オメガ脂肪酸と知力の関係が注目されたのは、1989年にイギリスのクロフォード博士が著書の中で「日本の子供の知能指数が高いのは、魚をよく食べるためではないか」と述べたことが、きっかけだったとご存知でしたか。それ以来、魚に含まれる油(DHA・EPA)に一気に注目が集まり、世界中で研究が盛んになりました。
2014年をウマく駆けていくために、基本は健康を左右する食習慣を再設計をしませんか。食事と運動が健康の元です。
これまで何回か食事の内容の要点を紹介してきましたが、ここで改めてまとめてご紹介しましょう。
まず、1990年「デザイナーズフーズ」が発表されています。
3段階に分かれていますが、最上位のランクは、ニンニク、キャベツ、甘草、大豆、生姜、セリ科(人参、セロリ、バースニップ)です。甘草は漢方で有名です。バースニップはヨーロッパで栽培されている白人参です。第2ランクは玉ねぎ、茶、ターメリック、玄米、全粒小麦、亜麻、柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)、ナス科(トマト、ナス、ピーマン)、アブラナ科(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)です。
第3レベルはハーブ類です。
次は「食べるべき」上位10位」、第1位はリンゴです。第2位はアーモンド、第3位はブロッコリー、第4位はブルーベリー、第5位は魚油、第6位は緑の葉菜、第7位はサツマイモ、第8位は小麦胚芽、第9位はアボガド、第10位はオートミールです。
要注意の油について、摂取してはいけない油があります。マーガリン、ショートニング(安いケーキやクッキー)酸化した油(外食等の古い油の揚げ物)これらトランス脂肪酸は動脈硬化を引き起こし心臓や血管に有害です。次に、摂取を避ける油:動物性脂肪(ラードなど)、乳脂肪、ヤシ油、ココナッツ油、これらは飽和脂肪酸でコレステロールを増やし動脈硬化を引き起こします。
摂取しても良い油:大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、菜種油、紅花油、ひまわり油。これらは多不飽和脂肪酸で、いわゆるオメガ6のリノール酸が多く含まれています。一時は摂取が推奨されましたが、これが多すぎるとアトピーの原因とか、酸化しやすい上、悪玉コレステロールを減らしますが善玉コレステロールも減らすといわれています。
また精製の過程で化学品を使用するので少量有害なトランス脂肪酸を含むのが、要注意です。
特に摂取お勧めの油が、オメガ9のオレイン酸が多いとされる、キャノーラ油、オリーブ油です。出来ればエクストラバージンオリーブ油(化学品で抽出したオリーブ油は避ける)。
積極的に摂取すべき油:オメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は限られた植物油にしか含まれません。現代人には不足してこれが色々問題を起こしていると言われています。この不足するオメガ3脂肪酸を含む油は、エゴマ油、シソ油、亜麻仁油です。ただし酸化に敏感なため決して加熱しないで、生で摂取すると同時に冷暗所に保存する事。
食物ではクルミ、そしてサケ、サバ、イワシ、ニシンという冷たい海の魚はオメガ3脂肪酸を造り、「血液サラサラ効果」のEPAやDHAを豊富に含みます。
注意、菜種油とキャノーラ油は別物でキャノーラ油は品種改良されて有害なエルカ酸を無くしたものでこれは摂取してもよいと言われています。青森産の菜種油は品種改良されたものです。紅花油も品種改良されてオレイン酸を多く含むものは摂取していいです。ピーナッツ油は避けます、これは発がん物質のアフラトキシンを含んでいる可能性がありますので。サラダオイルとしては
バージンオリーブオイルを複数、品種改良された缶入りの紅花油、生野菜用にエゴマ油、シソ油、亜麻仁油です。ゴマ油は香りづけに少し。
ではどの魚種にあるのかを調べてみました。多くは頭や内臓、皮にありますが殆ど捨てられていますから、可食部の含有量で比較した情報が日本食品脂溶成分表というものにあるようですが、それを引用しているニッスイのサイトで見てみました。圧倒的に多いのは本マグロのトロですが、これはあまり口に入りませんね。赤身になるとガックリ下がります。
EPAとDHAの多い魚は(可食部100gに含まれるmg)、
本マグロ(トロ) EPA1288 DHA2877 計4165
サバ EPA1214 DHA1781 計2995
マダイ EPA1085 DHA1830 計2915
ブリ EPA
899 DHA1785 計2684
マイワシ EPA1381 DHA1136 計2517
サンマ EPA 844 DHA1398 計2242
サケ EPA 492 DHA 820
計1312
アジ EPA 408 DHA 748
計1156
です。あとの魚種、カレイ(計412)、ヒラメ(計284)、マグロの赤身(計142)・・
はかなり落ちます。サケはこれとは別に強力な抗酸化成分のアスタキサンチンがありますから積極的に食すべき魚です。
特に紅鮭は養殖がなく天然ですから養殖魚の抗生物質のリスクがありませんね。
有名な順天堂大学の白澤教授は5つのルールを提案しています。
1. 炭水化物を制限、
2.良質のタンパク質をしっかりとる、
3.質の良い脂質を取る、
4.
