2012年11月15日

日本の預貯金指向がダントツなわけ

日本には2012年3月末時点で1513兆円の家計金融資産が存在する。
多くの日本人は漠とした不安を抱きながらも、大半は円預金で保有している。戦後、主婦たちは、家計に細やかな目配りを利かして、預金志向は主要先進国の中でも著しく強く、総資産対比で50%以上の保有比率である。欧米と比較してみても、その違いが歴然である。米国は20%弱、英国でも30%弱、そして比較的日本人に近い性分と思われるドイツでも40%強である。

「日本が危なかったら円を売る」という資本逃避(キャピタルフライト)に類似する動きは、地震・津波・原発事故という大災害が重なった2011年3月11日の後も見られなかった。不透明な経済・金融情勢を背景に外貨よりも円貨、円貨の中でも現預金のように流動性と安全性の高い資産に「マネーの引きこもり」ともいえる現状だ。

日本の97%の円部分が幾らかでも外貨性資産へ向かえば、円安転換の一助となり得ると言えるが、そうした動きは見られない。むしろ欧米経済の不調、中国経済の停滞と言う状況下で外貨性資産に向かうのは時間がかかるだろう。なんのかんのと円相場の底堅さの一因も、経常黒字の存在、言い換えれば国内の過剰貯蓄の存在だ(円相場を国債に置き換えても同じである)。この観点に立つならば、円相場がすぐに急落することがない根拠なわけだ。日本国債はリーマンショックや欧州債務危機など世界経済が荒れる局面で海外投資家にとって格好の逃避先となる傾向にあり、これも金融危機以降、円相場を支える一因と言われてきた。

この国内貯蓄率が示しているのは「日本はダメだ」だと思っている日本人はいない、と言うこともできるのではないか。震災において、預貯金を引き上げるようなパニックはなかった。地域に根ざした郵便局は、預貯金窓口の機能も大事な仕事だったが、被災後すぐに仮設局、移動車によって事業がほどなく再開されたことも、地域をパニックに起こさないように果たした役割は大きかったのだと考えられる。戦後、主婦たちの貯蓄指向はどの町にも郵便局が親しみやすい窓口になって地域に頼られていたことにもあるのかもしれない。

戦後の日本経済成長の仕組みの一つは、他国に真似できないほど天才的なの国民からの集金システムを構築したことである。日本銀行の外局に貯蓄広報中央委員会という、日本で唯一、公の個人の資産形成に関わる組織が貯蓄についてのプロパガンダをした。「貯蓄は美徳である、貯蓄こそお国のため」、などと戦中に鍋釜、貴金属を供出させた手口と同じだ。国民は貯蓄を奨励され、社内預金まであって、花嫁資金を殖やすとまでいって集めた。郵便預貯金には、他銀行に真似できない8%を超える金利を付けることもできた時代だったので、日本中の個人に郵便貯金をさせてそれを集めた。それを、財政投融資として国が使う。民間の銀行預金も、国が厳しく管理する。そして使う方向性を国が定める……。

この過去の成功体験にしがみついた日本は、バブルが崩壊した1990年代以降に迷走を始めてしまう。使い道≠委ねられた国も銀行も、もはやその答えは見つけられなかった。逆に、使い道≠フ失敗例があちこちに噴出していく。バブル期の不良債権問題や国の無駄遣いは典型例である。そして、国も銀行も、お金の行き先をますます失ってしまった。

今後も、人口減少経済の株式をオーバーウェイトする海外投資家は決して多くないだろうから、円安基調に転換させるなら、「日本人による円売り」が必要だ。「売る円」を誰が持っているのかと考えた時に、経常収支はいまだ黒字であるし、日本国債の90%超が国内で消化されているのだから、当然、日本国民が主導権を握っているのだ。家庭の預貯金の資金が銀行や生命保険会社などの金融仲介機関を通して外貨建て資産に投資されれば、円安に向けていける可能性はある。

山積の政府債務とは裏腹に磐石な国債消化構造で、金融資産はスマートな流れにならないで久しいが、家計をがっちり握ってきた女性たちの貯蓄志向に貯蓄以外にも、目を向けるように変わると変化のきざしをつくることができるのではないか。株式投資を博打か何かのように避けるばかりでなく、正しく分散させる考え方に転換させればいいことなので、IMFレポートの指摘にあったように何事にも日本女性がキーワードだ。女性が納得できれば、シニアの福祉が充実した北欧のような高い利率の消費税も移行できるだろう。他国の政策のように、女性議員を増やすクオーター制などの発想も選挙制度改革に組み入れたい。
posted by Nina at 03:51| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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