集団的自衛権行使をめぐる閣議決定を受け、ノーベル賞作家の大江健三郎さんらが1日夜、東京都内で記者会見し、「閣議決定は許しても実際の行使までは絶対に許さない。きょうはその誓いの日だ」と抗議の声を上げた。
会見したのは、大江さんら「戦争をさせない1000人委員会」のメンバー。冒頭に「集団的自衛権の行使は中立の立場を捨てることで、過去の戦争の多くが集団的自衛権を名目に正当化されてきた。憲法の理念を権力者から取り戻さないといけない」などとする声明を発表し、今後も反対運動を続ける意向を示した。
閣議決定に大江さんは「平和憲法と民主主義が自分の支えであり、打ちのめされたような気持ちだ」と表情を曇らせた。訴えは数十分におよび「安倍晋三首相は憲法への畏れを持たない珍しい人間だ。集団的自衛権がもとで国内で起きるテロなどへの想像力も欠けている」と批判した。
また、作家の落合恵子さんは「立憲主義の息の根が止められようとしている。権力者の戦争ゲームに付き合わず、国民は子供の笑顔を思い浮かべてほしい」とアピール。法政大の山口二郎教授は「さまざまな概念を持ちだし、国民を当惑させたままで閣議決定に踏み切った。不誠実極まりない」と訴えた。
約1カ月半にわたった与党協議は、公明党が協議前に「連立離脱カード」を封印したことで、行使容認ありきで進んだ印象が強い。政府が集団的自衛権行使を認めるために閣議決定した憲法解釈の変更は、憲法9条の改正に匹敵する安全保障政策の大転換だ。ここまでの議論は政府・与党が「密室」で行い、閣議決定の内容が国民に理解されているとは言えない。今回の閣議決定は、「9条削除と一緒だ」(阪田雅裕元内閣法制局長官)との批判も出ている。もともと「分かりづらい」と指摘されてきた9条の解釈が、さらに分かりづらくなったと言える。
1日の閣議決定を受け、日弁連の村越進会長は、「憲法9条の実質的な改変を、憲法に拘束されるはずの政府が閣議決定で行うことは、立憲主義に根本から違反している」などとする抗議声明を発表した。
作家・半藤一利氏は「70年間も平和国家であったのは日本人のすごい努力。それに対する国際的信頼というのは、日本の最大の国益ですよ。どこの国に行っても、日本人は殴られもしなければ、標的としてテロに巻き込まれることもない。それなのに、人のけんかを買って出る権利(集団的自衛権)を持って、アメリカの手先になって、その国益を捨てることはない。」という。
出典:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140701-00000126-jijp-soci.view-000
2014年07月03日
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