昨日はあっさりの和食でしたが、本日は、その反対にしっかりこくのあるハンガリー料理についてです。しかも、ラードをパンに塗って食べること。酒の友として、脂パンが欠かせないのは、胃壁に防護幕を作るため、だそうです。なんと、お店のお肉コーナーに豚やら鴨やら色んなラードが大きな容器に入って売っているとのことです。また、コールバースというソーセージを焼いたときに出る油なんかも保存しておき、パンに塗って食べたりします。朝からラードを大さじ二杯分くらいはパンにつけて食べるという。紫玉ねぎの薄切りを載せてお塩をパラッとかけると美味しいのだと現地の方たちの定番です。野菜はそのままテーブルに、各自でカットして食べるというスタイルも多いそうです。特に欠かせないものが、「パプリカ」です。特にオレンジのものはたった1/6個、赤色は1/3個分で、一日のビタミンの必要量を摂取することができる量が含まれています。風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果があります。緑黄色野菜の中で際立ってカロチンが豊富で、ピーマンにも多いのですが、さらにオレンジのピーマンには30倍以上含まれているそうです。抗発ガン作用や免疫賦活作用で知られていますが、その他にも体内でビタミンAに変換され、髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。 ピーマンの苦さは、ポリフェノールの一種「クエルシトリン」にピーマン特有の臭いが加わって感じる事が2012年に判明しました。「クエルシトリン」には高血圧抑制や抗うつ作用などの効果があります。カプサンチン(唐辛子にも含まれている辛味成分)は、パプリカの中でも赤パプリカにのみ含まれています。中枢神経を刺激し、エネルギー代謝を活性化させて脂肪分解を促します。また、優れた抗酸化作用があります。パプリカは、中身の「ワタ」や「種」の部分も丸ごと食べたほうがいい。ワタに含まれるピラジン実よりも苦味が強いワタの部分ですが、発芽に必要な栄養分を備えています。ピラジンは、血液をサラサラにし、血栓、脳梗塞、心筋梗塞の予防につながります。種に含まれるカリウムは生命力が詰まった種の部分。カリウムは、神経や筋肉を正常に保つ必須ミネラルで、体内の余分な塩分を排出する働きがあります。
こうしたパプリカを丸ごと食べているので、救われますが果たして高脂血症にならないのかと調べてみると・・・・
世界保健機関(WHO)がまとめたハンガリーに関する報告書でも、食生活での動物脂の採り過ぎが指摘されていますから、パプリカを食していないとどんなことになるかです。毎年死亡したハンガリー人の死因をまとめている中央統計局によると、アルコール摂取、喫煙に関連・起因するものが全死亡者の27%にもなるそうで、脂肪分やカロリー摂取量の多さがさらに拍車をかけていると分析しています。ちなみに、2002年に死亡した132,833人のうち、死因のトップは心疾患で38,668人。二位は癌で、33,537人、第三位は脳血管疾患で18,510人。四位は動脈硬化で7,407人だったそうです。
動物脂の消費量についての1970年〜97年にかけて他国と比較結果がありますが、ハンガリーは断トツで、国民一人あたりの年間消費量は、1980年後半の約35キロを境に減少傾向で、この30年間は25〜35キロの間。つまり、単純な計算でも月に最低2キロ以上の摂取量です。しかもこれは乳幼児も含む国民一人当たりです! 「北欧州」の平均をみてみると、1970年代には20キロ台前半でハンガリーより少ないが、それも徐々に減少して90年代後半は10キロ台後半になっているのです。さすがに「南欧州」平均は、オリーブ油が主流であるため、動物油の消費は10キロ以下です。(北欧州はノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、アイスランド。南欧州はギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン。WHO/Highlights on Health in Hungary, Dec 2000)
日本食は、低脂肪だっただけでなく、n−6系列とn−3系列の油の摂取バランスが良く、世界的に見ても理想に近い脂肪の取り方をしていたということでした。しかし、食生活の変化で加工食品やお総菜、お菓子類のほぼ全部にリノール酸が使われているため、普通に暮らしていると知らず知らずのうちにリノール酸摂取過剰状態になっていたのです。リノール酸は健康に良いという理論から、取り過ぎないようにと一転しました。