.野菜を多く取る、
5.甘いお菓子は絶対ダメ。
そして朝食に野菜ジュースを勧めています。
癌の治療で有名な西台クリニック院長の済陽先生は、リンゴ、はちみつ、レモン、ヨーグルトを勧めていますが特に野菜ジュースを勧めています。癌治療に大きな効果を上げているといいます。そして食材としてキノコ、卵、玄米、ニラ、あしたば、モロヘイヤなどクセのある野菜、海藻、タマネギ、ネギ、魚介類、大豆食品、芋類、ニンニク、鶏肉を「癌を防ぐスープ」の食材として勧めています。
新宿溝口クリニック院長の溝口先生は50代以降足りなくなる栄養素として、オメガ3脂肪酸系の良い油、肉魚豆というタンパク質、ビタミンB、ミネラルを上げています。
ここまで、お付き合いいただいた方には、オメガ脂肪酸は、脳機能の発達や維持に重要な役割を果たしているということを、もう少しお伝えします。
昔の日本人は、習慣的にかなり良い食習慣を作り上げ、それが脳にも良い影響を与えていました。EPA(エイコサペンタエン酸。いわし、さば、きんき等に含有)を含むオメガ脂肪酸はもともと全身に存在して、健康を支えていますが、しかし、加齢とともに減少するとは知っていなかったでしょう。
現代人の私たちは、長寿になった上に、脳の若々しさを維持したいものです。
若さを測定する方法のひとつに「情報処理速度」をみる手法があります。
脳が一定の情報を処理するのに要する速度をチェックするものですが、高年齢者がオメガ脂肪酸(1日当たりARA120 mg、DHA300 mg、EPA100 mg)を約1ヵ月間摂取したところ、情報処理速度に対する有効性を確認することができました。
金沢大学大学院医学系研究科の山嶋哲盛先生は、軽度認知障害の人にARA(アラキドン酸。卵、豚肉、豚レバーなどに含有)とDHAを90日間摂取してもらい、その前後で神経心理テストを実施しました。その結果、5項目のうち「即時記憶」と「注意(集中力)」の2項目が有意に改善。もの忘れという症状を、ARAのオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸、マグロ脂身、鯖など)の継続摂取によって改善できる可能性が示されました。
また、軽度認知障害の人12名にARAとDHAを90日間摂取してもらい、摂取する前と後に、この3項目について神経心理テストを行いました。その結果、「即時記憶」と「注意(集中力)」の2項目について有意な改善が認められ、ARAとDHAを摂取することで、もの忘れを改善できる可能性が示唆されました。その他、ARAが老齢ラットの学習記憶脳を改善することを示した、興味深い研究報告もあります。
さらに、記憶を司る脳の海馬は、中高年になると1年で1〜2%縮小するといわれています。そこで、どうするかです。
手軽に日常生活で脳トレに有効だとされるのが、インターバル速歩です。3分歩いて、3分速足に歩くと言う方法です。また、新聞社説の内容を理解しながら、同時に別の作業をして、脳のワーキングメモリー機能をフル活用させる。たとえば、読みながら「の」の数を数えるなど、二股(?)をかけて読むというような事をすると良いそうです。脳を楽しく刺激する、ジグソーパズルやゲーム、俳句・短歌などは頭を使い脳を活性化させます。特に対戦型の囲碁や将棋などは、人との交流する楽しさも加わり、効果があります。負けて悔しがるより、会話しながら相手を意識して褒めると、ワーキングメモリー機能が改善するとの報告もあります。相手も気持ちがよく、よりよい人間関係につながり、効果倍増です。よく言われるのが、ボランティアなどに参加することですが、高い目的意識を持って地位に役立つことが、自分のためになっている、認知機能の維持に役立つ一石二鳥なのです。私たちの脳は思っている以上に社会的です。世のため、人のためを考えた行動はモチベーションが維持し、とにかく続けることで高い達成感も得られます。
日本の子供たちの知能指数に着目して、研究が始まったことから、オメガ3系脂肪酸の摂取が、脳の老化を防ぎ、認知症発症リスク低減が見られるとのことが分かったということ、そして今も研究が続けれているというのは、人類の未来にも日本人は好ましい影響を与えたといます。それでは、今年も春からウマくいきますよう!
参考:「美感遊創」Vol.134