むろん政府も東電に任せるのではなく巨額の予算を投じて、汚染水漏れ凍土遮水壁の建設で汚染水を閉じ込めるというプロジェクトも推進していますが、現実問題として解決には遠い。
日本は科学技術立国を標榜してきました。今、日本の科学技術の人材と知識を汚染水の処理というイノベーションに集中して解決すれば、間違いなく成長戦略にもなります。関連するすべての科学者、技術者がこの1点に集中すべきでしょう。
ニューズウィークに寄稿された米国の専門家の助言は聞くに値すると思います。それによれば、日本のマスコミが報道しているほど事態は悪くない”との指摘です。“マスコミの偏った報道がたびたび世間を騒がせ、国民の不安に拍車を掛けている。”といいます。
つまり、“汚染水漏れや現場作業員の被曝、近海の魚から検出された放射能など数値はこれまでと数段に変化が観られるのは事実だが、冷静に見つめると案外、状況は最悪ではない。首相の肩を持つわけではないが、9月のIOC総会で状況は「コントロールできている」と宣言したのも、あながち根拠なき主張ではない。”
特に言及すべきは、“当面の重要問題は汚染水漏れだ。しばしば混同されていることだが、地下水によって運ばれる放射能汚染の問題と、タンクなどからの漏水問題は性質が異なる問題なのだ。地下水、雨、潮の干満など天然の水の作用で引き起こされる水の汚染は通常、放射能の濃度が比較的低いが、水の総量は非常に多い。一方、タンクや処理システムからの漏水では、汚染水の量は少ないが、放射能の濃度は前出の天然の水のケースより高い。この2つの問題には異なる種類の困難があり、別々の解決法で対処しなくてはならない。”続けて、“タンク内の汚染水のほとんどは、セシウム除去のフィルターを通して(完全な除去はできないにしても)放射能のレベルを大幅に減少させた後のものだ。それにこれらのタンクは海から何百メートルも離れて
いるから、タンクからの漏水で海水が汚染される可能性も低い。”とあります。
凍土遮水壁の建設については、“そのコストおよび必要となる労働力を勘案して総合的に評価すると、日本政府が320億円を投じようとしている凍土遮水壁の建設には疑問を呈さざるを得ない。遮水壁がこれほどの規模で造られた例は過去になく、その有効性を疑う専門家もいる。”と指摘しています。
さらに続けて、“もう1つ、議論が必要なのは汚染水をためておくか、それとも海に放出するかという問題だ。政府は国民を安心させるために厳しい環境基準を設定したが、結果として期待値を非現実的なレベルにまで上げることになった。現行基準の達成には、大変な困難と莫大な出費が伴うだろう。”
つまり、他国のマスコミのいうところ、安全安心の議論も重要だが、国際基準から見ても厳しすぎる基準が問題を大きくしているとも指摘しています。“期待値をあまりに高く設定すると実現が困難になるし、そこまで達成しない限り失敗とされてしまう。現状では、飲料水と同じくらい厳しい基準を満たさないと汚染水を放出することは許されない。日本の飲料水のセシウムの安全基準は、1リットルにつき10ベクレル以下となっている。ところが、福島の地下水を海に放出するためには、セシウムの量が1リットル当たり1ベクレ
ル以下でなくてはならない。それ以外の水の放出基準は、25ベクレル/リットル以下に設定されている。”
要するに、“地下水の放出基準を国際的な基準に合う程度まで緩和することを議論してもいいだろう。それによって少しは汚染水対策の重荷を減らせる。労働力をもっと重要なプロジェクトに集中させることで、水漏れを防ぐ役に立つかもしれない。”“日本政府は汚染水対策への技術的提案について国際社会に助言を求めた。
だが、他の汚染された地域における研究を基に、福島のケースに適合するように考慮されたより合理的な放出基準を設定するための勧告を求めたほうが、ずっと役に立つかもしれない。”というものだった。
それでは、現在、政策としても語られないホットスポット地区の放射能廃棄物について、どのような取り組みをすることが、荷重ではない負荷として地域が受け止め、今後の対処をどう期待したらいいのであろうか?
今、我孫子では国との調停が進まずに裁判への準備も進められている。
汚染水の語られざる現実
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/12/post-3140.php
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/12/post-3141.php
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