先端技術を使った「スマートシティ」と呼ばれる先進的な街づくりが進む柏市の柏の葉キャンパス地区で、街づくりに取り組む住民らがグループを法人化し、一般社団法人「柏の葉カレッジリンク・ネットワーク」の活動を本格化している。ボランティア活動をポイント化し、別のイベント参加料に使える制度もスタート。住民主導の街づくりが加速し始めた。
法人は、千葉大の市民講座を修了した仲間と研究者が、学んだ成果を生かして街づくり活動を進めようと、昨年七月に結成。行政の補助が切れれば活動が終わりという失敗に陥らないよう、法人化して事業の採算にも気を配り、もちろん税金も納める。
講座で学んだ健康に関する豆知識を広めようと作った「養生訓いろはカルタ」を三月に会のホームページを通じて発売。さらに、駅前に育つ名木の保全や、街路樹にタグをつけてジョギングコースの案内に活用する企画なども構想している。
参加する市民は六十〜七十代が中心。発想や行動力は衰えず、法人の代表理事を務める野田勝二・千葉大助教は「こんな人たちが埋もれていてはもったいない」と舌を巻く。地元住民で理事の校條(めんじょう)邦夫さんは「茨城県から移り住んだ五年前は、知り合いがいない無機質な街だと思った。でも、サークルや住民活動が増え、参加するたび街が変わっていくのが分かる。本当に面白い」と楽しんでいる。
ボランティア活動のポイント制度は、スマートシティの開発を進める企業などが共同で始めた。清掃や花壇の水やり、イベントの運営などにボランティアとして協力すると、ポイントを獲得でき、活動スペースのレンタル料や他の住民活動のサービス利用料などに使える仕組み。
一ポイント一円相当で、例えばフリーマーケットと直売市などを組み合わせた恒例イベント「マルシェコロール」の運営を定期的に手伝ってポイント(一回百ポイント)がたまれば、養蜂サークルが生産した蜂蜜(八百ポイント)と交換もできる。
導入の狙いは、住民活動への参加の動機づけに加え、ポイント使用が活動の活性化につながる好循環をつくること。千葉大柏の葉キャンパス内の一室に市民らが集まって「この事業で活動費を捻出したい」「仲間を増やすためパーティーを」。会議では、ときおり冗談に笑いが起きつつ、真剣なやりとりが続いた。まだ登録者は七十人ほどだが、関係者は「将来的には利用できるイベントなどを充実させ、柏の葉での暮らしに欠かせないものにしたい」と構想を描いている。
柏のスマートシティ一帯では、マルチ交通シェアリングは現在、住民約4百人が登録している。車だけでなく、バイク、自転車を共同利用する「マルチ交通シェアリング」の実験が4月から 拡充され、非常時に電気自動車を“街の電力源”に利用する防災サービスとして始まった。 駅前の一角に設けられた「防災エネルギーボックス」は、通常時は電気自動車の充電に、災害時は逆に電気自動車の強力なバッテリーを家庭用電源に変換する。照明の点灯や携帯電話の充電などに活用できる。
防災エネルギーボックスは柏市役所の駐車場にも登場した。
参考:東京新聞 4月28日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130428/CK2013042802000106.html
2013年05月09日
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