東京電力福島第1原発事故の除染で生じた福島県内の汚染土などを保管する中間貯蔵施設について、同県の佐藤雄平知事は2月4日、楢葉町には建設せず、大熊、双葉の2町に施設を集約する案を国に求める方針を両町長に示した。放射線量が比較的低い楢葉町が高線量廃棄物受け入れを拒否していることを踏まえた。大熊、双葉の両町長は回答を保留した。
環境省は昨年末、3町に施設を建設し廃棄物計2200万〜2800万立方メートルを貯蔵、30年後に搬出する計画を示した。佐藤知事は4日、県が廃棄物の減容化を図るなどし、大熊、双葉両町で保管する新しい案を国に要望する方針を両町長に伝えた。
佐藤知事は「双葉郡の復興には(中間貯蔵施設の)敷地を小さくすることが大事だ」と説明。渡辺利綱・大熊町長と伊沢史朗・双葉町長は「施設集約と建設受け入れは別」との見解を示し、伊沢町長は「議会や町民と協議して判断したい」と述べるにとどめた。
楢葉町の松本幸英町長は「双葉郡、県全体に影響を及ぼすことなので、県から正式な連絡があるまでコメントできない」と話した。
大熊、双葉両町は住民96%が住んでいた地域が帰還困難区域(年間積算放射線量50ミリシーベルト超)になっている。
一方、全住民が住んでいた地域が避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)の楢葉町は今春にも帰還時期を示す見込みで、帰還を目指す住民には建設反対の声が大きい。
参照:
毎日新聞 2014年2月4日(火)
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福島県内では、除染廃棄物の保管場所がないために除染が遅れている。環境省は楢葉、双葉、大熊の3町に中間貯蔵施設の建設を計画し、昨年12月、3町に受け入れを正式要請していた。
福島第1原発事故 3町に「中間貯蔵」受け入れ要請 「ようやく検討の緒に」 可否、本格協議へ /福島
毎日新聞 2013年12月15日 地方版
「ようやく検討の緒についた」。政府は14日、福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設受け入れを、県と双葉・大熊・楢葉の3町に要請。福島の復興にとって重要な施設だが、「最終処分場になるのではないか」という懸念も残る。環境省が2015年1月の搬入開始を目指す中、各町で受け入れの可否について本格的な協議が始まる。
【喜浦遊、中尾卓英、高橋隆輔】
大熊町の渡辺利綱町長は「町民からは『いつまでも先送りせず、方針を示してほしい』という要望が多く、一つの区切りになる」と一定の理解を示した。ただ、住民と協議する上で具体的な補償額の提示は欠かせない。「十分な賠償と生活再建支援は国が約束したと考えている。しっかり対応してほしい」と早期に額を示すよう求めた。一方、受け入れれば「『戻りたい』より『離れたい』という町民が多くなる」とも懸念し、「戻れるような環境づくりも同時にやっていきたい」と語った。
双葉町の伊沢史朗町長も「今日は本当のスタートライン。細かい条件は出ていないので、今後検討しないといけない」。環境省は15年1月までに仮置き場から施設への搬入開始を目指しているが、「住民の将来に関わる大切な問題だから、決断の時期は想定していない。住民と腹を割って話し合いながら判断したい」と述べた。
避難指示解除準備区域の楢葉町は、町内の放射線量の低い廃棄物に限った「保管庫」の建設を主張してきた。松本幸英町長は改めて「中間貯蔵施設は受け入れません。保管庫です」と念を押し、国は「柔軟に検討する」と回答したという。
町では、建設の賛否を問う住民投票条例の制定を求めて市民団体が署名運動を展開。松本町長は「初めて具体的な絵姿が示された。今後、議会や住民に対する国の説明を踏まえて(条例を制定するか)慎重に判断したい」とした。
【喜浦遊、中尾卓英、高橋隆輔】
◇具体的条件、提示なく
石原伸晃環境相は会合の冒頭、「除染で出る土壌などをどう処理するかは大きな問題で、施設は除染と復興を進めるために不可欠」と必要性を強調し、受け入れへの理解を求めた。受け入れに当たり、政府は地権者への補償や地域住民の生活再建の支援、地域振興に取り組むと説明。ただ、町長らによると、補償額や買い取りの範囲など具体的な条件は示されず、町側は使い勝手の良い交付金支給や住民への具体的な支援策などを要請したという。大熊町の渡辺利綱町長は「町民からは『いつまでも先送りせず、方針を示してほしい』という要望が多く、一つの区切りになる」と一定の理解を示した。ただ、住民と協議する上で具体的な補償額の提示は欠かせない。「十分な賠償と生活再建支援は国が約束したと考えている。しっかり対応してほしい」と早期に額を示すよう求めた。一方、受け入れれば「『戻りたい』より『離れたい』という町民が多くなる」とも懸念し、「戻れるような環境づくりも同時にやっていきたい」と語った。
双葉町の伊沢史朗町長も「今日は本当のスタートライン。細かい条件は出ていないので、今後検討しないといけない」。環境省は15年1月までに仮置き場から施設への搬入開始を目指しているが、「住民の将来に関わる大切な問題だから、決断の時期は想定していない。住民と腹を割って話し合いながら判断したい」と述べた。
避難指示解除準備区域の楢葉町は、町内の放射線量の低い廃棄物に限った「保管庫」の建設を主張してきた。松本幸英町長は改めて「中間貯蔵施設は受け入れません。保管庫です」と念を押し、国は「柔軟に検討する」と回答したという。
町では、建設の賛否を問う住民投票条例の制定を求めて市民団体が署名運動を展開。松本町長は「初めて具体的な絵姿が示された。今後、議会や住民に対する国の説明を踏まえて(条例を制定するか)慎重に判断したい」とした。