昨日は、高齢者福祉の問題を東アジアの視点から考えてみようと、大学での講座に行った。
そこでの話は、日本の国家財政に大きな負担となっている高齢者福祉を反面教師として、韓国では金大中政権時代に福祉政策の要として、高齢者医療制度の為の保険を賄うために20代からも徴収するとの案が盛り込まれて打ち出されたというレポートをもとにしての話だった。
最近の日本も生活保護が増えているが、韓国では失業して貧困層が増加する対策の関連して立案されてきたことが経緯のようだ。金大中政権では、こうした福祉政策に限らず、あらゆる政策が非常に体系的に打ち出されてきた。財閥の経営改革などに代表されるように、その多くは実は韓国において過去年間ほど継続して論議されてきたにもかかわらず、実現されなかったが、金大中政権においてようやく手をつけることになった。それには、IMF危機において、中小・零細企業の臨時・日雇い職から大量解雇がされた社会不安がある。大企業の正規労働者であれば、その技能・技術を生かした再就職を促進するようなプログラム(職業斡旋・職場創出など)に対応できるが、そうでない層の再就職は困難となる。その為、新たなプログラムを作る必要が生まれ、自立支援プログラムを実施するわけだった。「生産的福祉」( 金大中大統領が年の新年詞および同年8月15日の光復節慶祝詞において公式に行なった演説に端を発しているDJWelfernessのこと)は実に広範囲な内容を含んでおり、狭義の福祉政策に限らず労働政策や産業政策まで含んでいる。狭義の福祉政策とはとらえられないものだが、ともかくも短期的な対応策としてその役割は大きかった。
実際には、公共勤労事業を供出するようになったため「生産的福祉政策」の効果はかなり出ていたと評価される。経済危機における韓国の福祉制度は、それまで必要な改革を遅らせていたことから様々な欠陥も露呈したが、危機に直面して見せた韓国社会の決断、団結力、スピードは驚くものがあった。官民も協力することによって、基礎法という画期的な法律が制定されさらに「自活支援事業」という大胆な政策も導入された。もちろん、今も、多くの矛盾と格闘しているのも事実のようだが、その決断とは日本の高齢者福祉の財政負担の苦渋を見て、20代から徴収するとの決断を国民的な理解を得て即決できたというところだった。「生産的福祉」は現在、日本においても行われる退職者短期雇用にその援用がみられるのではないかと思った。欧米諸国の200年余年をかけての経済発展と時間をかけて高齢化社会が創出されたケースとは比べられない深刻な問題になることを、アジアの国々は実は自覚していない。急速な経済発展によって、予測される少子・高齢化が必至なアジアの国々、社会制度がまだまだ不十分であるために、今後に起きる問題対処へも予測をしていかないといけないという。その為に他国の制度を研究しあい、より住みやすい国、福祉政策を進める必要があるだろう。
2013年11月28日
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