アレクセイ・V.ヤブロコフ博士のチェルノブイリ被害調査報告が日本語で四約され岩波書店から刊行された。その講演会(5/18)に参加したが、ロシア語の講演にこの世界でも第一人者と言われる通訳がついていたので、パワーポイントでの説明に関しても適切な分かり易いものだった。さらに、崎山比早子氏(高木学校、原発国会事故調査委員会、元放射線医学総合研究所、医学博士)が解説で話をされたのは、この翻訳の方々の目的と信頼性を高めるものだった。
崎山氏は、冒頭15分くらいから話をされているがフリーラジカルの影響によって癌を誘発すると考えられること、科学的な正確な知識を持った市民が変えていくこことが重要にになるなどと言われた。今回の教訓については、50分くらいから、日本の調査については56分くらいから話をしている。
1986年のチェルノブイリ原発事故は、北半球全体に膨大な放射性物質を飛散させ、人間と生態系に即時から中長期にわたる放射線被曝をもたらしました。とりわけベラルーシ、ウクライナ、ロシアの被害は深刻で、汚染地では健康な子どもの割合が20%以下になったと言われるほどです。
しかし、IAEA(国際原子力機関)やWHO(世界保健機関)による「公式」な報告は組織的に事故の影響を過小評価し続けてきたため、被害の実態を知る医師や研究者たちが強く異を唱えるようになりました。それらの声とデータを徹底的に拾い上げたのが、ゴルバチョフの科学顧問を務めたアレクセイ・ヤブロコフ博士とベルラド研究所の創設者であるヴァシリー・ネステレンコ博士が中心になってまとめた本書『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』です。
「フクシマ以後」を生きる私たちに本書が与えてくれる教訓の1つは、大規模かつ継続的な被曝の影響が甲状腺がんにとどまらず、幅広い疾病や症状として表れることであり、それらに対する適切な監視と手当てを行うには国内外の英知と資源を結集しなければならないことです。
ヒポクラテスの誓に背いたWHOはIAEAと結託した見解を出すというような恥ずべき対応になっていると指摘、ヤブロコフ博士はジュネーブに行く際には毎日継続されているWHO前の抗議に加わっているという。抗議行動はこの6年、市民誰かが必ず2,3人は立っているというのだった。
司会者(鴛鴦まこ)は、チェルノブイリでは100万人とも言われるリクヴィダートル(原発事故労働者)の実態も報告書に挙がっているが、日本は守秘義務が優先されて実態が見えないままだとも付け加えていた。産科医の話でも、出産は1割減少しているので、学会からの発表がまたれているという。
岩波のホームページから、ロシア語原書、解説など情報提供がされている。
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-023878-6
2013年06月01日
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