一方、ソウル中心部の「大韓民国歴史博物館」で、旧日本軍の従軍慰安婦問題を告発する展示会を始め、ソウル駐在の外国メディアを対象としたプレスツアーを実施した。同問題に対する国内外の関心を高める政府の取り組みの一環。韓国政府は1日、ソウルの歴史博物館で、フランスの漫画祭に出品した漫画などを扱った慰安婦問題に関する展示会を開催、韓国政府が日韓の歴史問題に関連し、外国メディア向けのプレスツアーを開くのは異例。展示会初日(1日)に、趙允旋女性家族相が挨拶し「この問題を多くの人が知って共感し、早く被害者の名誉が回復し傷が癒やされなければならない」と述べた。現政権下で、元慰安婦問題を「人類に普遍的な女性の人権問題」(政府関係者)として国際社会に訴え、日本政府に対応を迫る方策をとっている。
1月末には、尹炳世(ユンビョンセ)外相が、元慰安婦が共同生活する施設を外相として初めて訪問した。国連安全保障理事会の討議でも慰安婦問題を取り上げるなど対日関係で重要視する姿勢を繰り返し示している。韓国が政府を挙げて同問題の解決を目指す姿勢が記念日により鮮明になった。 韓国の女性家族省は2月11日には、元日本軍従軍慰安婦の「記念日」の制定を目指す方針を初めて明らかにした。記念日の制定は、同省が朴大統領に報告した2014年度の業務計画で明示した。韓国では元慰安婦が1991年に初めて名乗り出た「8月14日」を記念日にしようと民間の支援団体が運動を続けてきた。同省はまた、元慰安婦の証言など関連記録が17年にユネスコの世界記憶遺産に登録されるよう作業を進めることも改めて表明。国際機関や人権団体と連携して国際シンポジウムを開き、「慰安婦被害者問題の解決」を目指すとしている。
2月13日には、ソウル日本大使館前に設置された慰安婦像の前で「日本政府の謝罪と補償」を続けてきた集会が、1100回目を数えた。欧米からも支援者が参加。元慰安婦を記憶するための像を韓国や米国に続き、ドイツにも建てる計画が紹介された。独人牧師のポール・シュナイスさん(80)は「集会はドイツも知られている」と話し、問題解決を訴えるため、来年中にもベルリンなどに慰安婦像を建てたいと報告した。元慰安婦・吉元玉(キルウォノク)さん(85)は「我々のようなむごい目に子孫たちが遭わないようにしてほしい」と訴えた。
ソウル日本大使館前の集会は、1992年1月に始まり、毎週水曜日に開かれている。2011年12月、通算千回を記念して、元慰安婦の少女時代を題材にした像が支援者らによって大使館前に設置。日本政府は違法であるとして撤去を求めるが、今も設置されたままだ。米国でも同じデザインの像が建てられ、今後も米国内各所で設置される計画が進んでおり、一部の日系人、サポーターが抗議している。
2014年03月01日
韓国では、「3・1独立運動」の記念式典
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は1日、朝鮮半島を日本が統治していた1919年に起きた「3・1独立運動」を記念する式典の演説で、慰安婦問題について「悲痛の中で生きてきた慰安婦の傷は当然、癒やされなければならない」と述べ、日本政府に慰安婦問題の解決を迫った。朴氏は「歴史の真実は生きている方々の証言だ。政治的利害から認めないなら(日本は)孤立を招く」と主張した。平成5年の河野洋平官房長官談話の作成過程の検証を決めた日本政府の動きを牽制した。 朴氏は、昨年の同じ式典では慰安婦や竹島問題に触れていなかった。対日批判は就任後1年間で強硬になっており、今回の演説では初めて慰安婦問題に具体的に触れた。朴氏は来年、国交正常化50年を迎える日韓関係にも触れ、「両国が関係を発展させてこられたのは(日本が)平和憲法に基づき、善隣友好を進め、村山談話や河野談話を通して植民地支配と侵略を反省する歴史認識があったからだ」と強調。安倍晋三政権に対し、憲法と村山・河野両談話の維持を求めた。「過去の過ちを認められない指導者は未来を切り開けない」とも批判し、「次世代に正しい歴史を教えること」を要求した。
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