2014年06月08日

放射能の影響、その判断

 除染の目標値“倍に引き上げ”を協議
昨日の日本テレビ系(6月6日(金)21時46分配信)で気になるニュースが流れた。
「除染の目標値“倍に引き上げ”を協議」と言うからには、安全を図って空間放射能線量の目標値を倍に引き上げるとの意味は、0.23より厳しくするということだとばかり思って聞いていたが、逆の意味での倍に引き上げ”緩めるということだった。

ーー アナウンサー  ーーーーーーーーーーーーーー
 原発事故からの復興の前提となる除染で、達成すべき空間放射線量の目標値について、環境省と地元の自治体がこれまでのほぼ倍に引き上げる新たな方針を協議していることが分かった。

 環境省は、除染の後の空間放射線量を毎時0.23マイクロシーベルト以下とする目標値を定めている。ただ、一部の自治体からは、「達成は難しい」と、より現実的に見直すよう要望も出ていた。このため環境省は、目標値をこれまでのほぼ倍の毎時0.4〜0.6マイクロシーベルト前後に引き上げる方向で、自治体と協議を進めていることが分かった。

 環境省などは、毎時0.23マイクロシーベルトを上回っても年間の追加被ばく線量である1ミリシーベルト以下に抑えられるとして、今月15日にも、自治体を集め、目標の引き上げについて話し合うことにしている。
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放射能汚染についてのは、広島・長崎の被爆者に関する疫学研究と、チェルノブイリ原発の被災者に関する疫学研究について、長年の研究成果を纏めた『チェルノブイリ10年−−大惨事がもたらしたもの』(ロシア科学アカデミー・社会学研究所のB・ルバンディン、他)が翻訳出版された折に、シンポジウムなどが行われ、重要な問題点が指摘されているので、部分を以下にそのまま引用しておきます。

 先ず、広島、長崎の被爆者に関する疫学研究では、被爆者が受けた放射線の線量が過大に推定されて居る可能性が極めて高い事に注意して頂きたいと思ひます。即ち、広島・長崎の被爆者の疫学研究は、例えば、100mSvの線量を被曝した、とされて居る被爆者が、実際には、それよりも低い数値しか被曝して居ないにも関はらず、100mSvの放射線を浴びたとされて、疫学研究が行なはれて来た可能性が非常に高い事に最大限注意をして、この本などが論じて居る「安全な被曝量」に関する議論を読んで頂きたいと思ひます。

広島・長崎の被爆者に関する疫学研究で、何故、その様な線量の過大な推定が起きた可能性が疑はれて居るかと言ふと、被爆者が浴びた線量を爆心からの距離で推定する方法では、建物などによる遮蔽効果が度外視されており、線量が過大に見積もられた事が確実であるからです。これは、私の個人的見解などではなく、国連の「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」が指摘した問題で、広島・長崎の被爆者に関する疫学研究には、その他にも、原爆投下から研究開始の間に5年間の空白が有る事など、複数の問題点が同委員敬から指摘されて居る事を強調しておきます。ですから、広島・長崎の疫学研究から、「100mSvまでは安全」と言ふ結論は科学的に導けません。この事を、先ずは、強調しておきます。

 次に、チェルノブイリの被災者に関する疫学研究については、次の様な驚くべき事実の指摘が有ります。
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 ロシア科学アカデミー・社会学研究所のB・ルバンディンは、チェルノブイリ原発に隣接するベラルーシ・ゴメリ州のホイキニ地区で、事故直後の状況について、医師からの聞き取りと当時のカルテの調査を行ない、1992年に発表している(「隠れた犠牲者たち」技術と人間、1993年4月号)。ホイキニ地区では、地区病院に加えて軍野戦病院が二つ設置されて住民の検診と治療にあたった。住民を収容する基準は、甲状腺からの放射線量が1ミリレントゲン/時以上を示すか、白血球数が3000以下に減少した場合であった。急性放射線障害に対する治療マニュアルが医師全員に配布され、第1度の急性障害として治療にあたるよう指示があったが、放射線障害という診断を下すことは禁じられた。

ルバンディンらが地区病院のカルテを調べ直した結果、第1度の急性放射線障害例75件と第2度の症例7件が確認された。原発周辺全体の住民では数1000件の急性障害があったであろうと彼は推定している。追記しておくと、1990年秋、ホイキニ地区病院の記録保管室から事故当時のカルテ3000〜4000件が盗まれたとのことである。

(今西哲二他『チェルノブイリ10年−−大惨事がもたらしたもの』(原子力資料情報室・1996年)39〜40ページより)

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 事故当時のカルテが3000〜4000件も盗まれて居た状況の中で「疫学」研究など出来るはずもない。確かに、旧ソ連とソ連崩壊後の事で、ロシア、ウクライナ、ベラルーシに在ったこうした医学以前の問題を度外視して、「増えたのは小児甲状腺ガン」と言うが、この様な社会で、IAEAの事実上の検閲を経て書かれたチェルノブイリに関する一種公的な疫学報告を完全に信頼するなどは出来ません。

 そこで、の医学的内容ですが、先ず、2000年代に入って、発癌のメカニズムについて、根本的な見直しが起きているが、本の記述には全く反映されていません。又、低線量放射線が人体に与える影響について、疫学的研究が相反する報告を重ねて来ていたことも現実です。一例ですが、イギリスから、セラフィールドやドーンレイ等の核施設周辺に住む子供の間で、白血病と悪性リンパ腫の増加が認められるとする疫学研究が複数報告されています。しかし、そうした研究の存在に全く言及せず、医学界で続く低線量放射線の人体への影響についての論争の存在を知らせようとしない勢力があるのも、気づかなくてはいけません。

 そして、本書105〜110ページでチェルノブイリ事故からソ連崩壊を経て、旧ソ連諸国で平均寿命が短縮した事に触れて、その原因は、ストレスや鬱などの精神的要因であると断定して居る箇所です。原発事故が寿命短縮の原因だ等との断定をするのではありませんが、一方で「ストレス」のせいにするのは、危ういと言いたいです。

posted by Nina at 00:00| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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