の農家がある。室町時代から続く屋号は甚五右ヱ門芋を生産する農家は、その屋号でよばれる里芋が、全国にも注目、今や山形の特産品だ。
まずは、山形でさといも料理といえば芋煮。そもそも「芋煮」の定義を地元のお母さんたちに聞くと、「芋が入っている汁っけのあるものなら芋煮。牛肉か豚肉か、しょうゆか味噌かなんかは、家ごとに違う」とのこと。その甚五右ヱ門19代目・佐藤信栄さんは、「家はね、代々、母親が甚五右ヱ門芋を守ってきたの」と語る。 ほぼまるごと、大きいまま入った甚五右ヱ門芋は、柔らかいけど煮崩れないのが特徴。箸をいれると縦にすっと割れる。ねっとりとした歯ざわりだけど、口の中でサラッととろける。「甚五右ヱ門芋は火を通すとつるつるっとしてんめから(うまいから)」と奥さんの清子さん。
代々、稲作農家だった佐藤家では、男性は稲作りが忙しいため、女性たちが甚五右ヱ門芋の栽培を手伝い、種芋を守ってきた。信栄さんの孫の春樹さんで20代目となる。種芋を冬越しする方法は一子相伝で門外不出。普通の里芋よりも子芋、孫芋が細長くなり、ぬめりが多く柔らかい。また親芋も柔らかく食べられる。芋煮は、最近は洋食でも注目されている食材。甚五右ヱ門芋で作ったコロッケ。裏ごしした甚五右ヱ門芋で作ったコロッケは、クリームコロッケのような舌触りになる。都内の料亭でも珍重される食材となっているのは、孫の春樹さんのウリ込みがあったからで、市場商品としても歓迎されたという一家の宝だ
春樹さんは自分の家に伝わるこの芋のことを知り、会社員から転身した。「小さい頃から普通に食べていた芋だったから他の芋を食べるまで、そのおいしさに気づかなかった。ばあちゃんの作った芋煮は本当においしいし、ほめられると自分も嬉しい。この芋を介して地域とつながり、元気になったら楽しいな。」と春樹さんは話す。
我孫子も、千葉県の農家として、収穫高が多いと言われている。某女性農家さんのほうれん草が都内のスーパーに並んでいるとも耳にした。なにしろ、県内でも我孫子の多品目農業はほかに類を見ないほどだというのだから、地産地消に関わる援農ボランティアもしている私としても気になる話だ。
2014年11月09日
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