2013年12月28日

靖国の事実認識 歴史考9

太平洋戦争(大東亜戦争)後の極東国際軍事裁判(東京裁判)において処刑された人々(特にA級戦犯。ただし、合祀問題における「A級戦犯」には、判決前に死去した、つまり無罪の推定を受ける人物も含まれる。この点については昭和天皇は判決前に病死した松岡洋右と有罪判決後に獄中で病死した白鳥敏夫を同列に問題視している)が、1978年(昭和53年)10月17日に「昭和殉難者」(国家の犠牲者)として靖国神社に合祀されていた事実が、1979年(昭和54年)4月19日朝日新聞によって報道され、国民の広く知るところとなったが、決着を見ない。

戦前に軍国主義の立場から利用されたと国会答弁でも指摘された靖国神社が、A級戦犯を「昭和殉難者」と称して祭神として合祀しており、「国策を誤り、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人びとに対して多大の損害と苦痛を与えた」とした1995年(平成7年)8月15日の日本社会党の村山富市内閣総理大臣(首相)談話(村山談話)に基づいた政府見解に反するとして問題視する意見がある。

靖国神社は国家機関ではなく一宗教法人であり、靖国神社自体が政府見解に従う義務はないが、政府高官が靖国神社に参拝することを村山談話との関係で問題視する者もいる。靖国神社そのものを問題視しない立場でも、戦死者を祀るのが本義である靖国神社に東条英機ら戦争責任者が合祀されるのをよしとしない者もいる

また、天皇の靖国神社親拝は昭和天皇による1975年(昭和50年)11月21日が最後となっている。この理由については、昭和天皇がA級戦犯の合祀に不快感をもっていたとの意見が指摘されていた。

昭和天皇が合祀に不快感をもっていたことを記録した「富田メモ」や、内容を裏付ける『卜部亮吾侍従日記』の発見によって、A級戦犯の合祀が天皇の参拝を妨げていることが明らかになった。天皇の靖国神社への親拝は行われなくなった後も、例大祭の勅使参向と内廷以外の皇族の参拝は行われている。

そもそもは、幕末維新期の戦没者を慰霊、顕彰する動きが活発になり、その為の施設である招魂社創立の動きも各地で起きた。それらを背景に大村益次郎が東京に招魂社を創建することを献策すると、明治天皇の勅許を受けて1869年(明治2年)旧暦6月12日に現社地での招魂社創建が決定され、同月29日(新暦8月6日)に五辻安仲が勅使として差遣され、時の軍務官知事仁和寺宮嘉彰親王を祭主に戊辰の戦没者3,588柱を合祀鎮祭、「東京招魂社」として創建された新しい神社だ。

1970年(昭和45年)に靖国神社の崇敬者総代会でA級戦犯の合祀が決定された。ただし、当時の宮司預かりとなり、合祀はされていなかった。合祀強行派の中には、「戦争責任者として合祀しないとなると神社の責任は重いぞ」と主張する者がいたが、当時の宮司であった筑波藤麿は「ご方針に従う。時期は慎重に考慮したい」と引き取り、結局任期中に合祀を行わなかった。

ところが、1978年(昭和53年)になって新宮司が就任。A級戦犯の受刑者を「昭和殉難者」と称して合祀した。それまでに、政府の出した名簿が全て合祀された訳ではなく、2002年(平成14年)7月の国会答弁では「国として靖国神社の行う合祀には関わりを持っていない」事が確認されている。

その後、靖国神社は、東京裁判の有効性や侵略の事実を否定するなど、「A級戦犯は戦争犯罪者ではない」として名誉回復の方針を見解として打ち出している。A級戦犯合祀問題の背景には、靖国神社などによる「A級戦犯は戦勝国による犠牲者」とする意見と、侵略戦争を認めた政府見解や、国民への多大な犠牲などから「侵略・亡国戦争の責任者である」と一般の犠牲者である軍人・軍属などと一緒に祀り、顕彰することを問題視する意見の対立があるのも事実だ。国戦没者追悼式は追悼であり、靖国神社は顕彰しているという立場に捉えるのも苦肉の策だ。

「筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが・・・
松平の子の今の宮司がどう考えたのか 易々と
松平は平和に強い考があったと思うのに 親の心子知らずと思っている だから私 あれ以来参拝していない」との天皇の独白が記録として残っていたことが明らかになる。「松平」とは終戦直後の最後の宮内大臣であった松平慶民、「松平の子」とは慶民の長男で1978年にA級戦犯を合祀を決断した当時の靖国神社宮司、松平永芳(1915-2005 元海軍少佐・一等陸佐)を指すと検証委員会による推察がされて、宮内庁長官・富田メモ第一級の貴重な記録と認識されるものだ。

posted by Nina at 00:00| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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