ところが、まだ多くの人は、この逆転した事実を認識せずに、安価ということもあり、コーン油、ひまわり油、綿実油、紅花油(サフラワー油)をサラダやフライ、炒め物に使っています。紅花油については、リノール酸が最も多いため、摂り過ぎるとガンの心配があるので、近年は品種改良された高オレイン酸の紅花油(ハイオレイック種)もあります、圧縮法で絞り、100%一番絞りの油で、トランス脂肪酸含有量が0.1%以下の製品があれば安心なのだそうですが。
こうした変化は、1970年代にリノール酸が動物性脂肪と比べ血中のコレステロール値を下げるという研究発表があってからは、「リノール酸は健康に良い!」ということでその摂取が推奨されてきました。リノール酸は紅花油やコーン油、ひまわり油、綿実油などに多く含まれ、実際これらの油を「動物性脂肪よりも良い!」と信じて積極的に購入している人も多いのではないでしょうか。近年の研究で、リノール酸を長期間にわたって多く摂取し続けると心疾患やガンなどが増えることがわかってきたので、2013年5月10日に奥山治美著「本当は危ない植物油」(角川ONCテーマ)が出版されると、植物油には微量の有害成分があり、動物性脂肪のほうがはるかに安全だと、真逆な主張になってきています。
健康に良いと思われる動物油
第一位、魚油
第二位、バター(バター脂)
第三位、ラード(豚脂)
第四位、牛脂
よいと言われた、キャノーラ油(新なたね油。カナダの研究者たちによって開発)は、リノール酸はわずか20%しか含まず、αーリノレン酸を含むという利点以外に、比較的熱に強い単価不飽和脂肪酸を60%も含むと世界に広めました。ところが、品種改良したはずのカノーラ菜種油を与えたラットの心臓に脂肪蓄積が見つかり、カナダを中心に安全性の検査が盛んに行われ議論されてきました。その他にダイオキシンでも問題とされた環境ホルモン(内分泌撹乱物質)に似た有害物質が含まれ、精子の減少、前立腺ガン、不妊、脳神経系への影響が心配されているそうです。ダイオキシンはその対策が効を奏し、年々その量は減少してきていますが、油脂の25%以上を植物油から摂っている日本人は、問題があると思われる菜種油を大量に消費して問題含みになっています。
近年の天ぷら油などはリノール酸に水素を添加して、オレイン酸を増やしているものがあります、又育種の段階で遺伝子組換えでオレイン酸含有率を増やしているのもあります、どの方法で増やしているのかは消費者には分りません、その善し悪しもよく分りません。
ナタネ油(キャノーラ種)、大豆油、コーン油の原料の大部分は輸入品で、遺伝子組換えのものが含まれている可能性があります。
最近の新製品では成分表示があるものをよく見かけますが、都合の良い部分のみ表示しているので注意しましょう、トランス脂肪酸まで表示しているものは見たことがありません。
•外食、市販弁当やスナック菓子では油ものを極力避けることが賢明です。
•食用油として摂るリノール酸はできるかぎり減らす必要があります、いろいろな脂肪をバランスよくとることが大切で (リノール酸系とαリノレン酸系との摂取比は「4:1」目標的には「2:1」程度がよいと言われています)、そのためには肉の脂も控えて、魚を積極的に食べるようにする必要があります。 α-リノレン酸を多く含む海藻を食べる天然魚にはオメガ3系のDHAやEPAが多く含まれま す、魚ではさば、さんま、真いわし、あじ、ぶり、まぐろ、すじこ、うなぎ、さけ、真鯛などがよいでしょう。
•ナタネ油は単独でなら脂肪酸の比率がベストなので、家庭でのベースとして使えますが、αリノレン酸は熱に弱いので不足してしまいます、それと製品のトランス脂肪酸量が分りません。主にオレイン酸のような中立の一価不飽和脂肪酸(オリーブオイル)を使って、せいぜい魚を多めに食べるようにするのが現状では良いのです。
ビタミンEとB2を十分にとることで、過酸化脂質を減らす効果があります、ビタミンEは、体の中で不飽和脂肪酸と結びついて酸化を防ぎ、過酸化脂質ができるのを防止すると考えられています。
一方、ビタミンB2には、いったんできた過酸化資質を壊す働きがあります、その上ビタミンB2は、肝臓の脂肪を分解するのに不可欠な成分でもあります。
私たちは自分の健康は自分で守っていくしかありません。
明日は早朝から、Waowaoで、全米男子テニスを見なくちゃ。明日は早い、もう寝よう!
2014年09月08日
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