そして、米国人も箸の使い方を知らない者がいないくらい上手になって、和食やキムチが食されて、両国の食文化が世界文化遺産に同時登録されて、一年になります。日本のUmamiという言葉は、今は5番目の基本味として世界が認知している国際語なのだそうです。
その和食のダシの主な素材は昆布、鰹節、干し椎茸です。
昨年のNHK朝ドラ「ごちそうさん」は、文化遺産になった和食(韓国のキムチ文化と同時認定)のダシの取り方を映してみせていたわけです。この経緯を紐解くドラマでしたが、明治時代に昆布の旨味はグルタミン酸であることが発見されました。煮干しも素材です。
続いて、大正時代に鰹節の旨味がイノシン酸であることが発見されました。
さらに昭和になって、シイタケの旨味がグアニル酸であることが発見されました。
昆布にはいくつかの種類がありますが一番旨味成分が多いのは羅臼昆布です。
次に真昆布で利尻昆布そして日高昆布が続きますが、1番安い日高昆布は旨味が極端に少ないですね。
羅臼昆布は高価ですが出汁を取った後も柔らかく煮物にも使えます。
鰹節は縄文時代から食用にされてきたと言われていますが九州から千葉にかけての太平洋岸の産物ですから、その他の地域ではイワシの煮干を使ったり、トビウオを使ったりしています。
昆布だしの取り方は色々言われていますが科学的な研究の結果、60度のお湯で1時間浸すのが1番良いようです。一般には水から昆布を入れ沸騰寸前に取り出すとありますが、試してみると60度くらいで1時間ぐらいじっくり煮出した方がずっとうま味が出ます。高温にすると旨味成分以外が溶け出して雑味が出るわけです。そして昆布を引き上げたあと鰹節を入れ一気に煮上げてこして造るのが「一番だし」です。色々試した人がいましたが、これがやはり最高の出汁だとの報告です。
煮干は頭とワタとって水に浸しておきこれを煮出すと美味しい出汁が出ます。味噌汁に向きます。
それと、アゴと呼ばれるトビウオも同じような味わいです。
また煮干ではなく青森地方には「焼干し」というイワシのダシがあります。煮干しは字のごとくイワシを一旦煮てから干すためこの段階である程度旨味が失われますが、「焼き干し」は直接イワシを焼いて乾燥させたもので、かなり高価です。
干し椎茸は水で戻しますが、煮出す時に一気に60ないし70度くらいに温度を上げる必要があるとのことです。何故ならば旨味成分であるグアニル酸を分解する酵素が45ないし50度で最大なためです。さらに旨味は足し算、掛け算の効果がありますので複数の素材で強い旨味を出すことが出来ます。ムックに紹介されていた福井県の「奥井海生堂」から通販で買いことができます。そこの昆布は何年か蔵で寝かせて味わいに深みを出しているとのことです。利尻の切り落としという徳用品は便利に使えます。
鰹節はムックで紹介されている静岡県の田子の「カネサダ商店」で、本枯節を取寄せることができます。
鰹節は高価なようですが実は鰹節そのものを買って自宅で削るとリーズナブルなコストなります。
考えてみれば、私たちの子供の頃は家に鰹節を削る道具があり、私も祖母の家にいくと、手伝いで鰹節を削るのが楽しみで、手伝った思い出があります。何十年も忘れていましたが、我が家も買っておいてあります。ところがなかなかうまく削れません。みんな粉なってしまうのです。どうも鰹節が乾燥しすぎていると粉になるのと、削る方向にも寄るようですが、昔の鰹節と違うのでしょうか。
出汁は毎日使う物ですからコストが気になります。小さなパックになった削り節は非常に高価です。1グラム当たり26円になるからです。鰹節を削れば1グラム当たり10円です!私の人件費が安いか高いかです!?
煮干は1グラム当たり5円くらいです。
ダシ用として大きな袋で売られている削り節は意外と安くて1グラム当たり5円くらいです。
結論からいうと先に紹介した昆布と鰹節の出汁が、味から見ても、最高です。
いろいろなだしの実験をしているとつくづく昆布という食材がすごい食材であることが分かってきました。
基本的には日本人しか食用しませんからまさに和食の基本です。北海道でしか取れない昆布ですが、沖縄でも大量に食されているという事から、日本海の海運ルートのすごさも改めて有難かったと判ります。
麦茶を冷やすような容器にミネラルウォーターと昆布を入れておくと昆布水ができます。これを飲用すると体に良いということも言われています。昆布については「奇跡の昆布革命」という本があります。昆布水の作り方は水1リットルに10グラムの昆布をハサミで細切りにしていれ一晩冷蔵庫に置くだけです。冷蔵庫では10日間は持つそうです。最近は、3.11後にヨウ素を取り入れるにもいいとわかったので昆布レシピもたくさんネットで紹介されていますから、まだ暑い日も続くので試してみて下さい。