折り紙は、日本人にとってなじみ深い遊びだったが、 それまで子どもの遊び程度にしか思われていなかったが、今や「JUDO」などと同じく「ORIGAMI」もまた世界の共通言語となっている。もっとも、神道で用いられる御幣や、慶事の進物や贈答品に添える熨斗なども折り紙の一種で、このような折り紙は、古来より日本人の暮らしと密接な関係を保ってきた。
折り紙を、絵画や彫刻のような芸術にまで高めることはできないかと考えたのが、吉澤章だった。http://www008.upp.so-net.ne.jp/origami-ios/inform.htm
1950年、吉澤は「芸術作品」としての折り紙を初めて発表。紙の面と線の屈折、そして色彩の三位一体から生み出される造形美を追求した。1954年、初の著書となる「折り紙芸術」を発表し、翌1955年、アムステルダムにて初の海外個展を開催する。
1枚の紙から糊や切り込みを一切使うことなく、自然の造形を細部まで再現したその独創的な作品は、折り紙に慣れ親しんだ日本人にさえも驚きを与えた。 躍動感あふれる動物たち。耳を澄ませばさえずりが聞こえてきそうな鳥。脚の一本一本まで精巧に表現された昆虫。生き生きとした子どもたちの表情。生命を吹き込まれたかのような彼の作品は、大きな話題を呼び、世界の注目を浴びることとなる。以来、世界50カ国以上で個展や講習会などを開き、芸術としての「ORIGAMI」の名を広めていく。
吉澤の作品のモチーフは、動植物をはじめ、仮面、天体まで多岐に渡る。また、非常に写実的なものからシンプルなものまで、表現手法も豊かだ。テーマを練り上げて作品を完成させるまでに数年を要することも珍しくなく、中には23年という途方もない歳月をかけて発表された作品もあるという。彼の作品の特徴は、見る者にみずみずしいまでの生命力を感じさせることにある。吉澤は対象物を徹底的に観察し、本質をつかみとることによって、自然の法則に従った折り線構造を編み出していった。その結果、外観だけでなく内面をも見事に表現した独創的な作品群が数多く発表されてきたのである。
1911年栃木県で生まれた吉澤章が折り紙と初めて出会ったのは、彼が4歳の時である。1枚の紙が「折る」という極めてシンプルな行為により様々な形状に変貌していく、そんな折り紙の面白さと奥深さに、幼い吉澤は夢中になった。13歳で上京し、鉄工所などで働きながらも吉澤は、独学で折り紙を折り続けた。
彼が本格的に折り紙の研究を始めたのは、1938年のことであったという。 1枚の紙と10本の指から生み出される生命力あふれる作品群に、世界が驚嘆し虜とした。 命あるすべてのものを慈しみ、本質をとらえる優れた感性と卓越した創造力によって、新しい芸術を生み出した吉澤は、日本人になじみ深い折り紙「ORIGAMI」というアートにまで高めた。吉澤が生涯をかけて愛した折り紙は、世界中に愛好家を持つまでとなった。
1954年にに国際折り紙研究会を創設した。1966年からは、外務省から折り紙講師としてオセアニア、ヨーロッパへ派遣されるなど、世界各地で作品展、講演を行って折り紙の普及に努めた。晩年も精力的に活動を行っていたが、ちょうど94歳の誕生日だった。2012年3月14日、吉澤章の生誕101年を記念して、Googleのホームページのロゴが「折り紙」バージョンとなった。1983年、勲五等双光旭日章
2013年07月04日
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