秋田県議の中田潤県議(67)は昨年度の政務活動費からメロン保存実験費として53万円を支出していた問題で、16日に同県議が53万円を返還し、収支報告書も修正したと発表した。既に9日、能登祐一県議長に「不適切だと疑念を持たれる支出があった」と返還を申し出て、報告書の削除、修正をした。11日付で納付されていた。
能登議長は、同県議がメロン保存の研究に政務活動費を支出していたことに「首をかしげる人は多い」と指摘。一方、業者が冷蔵庫を「売った」とし見解が違っている点には「(中田県議が)『リースだ』と言うので、私はリースだと思っている。返されたので議会としてはこれ以上調査しない」と話した。政務活動費の指針改定は「なるべく早くやりたい」と述べた。
出典:朝日新聞デジタル 2014年7月16日
一方、山口県議会の河野亨県議(51)=自民、2期=が、2013年度までの5年間で、政務活動費(政活費)から自身が常務取締役を務める同族会社に、事務所家賃などとして1408万円を支払ったうえ、同社が河野氏側に少なくとも450万円を政治献金していたことがわかった。専門家は「政活費が同族会社を通し、政治献金として還流している恐れがある」と指摘する。
政活費や政治資金の収支報告書、河野氏の説明によると、河野氏は09〜13年度、兄が社長を務める建設資材会社(山口県光市)の一室を後援会事務所と兼用で使い、政活費から賃料346万円を支払った。議員活動を手伝う従業員2人の人件費906万円、電話代110万円、光熱水道費45万円も政活費から出した。
一方、同社は10〜12年、河野氏が代表を務める自民党山口県光市第一支部に計450万円を政治献金。同支部は他の企業献金も含めたほぼ全額にあたる約1100万円を「河野とおる後援会」に献金していた。
山口県議会は政活費の使途として、政務活動を補助する職員給与や事務所費、議会活動を紹介する広報誌発行、視察の旅費などを認めているが、政党や選挙、後援会活動経費への支出は禁じている。同族会社を通した今回の「還流」により、事実上河野氏の政治活動費に流用されている疑いがある。
河野氏は「税理士と相談して相応の家賃を払っているので同族会社への支出は問題ない。企業から党支部への政治献金も、党支部から後援会への寄付も合法で問題ない」と述べた。還流との指摘については「見解の相違だ」と話した。
同様の事例では12年5月、大阪維新の会大阪市議団所属の市議が、事務所家賃を支払った家主の親族から24万円を政治献金として受け取っていたことが発覚。「還流」との指摘を受け、家賃11カ月分約120万円を市に返還した。
山口県議会(定数49)の議員1人当たりの政活費は年間420万円。河野氏のほかにも秋野哲範(民主・連合の会)、有福精一郎(自民)、森中克彦(自民新生会)の3県議が、それぞれ同族の鋼材販売会社、印刷会社、電気工事会社に事務所費などとして政活費を支出。13年度までの5年間で4人の支出は合計約3千万円に上る。
同県議会事務局は「同族でも議員と法人は別人格であり、適正な契約や経理処理が行われていれば問題ない」と説明するが、疑念を持たれやすいとして支出を禁じたり制限したりしている自治体も複数ある。 ◇
〈政務活動費〉 地方議員が政策などについて調査研究することを目的に、議員報酬とは別に公費から支払われる。2012年の地方自治法改正で政務調査費から名称が変わり、「議員の調査研究」としていた使い道に「その他の活動」が加わり、要請陳情活動費なども認められた。
政務活動費に詳しい全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士の話で、公金である政務活動費を同族会社に支払えば、自身側の商売の収益に税金を充てることになる。なぜ、同族会社から事務所を借り、事務員を雇う必要があるのか、議員は丁寧に説明する責任がある。さらに、その収益を原資の一部として政治献金することは、政活費を政治献金に変える工作の疑いが払拭できない。このような疑念につながる同族会社への支出は、政治倫理の観点から禁止すべきだ。
出典:朝日新聞デジタル 2014年7月19日
2014年07月19日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック